早いもので夏休みもこの週末で終わりです。リゾート学院の夏期講習も終わるわけですが、今年の生徒にはまったく指導をしませんでした。果たして秋以降、大丈夫なんでしょうかね。ともあれ、算数の夏期課題について今日はお話しましょう。
自宅ちゃんは算数が非常によくできるので、以下の教材は女子としては、最高レベルといってよいと思います。算数が普通だった自宅姉ちゃんには、以下の教材は一冊も使えませんでした。
夏の算数の教材は、3つの視点で選択しています。1つ目は朝イチにやる計算・一行系教材(サピで言う基礎トレ的なもの)、2つ目は典型題の網羅的な演習、3つ目は難問に対応するための歯ごたえのある体系立った教材です。
受験研究社から出ているテーマ別問題集「実力突破」から、そのものズバリの計算と一行問題集です。計算が1~2問、図形や文章題が1~2問の1日3題が60日という、薄手の問題集です。
これを作ったのは竹内洋人さんという若手の算数講師の方ですが、彼にとって最初の問題集ということで、たぶん気合が入ったのだと思います。問題がかなり難しくて、見かけにだまされて算数が苦手な女子が手を出すと失敗すると思います。
なお、同じ体裁で「基本編」というのが出ていますので、算数が苦手なお子さんはそちらを選択しましょう。
自宅ちゃんの場合、計算はかなり正確なので、計算だけで10問もやるような問題集ではなく、こうした形態のものを選びましたが、計算が苦手であれば、朝イチには計算に特化した問題集をやるのが定番だと思います。
次に典型題の総ざらいです。典型題は上の一行問題集でも扱いますし、以下の難問対策でも扱うので、軽くしました。
クリテツ(我が家での栗田先生の愛称)の問題集については、書きたいことがいろいろあるのですが、現時点でベストの算数の問題集を1冊だけ、と言われたら、この問題集を挙げます。これと過去問で、もう7割方対応できると思います。
他の問題集がいろいろな学校の過去問の切り貼りであるのに対して、この問題集は、クリテツがポイントを選び抜いてスクラッチから書き上げた問題集であり、ムダがまったくありません。ただし「基礎」とありますが、後半の40題はかなり難しいです。全部で190問しかありませんが、前半の150問を繰り返すだけで、もう女子なら人並みになれます。
栗田哲也先生のスピードアップ算数〈基礎〉―中学受験総合チェック
3年も4年もかけて、親が何も知らない世界に子どもを放り込むのが普通になっている今の中学受験の世界観に、この一冊は痛烈なアンチテーゼになっていると思います。おっと、熱くなってしまいましたが、この文書をお読みのあなたが算数を自宅で教えることに興味があるのなら、まず、クリテツの以下の本を読んでみてください。
ちなみに、上記のスピードアップ算数には、発展編もあります。リゾート学院にはこちらもあり、過去に愛用していましたが、女子には重たすぎるので与えていません。難関校志望の男子には超おススメ!
栗田哲也先生のスピードアップ算数〈発展〉―中学受験総合チェック
難問対策として、これも定番と言っていいと思いますが、「秘伝」の発展編をやりました。発行は10年前。さなるに買収される以前の脂ののった後藤卓也先生の語り口が最高です。
語り口調で算数の難問をバサバサと解説していくので、自学能力の高いお子さんの自習教材としてこれ以上のものはないでしょう。しかし、問題にかなり難しいものが混ざっているので、与える際には囲み記事を飛ばさせるなど、親が取捨選択してやる必要があると思います。自宅ちゃんにはあえて、全部やれ、と支持してありますが、果たしてどれほど身についているのやら。
秘伝の算数―算数の世界を楽しく極める (発展編(6年生・受験用))
ちなみに「秘伝」には入門編と応用編がありますが、これらは不要で、発展編だけでよいと思います。他の教材で積み上げた解法を、発展編を使って6年生の夏に総復習してリビルドする、というイメージで、まさに上位校志望者の夏期講習素材と言っていいような仕上がりです(男子の最難関志望の場合は、これをゴールデンウイークくらいからはじめて夏前に終え、夏はクリテツのスピードアップ発展に移行するとよいと思います)。
学院長さま
お世話になっております。
学院長は特に算数に関して色んな教材をご紹介していただいております。
ただブログ全体を読ませていただくと算数の決め手は受験学年に入る前に予習シリーズは例題の学習に留めあとはシャッフル型の教材で一行問題を徹底してこなして、演習量を稼いで点数をとる力をつけたあと、6年以降模試や過去問で実戦力を鍛え、弱点補強を繰り返していつた方法にあるのだと思います。肝はお子さんの力もさることながら、学院長による「わからないところを教えてすらすらできるまで何度もときなおしさせる」や「模試であぶり出された弱点分野を教材や問題を選んで補強」といつた指導がなければ成り立たないことだと推察します。学院長は子どもの学習内容が定着しないと判断したとき、どうされてましたか?「予習シリーズ」の例題までさかのぼつて復習でしたか?ちなみに我が家は算数は予習シリーズは持ってはいるものの新小学問題集を基本に5年時から活用しています。(内容は比較してみると予習シリーズの必修例題や基本問題とほぼかぶっています)
リヨウさん、こんにちは。素晴らしくきれいにポイントをコメントでまとめていただきました。
> 学院長は子どもの学習内容が定着しないと判断したとき、どうされてましたか?
