政府が推進する「シェアリングエコノミー」とは何か

次のオフ会(TOKYO #3)が迫ってまいりまして、そろそろプレゼン内容を作っていかなければなりません。それでちょっと気になったことがありまして。

オフ会では来年から「ホテルメンバーシップ研究会」という帯の活動をしていこうと思っているんですが、その構想をブログで発表するときに「シェアリングエコノミー」という言葉を使いました。自分がメインフィールドとしているリゾート会員権は「タイムシェア」が基本の概念ですし、その延長線上でシェアリングエコノミーという言葉を自然に、ごく何気なく使ってしまったのですが、ここに深い闇があることに気づきました。

ちょっと長くなるかもしれませんが、軽く書いてみたいと思います。

まず、政府はこの概念を推し進めようと、内閣官房内に「シェアリングエコノミー促進室」というものを置いています。そこでいろいろな議論が重ねられていますが、骨格となっているのは、以下の業界団体の活動です。

一般社団法人シェアリングエコノミー協会 | Sharing Economy Association, Japan

事情はよく知りませんが、この協会の定義が政府としての定義でもあり、双方が持ちつ持たれつ活動を行っているように見えます。

その結果、政府としてのシェアリングエコノミーの定義は、以下のようになっています。これは総務省の情報通信白書からの引用です。

内閣官房シェアリングエコノミー促進室においては、「個人等が保有する活用可能な資産等(スキルや時間等の無形のものを含む。)を、インターネット上のマッチングプラットフォームを介して他の個人等も利用可能とする経済活性化活動」と説明している。

おかしいとは思いませんか? 個人と個人の間で、プラットフォーマーが提供するサービスを使って、アセットをマッチングするものだ、と定義付けているのです。

その結果、上記協会の守備範囲は、以下のようになっています。

  1. 空間
  2. 移動
  3. モノ
  4. スキル
  5. お金

これらの分野で、C2C(個人間)で取引されるものがシェアリングエコノミーであるとされています。

例えば、自分が関心のある「空間のシェア」においては、事業者が提供するホテルやシェアオフィスなどはシェアリングエコノミーではなく、また、カーシェアや自転車シェアも同様に除外されています。

その結果、以下のようなおかしなことになっています。

空間:いわゆる民泊が中心となりますが、この分野はエアビーが既に覇権を握っています。

移動:同じく、UberやDiDiなどのグローバルなユニコーン企業に対抗するのは困難です。

モノ:事業者提供のものは除外されているので、ここは単なる販売(オークションやフリマ)です。シェアとは違うのではないでしょうか。

お金:クラウドファンディングのことですが、ここは規制が厳しいのでプラットフォーマーは限られるはずです。それに、「金融」ってズバリ「お金のシェア」じゃないですか。

スキル:従って、ここが主戦場となるしかなく、上記のマップでもその通りになっています。

しかし、スキルのシェアとは何でしょうか? 一体、何を「シェア」するのでしょうか。

おかしいとは思いませんか。ここを推進したいために、他の「決着している」サービスをくっつけて取り繕うことで、ふわっとした「共有社会」というものを描き出したいのでしょうか。政府の思惑は何なのでしょう。もう少し考えてみます。

自分には、スキルのシェアと呼ばれているものは、要するに「雇用」の問題のように見えます。実際にランサーズなどのクラウドソーシングを使っている人に話を聞くと、そのサービスレベルと費用のギャップに驚きます。

つまり、こうしたプラットフォーマーによって起こっていることは、従来よりも「低価格で何かを実現することができる」ということであって、既存の企業にとっては収益の悪化につながり、ひいては従業員の低賃金化や解雇につながります。

なぜなら、収入のある個人が副業としてプロとしてのスキルを提供するのなら、それは企業活動における水準では不可能な価格で「買い叩かれ」たり「叩き売り」したりすることになるからです。そのように、水を低きに流して利用者への魅力を増大させるのが、プラットフォーマーの仕事です。

ではそのプラットフォーマーについて見てみましょうか。シェアリングサービスとは、イコール、プラットフォームビジネスですから、必然的にそのサービスの提供者と利用者の双方の規模が大きければ大きいほど、お互いのメリットが増すという性質があります。つまり、プラットフォーマーは寡占化せざるを得ません。

これらを併せて考えると、政府が推し進めようとしているシェアリングエコノミーとは、プラットフォーマーとしての大企業による寡占(多くは外資が覇権)と、従業員の低賃金化や解雇といった、いずれも望ましくないものに必然的に向かうもののように、自分には見えます。

さらに言えば、地方経済に対しても打撃を与えます。それはプラットフォームビジネスの必然で、提供者と利用者の双方の規模が大きくないと事業として成り立ちにくいからです。ですから、利用者の多い都市部に労働者が移動することを促進する性質があるでしょう。

このように、上記の業界団体とともに政府が進めようとしているシェアリングエコノミーの普及(≒スキルのシェア)とは、かなり理由のわからない活動のように、自分には思われるのです。

普及すれば、低コストでの雇用の置き換えにつながって労働者にダメージを与え、地方からの労働者の人口流出を引き起こし、さらには大規模プラットフォーマーの金儲けに資する結果になる。格差を拡大し、社会の分断がいっそう進みかねない。

いったい彼らは、何がやりたいんですかね?

台風19号とハザードマップ

せっかくの三連休なのに、台風19号の襲来でそれどころではないですね。自分も12日と13日に予定していたイベント参加が両方中止または延期となってしまいました。自宅でおとなしくしていようと思います。

今回の台風19号は記録的な降雨量が予測されているということで、いわゆるハザードマップでその予測を確認している方も多いだろうと思います。それで、以下の記事のことを思い出しました。

「区分所有権」について考えてみよう | resortboy's blog – リゾートホテルとホテル会員制度の研究

この記事は、2016年に書いたもので、当時まだ開業前であったとあるリゾート会員権の販売資料を見て、その物件概要の中に「地域指定」ということばを見つけたことがきっかけでした。その資料には、以下のように書かれていました。

地域指定
第四種風致地区、景観まちづくり推進地区、宅地造成工事規制区域、土石流危険渓流氾濫区域、急傾斜地崩壊危険箇所、県土地利用調整条例利用検討ゾーン、地域森林計画対象民有林

「土石流危険渓流氾濫区域」とか「急傾斜地崩壊危険箇所」とか、会員権とはいえ、区分所有者としてその建物に責任を追う立場としては、恐ろしすぎるのではないか、と感じたのです。その会員権は開業はしましたがまだ一線で販売中なので、具体的な場所や物件名をここで示すことは2016年の記事同様に避けますが、少なくとも、自分がお持ちの物件については意識しておいた方がよいのではないかと思いました。

住所と「ハザードマップ」の言葉で検索すれば、どの自治体も地図で危険区域のデータを明示しています。

エリート教育のダークサイドについて語ろう

自分の勉強やらその他のことやらで忙しくて、学院長が出てくる場面がなくてすみません。今日は、少し書いてみたいことがあるので、学院長を呼んでいます。ではどうぞ…。

学院長です。お久しぶりです。

実は、子どもの通っている学校の教育方針に頭を抱えています。わかる人にはわかる某高校なので突っ込まないでほしいのですが、その学校では、「一日の中の文武両道」というのが、生徒や保護者に対する校長の口癖になっています。

要するに、勉強も部活や行事もどちらも全力でやれ(または、少なくともそれを目指そう)、という指導が日々されています。この言葉は公開されている「学校経営報告」という文書にも出ていますので、まさに学校の公式な教育方針ということだと思います。