これはですね、「あまり気にしない」とか、「振り返らない」ということでよろしいのではないかと思っています。
苦手範囲というのは確かにあると思いますが、志望校でそれが出題されるかは、20回分(1次2次の2回試験なら10年、3回試験なら7年)もやればわかることで、出ないならできなくてもOKです。
最終的な教材は過去問に集約されると思っていますから、単元学習の復習はそれほど大事ではないと思いますよ。過去問ができなければ本人はさすがに真剣になるでしょう。
また、得点計画上、できなくてもよい分野というのもあっていいと思います。自宅ちゃんの場合は、社会をかなり意図的に捨てていました。逆に、算数はまったく捨てていません。ですが、4教科均等配点の学校だったら、その逆だってありうる話かとも思います(一般的に算数で分野を捨てるのは危険ではありますが)。
お返事ありがとうございました。
「過去問」と「得点計画」に基づいたメリハリですね。我が家はひとつしか受験しません。(但し同一校を最大5回受験可能)わりとメリハリをつけること可能。しかし基礎的な問題をまんべんなくが特色で平均点が高く、低い配点を考えて捨てられるのは社会の公民分野くらいかなと思います。その代わり過度に高度な問題にこだわらずにいき、試験当日の2月に中堅校にて大手の進学塾の子たちと互して闘うレベルまで持っていく目論見です。
追加で2つ質問です。
過去問が解けなくて子どもが真剣になったとき、子どもが空回りしないように教材や学習内容をどのように選んでましたか。「パッチのあて方」について教えてください。
もうひとつが得点計画です。娘の場合不得意科目をどこまで得点するかがポイントとなってきそうですが、親なりに作戦練ってます。(どう作戦立てても算数の基礎問題重視は不変)受験校について科目毎の平均点(受験者、合格者)、合格者の最高点と最低点。すべて男女別で開示されています。得点計画を練るにあたり学院長は過去このような開示データをどのように分析し活用しましたか?あてはまらないかもしれませんが、過去のご経験など教えてください。
リヨウさん、お返事遅れてすみませんでした。
> 子どもが空回りしないように教材や学習内容をどのように
これは何か基本になる教材(心のふるさとみたいな)をそれぞれの教科でなんでもいいので1つ決めておくのがよいのではないでしょうか。適当なものがない場合は、親がプリントを作るのも一案かと思います。自分は太陽高度のまとめとか自分で作りました。後は電流とか。そういうのが受験当日のお守りになるという流れです。持っていると安心、みたいな。
また、これは受験校によると思いますが、受験校自身が出している過去問の解説がとても詳しくて、上記の「心のふるさと」が受験校の「純正資料」だったりするケースも稀ですが存在します。この辺は直接お話しないとお伝えしきれない部分ですが…。
得点計画ですが、これも受験校によりますよね。設問単位で詳しく正答率を出してくれる学校もあれば、平均点と合格最低点だけのところもあります。ご質問の答えとしては、「開示データは使えるだけ使う」ということになろうかと思います。
難関校はだいたい2~3倍なので、得意科目は合格者平均点、不得意科目は全体平均点、というのが一応の到達目標になるのではないかと思います。
後は難易度です。「得意科目が難しい学校」の方がそこで差が付くので受かりやすいかと。
学院長
親お手製プリント!我が子だからできることですね。プロに外注出したら時給5000円は越えそうですね。
ところで算数の「お守り」はどうしましたか?
お父さまの手書き解説ですか?
算数は試験当日に何かを確認するという感じではないので、お守りは社会とか理科とか、または漢字とか、学研の「丸まる要点ノート」が登場することが多かったように思いますね。
丸まる要点ノートは名作中の名作と思いますが、もはや手に入らないですね。
リゾート学院の夏期講習(中間報告) 父親はむしろオリンピック観戦に一生懸命… – tapestry
総括記事が予想以上に俯瞰的で面白いです。じっくり更新して下さい。
こちらは5年生秋ですが、サンタツ、基礎500題 それぞれ3周ほどしました。今後は予習シリーズの例題の、代わりのつもりの早稲アカ、バックアップジュニア5年とバックアップテキスト6年と基礎300題を辿ろうと考えてます。
ところで、不躾な質問になってしまいますが、6年夏は自宅姉ちゃんはプラスワンで、自宅ちゃんはクリテツだったかと思います。プラスワンと栗田のスピードアップ算数のポジションについて考え方を教えて頂けると幸いです。
キムさん、順調な学習の進捗、お疲れさまです。
> 6年夏は自宅姉ちゃんはプラスワンで、自宅ちゃんはクリテツだったかと思います。プラスワンと栗田のスピードアップ算数のポジションについて考え方を教えて頂けると幸いです。
まずプラスワンですが、これを採用したのは、すぐる学習会の夏期講習の教程をなぞったからです。以下をご覧ください。
算数プラスワン問題集・ピックアップ100問 (中学受験専門塾・優学習会 すぐるホームページ)
ですが正直なところ、これは面倒くさいわりに効果が実感できませんでした。そこで自宅ちゃんは自分の感覚を信じた、という感じですね。
あとですね、クリテツの教材はセンスがありすぎて、合う合わないがあるように思います。自宅ちゃんは不真面目な生徒でしたが、算数のセンスに優れていたので、クリテツ教材や後藤先生の秘伝の算数などが向いていたと感じています。
それにしても今の時点で早稲アカのバックアップテキストまでたどり着くとは、マニアですね~。
いつもお世話になってます。
学院長の鋭い考え方と子供によるカスタマイズの有り様がとても参考になっています。
中学受験で学習すべき事もそれほど変わらないようなので、紙媒体である限りは教材も新しいものが優れているわけではないなと思ったりします。
理科の音読帳をVRゲームにしたり、社会はNHK for schoolを組み入れたVR博物館なんかのメディア教材が出ればいいのに。
プラスワンとクリテツの説明ありがとうございました。
とりあえず今の所はクリテツやってみようかと思ってます。