しかし、実際に子どもを通わせてみて思うことは、これはエリート教育の名を借りた「ブラック企業の歯車養成ギブス」なのではないかと感じます。具体的に言えば官僚のタコ部屋とか、そういうところに耐える人材を育成しているように思うのですが、さすがにそんなことを学校が言うはずはありません。

タコ部屋 (日本の官僚) – Wikipedia

いわゆるトップ校と言われるところですから、能力が有り余っている優秀な生徒が一定割合でいます。勉強も部活も完璧にこなし、体力があって居眠りはせず、行事となればリーダーとなってクラスを引っ張り、そして行事が終われば次回の行事の準備を速やかに開始する。

場合によっては、その子の親がデータ整理をして「戦略立案」に協力するようなケースもあり(例えば、文化祭の出し物の演劇の結果アンケートを親が分析して子に渡すなど)、エリートからエリート予備軍への、家族ぐるみでの「理想とされる教育」が、自分の手の届くすぐそばには存在しています。

しかし、3人の子どもの教育に深くコミットして、いろいろな経験をした自分には、こうしたこの学校の目指す教育は、うっとうしい思い違いにしか見えません。

誰もがみんな、そうした教育方針に乗っかって生活できる器用な生徒ばかりではありません。学校を辞めていく生徒もいます。人の気持ちがわからないエリート候補のリーダーに対して、立場を理解して同調しながらも賛同できずに心を痛めてしまうような、感受性の高い生徒もいます。そのリーダー格の生徒をdisっているわけではありません。人生経験が浅いのですから、「能力が余っている人」が、「できない他人」の気持ちがわからないのは当然です。

頭を抱えるのは、学校側がこうした方針を明確に打ち出しながら、各種行事においては「生徒の自主性を育てたい」という理由で、全面的に行事の運営を生徒に任せている点です。

こうして、能力を思うがままに発揮できるリーダー層(実に楽しいと思いますし、そこを学校は成果として喧伝します)と、それに付いていく多くの一般層、さらに、感性が合わずにノレない層、そして脱落する層、といった分断が必然的に起きます。しかし基本的には優等生の集まりですから、表面上はそれなりにまとまってもろもろが進行していきます。

こんな中で傷ついてしまう生徒の心の行き場は、こうした学校の教育方針の中には、一切ないのです。これだけ多様性への理解が問われる時代にあって、恐るべきモノリシックな教育が意図的に行われていることに慄然とします。

そしてそれは、本分である学業についても同じです。

実は今日、保護者会があって、学院長もその会に参加しました。2021年度から行われる新しい大学入試制度について、いろいろと説明がありました。英語担当の教師は、英検の受験級やスコアがCEFRのスコア(新制度において採用される国際指標)にどのように変換されるかという非常にテクニカルな話を、インサイダーからの情報だと言ってうれしそうに事細かに話していました。

学院長は教育オタクですから、その話は興味深く聞きましたし、とても参考になりました。しかし、それは親が知るべきことでしょうか。

親は「よくわからないけど、あんたのことを信じているよ」と対応すれば、大学受験を控えた子どもには十分です。今ごろ、そのインサイダー知識を得て喜んだ親御さんが多数、喜々としてその話を子どもに説明したりしているかと思うと、それは喜劇のような悲劇のような、自分はちょっと塞いだような気持ちになります。

そんな話は、子ども自身が自分で調べて、必要だと思ったら自分で使えばいい、些末なテクニックに過ぎません。親がその知識を使って子どもに何かをするとしたら、それは子どもにとってのストレスの種にしかならないでしょう。

モノリシックな教育に家庭を巻き込まないでくれ。少なくとも第一子だったらそれが普通だと思ってしまうよ。

そんなこともわからないこの学校の教育方針は、上下がさかさまになっているくらいに時代の要請からずれていると、学院長は思います。

ブラック養成ギブスをはめているのかと、再度自問自答してわかりました。公立学校のトップ校が元来果たしてきた社会的役割を現代化して、本来の自主自律の校風とミックスすると、結果的にこのようなことになるのかも知れませんね。

ところで、学院長が好きな教材に、東京出版の「秘伝の算数」という本があります。これを書いたのは啓明舎という塾を作った後藤卓也という教師ですが、啓明舎がまだ独立資本だった頃、学院長はその塾の受験結果を振り返る年次報告会に出たことがあります。

塾長である後藤卓也は、とある女子校の大学進学実績を紹介して、その中にいる、製菓学校へ進学した生徒の話を紹介しました。そして彼は感極まって涙を流したのです。

それは、進学先を自ら選び取ったその生徒への思いと、そうしたことを一般にはよしとしない風潮、そして立場上よしとできない自らの受験請負人としての立場とがないまぜとなって、自然に溢れたものではなかったでしょうか。そのシーンは、教育者らしい、とても良心に満ちたものであったと、自分の心に深く刻みこまれています。

それに比べると、学校説明会で上位大学10校への進学実績を成果だと語る人を、自分は教育者らしいとは思いません。大学合格実績はその高校の実績としてのゴールかもしれませんが、生徒にとってはただの通過点です。しかしそれは学校空間では、明らかなゴールとして認識されている。そこを履き違えている限り、勉強をしない大学生が一向に減るわけはないじゃないですか。

セックス・アンド・ザ・シティ

何故だかわからないのですが、最近、自宅に戻ると自宅ちゃんが「セックス・アンド・ザ・シティ」をAmazon Prime Videoで見ています。

セックス・アンド・ザ・シティ シーズン2 (字幕版)

1998年から2004年にかけての作品なので、自分はちょうど乳幼児を連続で抱えている時期で、見たことがありません。タイトルが示す通り、性的描写が多く含まれています。正直、最初はこの作品を見ているムスメの様子に対して父親としてどう反応していいかわからず、キッチンからチラ見するような感じで、距離を置いていました。

「なんでそんなの見てんの?」
「………」
みたいな感じです。

ですが、数日のうちに双方とも慣れてきて、いつの間にかいっしょに見るようになりました(笑)。自分は家事をしながら適当に見ているだけですが、娘はどんどん見進めていて、シーズン2に入りました。

高校生とアラフィフのシングルパパがソファに座ってニューヨークに住む30代独身女性4人の恋愛模様を見ている様は、はたから見るととても滑稽に見えるようにも思えますが、さすが名作だけあってテンポよく、とても面白いです。父子家庭にならなければこのようなこともなかっただろうなと思います。まぁご夫妻とお子さんで見るケースもあるだろうけど、ご夫婦のどちらかが拒否反応を示すようなドラマじゃないかなぁ。

およそ20年前の作品ですが、自分が2019年の今見ると、とても違和感なく、面白く見られます(喫煙が多いのだけが違和感ありますが)。それは離婚したということもあるだろうし、また、日米の文化的な時間差みたいなこともあるでしょう。2017年のドラマ「東京タラレバ娘」にも通じるところがあるように思いました(このドラマも面白かった。ブレイク前の田中圭が出ています)。

東京タラレバ娘 DVD-BOX

ってな、どうでもいい話ですみません(^_^;)

ビタミンEサプリメントの話

前回のオフ会(TOKYO #2)は「健康(ダイエット)」をテーマに開催しました。

それで、ちょっと例によってわかりにくい告知ですみませんが、次回のオフ会(TOKYO #3)は、令和元年だけの祝日、2019年10月22日に開催します。1カ月前を切っているのに、企画が練り上がっていません。ここを見ている方で参加希望の方は時間を空けておいてください。港区で22日の午前中に開催します。

話を戻して、ダイエットの話です。オフ会ではサプリメントについては触れなかったのですが、僕はけっこうサプリを飲んでいます。でも、実際のところ、効果がよくわからない部分もあって、少しずつやめてみようかと考えているところです(以前、メガビタミンの話を書いたことがありますが、結局メガビタミンは続いていません)。

それで、まず、やめようと思っているサプリを今日は紹介します。それはビタミンEのサプリです。具体的には以下を飲んでいるのですが、Amazon定期おトク便の発注をスキップしてみました。

小林製薬の栄養補助食品 ビタミンE お徳用 約60日分 120粒

やめると決めた理由をいくつか書きます。

1)通常の食事では欠乏しない
ビタミンEは「通常の食品からの摂取において欠乏症を来すことや過剰症を来すことはない」とされています(カッコ書きは参考文献からの引用で、その参考文献へのリンクを本記事末尾に記載しています)。次項とも関連しますが、積極的に摂取する意味が、一般論とされるものやセールストーク以外には明確ではありません。

2)各種論文で結果がばらばらで効果が不明
「ビタミンEのサプリメントを用いた多くの介入試験の結果は、冠動脈疾患発症に対して有用であったとする報告と全く効果がないとする報告、さらにかえって死亡率を増加させるとする報告まで様々である。また、最近過剰量のビタミンEと骨粗鬆症の関連を示す報告があったが、動物実験データであり、臨床データの裏付けがない」(参考文献から引用)

3)主成分が植物油
これはTOKYO #2でも話した話題に関連しますが、僕は植物油の摂取を控えるべきと考えていて、それは多価不飽和脂肪酸は身体に悪いと考えているためです(細かい説明は省略します)。上記の僕が飲んでいるサプリの主成分は、小林製薬によれば、「大豆または菜種の油」だとされています。

天然のビタミンEですか? | 製品に関するよくあるご質問(Q&A) | 小林製薬株式会社

菜種油の主成分は一価不飽和脂肪酸のオレイン酸ですが、大豆油の主成分は自分が避けるべきと考えている多価不飽和脂肪酸のリノール酸です。

最後に、「じゃあなんで飲んでいたんだよ」という質問にお答えします。それは一般論に加えて、以下の書籍に感化されたためです。

(一般論の例)[ビタミンE]抗酸化で幅広い効果 : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞)

ビタミンE健康法 (健康基本知識シリーズ3)

(参考文献)厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書(うち、「ビタミン(脂溶性ビタミン)」の項目)

HGVCオーナーの方でここを見ている方いますか?

自分はこの春から、東京で隔月の勉強会(オフ会)をやっています。今まで名古屋も含めて3回やりまして、年内にあと2回を予定しています。

その会はまだテストフェーズで、どのような話題をどのように運営していったらいいか、まだ手探り状態なのですが、次回の4回目でひと区切りとして(年内の最終回は忘年会メインでやる予定)、年内に体制を固めて2020年から正式にスタートさせたいと思っているところです(法人化も検討しています)。

さて表題の通り、この最果ての地の雑記ブログをご覧の方で、HGVCオーナーの方で、その勉強会に協力してもいいよ、という奇特な方はいらっしゃいますか? 次回開催は10月22日(祝)の予定なので、その日が空いている方がいらっしゃればなお素晴らしい。

会としては、リゾート会員権の研究というものが一つのコアになるものなので、日本の特異なシステムをより深く理解するために、対比して海外タイムシェア、特に日本人会員が多く存在するHGVCについて、実際のことを教えていただける、自分とともにご登壇いただけそうな方がいらっしゃらないかなと思っている次第です。

日本を代表するリゾートホテルチェーンが、エクシブ+ベイコートにしても、東急ハーヴェストクラブにしても、リゾート会員権システムによって維持されているということを、誰も真面目に研究していないので、今後起きると僕が考えている未来に対して、きちんと考える「軸」を作っていければと思っています。

さらに、そんな方がいらっしゃるとは思いませんが、各種の士業、特に法曹関係の方や、学術関係の方がいらっしゃれば、ぜひお声がけください。今後起きると考えられることに対して、ユーザーサイド側からの研究だけでなく、法制度などの社会の枠組み側からも研究して、来たるべき何かに対して準備をしていきたいです。

というわけで、そんな方がいらしたら、お気軽にコンタクトしてください。コメントいただいてもいいですし、メールはresortboyあっとGmailです。

SFAが広がるとどうなるかを適当に予言しよう

先週からちょっと病気になってしまっているんですが、リハビリで小文を書いてみようと思います。

自分は零細企業の経営者を長くやっているし、家庭は崩壊してしまったので、いろいろな「制度設計のモデル」から完全に外れている存在になっています。だから、日本の社会をはすから見ることになっているわけですが、ヤバいなと感じることはいくつもあります。

・厚生労働省が定めている栄養摂取基準が正しくない。そのために成人病患者の増加が止まらない。
「食事バランスガイド」について|厚生労働省
・同じ理由で管理栄養士の知識が正しくないから、患者を治せずに医療費が増大し続ける。
・医療プロトコルにはビッグファーマの影が色濃く、また日本の医学研究は「不正大国」として海外から非難されている。
サイエンス誌があぶり出す「医学研究不正大国」ニッポン(榎木英介) – 個人 – Yahoo!ニュース

という感じで、アカデミアの世界もその先にあるお役所も、頭を抱えたくなるような状態だなと思っています。

つい健康の話をしてしまいましたが、これから書こうとしているのは、そうではなくて、日本の会社組織のあり方がこれから大きく変わるぞ~、それでさらにヤバいことが起きそうだ、という、無責任な予言みたいなものです。

小熊英二さんの「日本社会のしくみ 雇用・教育・福祉の歴史社会学 (講談社現代新書)」という本に書いてあるみたいですが、日本の世帯には大きく分けて3種類あるとされています。

1:大企業勤務者の世帯。老後は比較的安定しているが、地域ネットワークがらは疎遠で孤独になりがち。
2:地元型の世帯。多くは農林業従事者。大都市以外に住み、広い持ち家があり住居費が不要な多世代同居世帯。相互扶助の中で生きるが公的補助は薄い。
3:それ以外の非正規雇用者など。自宅を保有せず、大都市とその周辺に居住し、公的補助・地域ネットワークの恩恵もどちらも受けにくい類型。

従来、3の類型は多くなかったので、日本社会の制度設計は日本の世帯は1か2に属すると仮定して設計されていることが多いようです(年金制度など)。

それで、上記書籍によれば、世帯の類型別の比率は、大企業型が26%、地元型が36%、その他が38%だそうです。なんと、(自分から見た)世間でスタンダードとされている類型は4分の1しかないじゃありませんか。

それで、自分は子どもが3人いてそろそろ就職活動かなんかもはじまっているんですが、普通はその4分の1の生き方に最初から絞って活動をするわけですよね。したがって、大学での学びというものも、その4分の1に対してのものがメインになるのでしょう。また、都会にある社会人向けの講座(大学院大学とか)というと、その4分の1の世界の人が先生なんだから、これまた限定された世界ですね。

それで、例によって壮大な前振りですみませんが、この25%の人がさらに半分になって、半分は実質的に3番目のその他に強制移管されるという試みが、すごい勢いで進んでいることを指摘しておきたいと思います。

念頭にあるのは、Salesforceに代表される、SaaSで提供されるSFAソフトウェア(Sales Force Automation)です。乱暴な説明ですみませんが、それはどういうものかというと、

「Salesforceを使って営業活動のあらゆる行動をデータ化して一元管理して、Salesforceの秘伝のタレ的な営業支援メソッドに沿って、指示通りにコトを進めていけば営業効率が抜群に上がるし、またデータ化されているから働く場所も問わないよ!」

ってなものなわけです。

世界No.1 CRM・SFA – Sales Cloud | セールスフォース・ドットコム

これが今「働き方改革」なるラベルが貼られることによって、爆発的に大企業に入りはじめています。要するに、今までよくわからなかった営業のスキルや、適当だった勤怠管理や、ムダの多かった会議や情報共有を、SaaSのソフトに全部突っ込んで解決しちゃおうよ、それが働き方改革を実現する近道だよね!ということです。

こうして、日本企業は続々と、自らの企業を「デジタル時代に再構築する」ことを放棄して、SalesforceをはじめとするSFAなどを導入することでお手軽に済ませようとしています。

地方の活力は衰退する一方ですから、一部の大企業を目指して多くの人が大都市圏に住みます。ですが、こうしたSaaSツールのおかげで、フルタイム社員ばかりにはなりません。SFAのAIが出す指示は正確で、これまでのダラダラした仕事スタイルよりも格段に業務効率が上がってしまうため、従来ほどの人数がいらないからです。

また、すべてのデータはクラウドにありますから、PCやスマホがそれをディスプレイすれば仕事ができます。だから、働き方自体が変わってしまって、大企業の中で大きな二分化が発生します。日本の社会はよく、大企業と下請けの2層構造になっているなどと言われますが、下請け企業は衰退し続け、大企業がこうしたデジタル化を背景に「自ら二層化」する世界がやってきます。

以下、現在進行系で起きていることを、フィクションを交えて誇張して書きます。

大企業がクラウドに構築したシステムによって、会議は減り、営業活動も直行直帰がメインとなって、会社はフリーアドレスとなり、面積が減りました。

中途半端な支社はクローズされ、かわりにターミナル駅の近くのシェアオフィスの利用が提案されました。個室相当の場所があれば自宅勤務でもいいという制度も作られます。商談の予約はシェアオフィスだけでなく、大手ホテルチェーンが提供するラウンジや応接ルームの利用も推奨されています。

会社にあったパブリックスペースはこうして急激に外注先の利用に変化しました。予約は営業のアポに応じてクラウドのAIがやってくれるので、社員はその指示に沿うだけです。ランチの提案までしてくれるのには驚きました。

こうして、大企業に勤めながらも、「席のある人」と「席のない人」の分断化が進みました。給料はそれほど違わないのかもしれませんが、どうも「席あり派」の方が出世に直結していそうで、長期的には、席なし派は仕事以外の生きがいを見つけないといけなくなりそうです。

こうして急激に儲かっていったのがSFAやCRMなどを提供するSaaSベンダー。そして、これらに対して働く空間を提供する新しいタイプの不動産ベンダーです。

従来は「貸会議室」「高級ホテル」「ビジネスホテル」「ラウンジ」「カフェ・喫茶店」「コワーキングスペース」「シェアオフィス」「カラオケルーム」などとそれぞれの業態であったものが、「仕事場を提供する」という切り口で融合して、それらをAIを使って束ねて企業に販売するオンラインの「配室エージェント」が生まれ、大手ホテルチェーンやOTA(Online Travel Agent)などが入り乱れて覇を競うようになります。

こうした徹底した効率の追求は、「働き方改革」の錦の御旗のもとにバラ色の未来として進められるわけですが、新しい形での社会の分断化をより進める可能性も高いでしょう。だって、先ほど言った、大企業は4分の1という部分が、こうして2つに分断されて8分の1になってしまったら、それを「前提」としている教育や社会の制度設計は、もうほとんど意味のないものに成り下がってしまうからです。

それに、SFAが社会制度に及ぼす影響を研究している研究者なんていないみたいだし(いらしたらお会いしたいので教えてください)。すでに「意味のないもの」になりつつあるひとつの現れだよね。

記事更新遅延のお詫び

読者の皆さん。

この裏ブログのみならず、表ブログも記事更新が滞っていて申し訳ありません。ただいま記事を書く時間がなかなか取れない状況にありまして、この週末でなんとかリハビリして立て直したいと思っております。

というわけで、また来てね。よろしくお願いします。