今日10月27日は、エクシブの翌年分の年会費(正式には運営管理費)の引き落とし日である(13泊バージョン会員が10月、26泊ノーマル会員は11月)。こういうときに「オーナー」であることを強く意識するわけだが、そもそもオーナーとはどういうことなのか、年会費の引き落とし日ということで、今一度考えてみたい。
そもそも、われわれ会員がなぜ「オーナー」と呼ばれるかというと、エクシブのシステムは不動産の区分所有権を基本としているからだ。
かつての部屋ごとのタイムシェアにしても、現行のフロアシェアにしても、エクシブの客室は会員が所有しており、その管理・運営業務をリゾートトラストに委託している。ついつい忘れがちだが、ここが何よりも根本の部分である。だから不動産登記もするし、それによって固定資産税などの租税公課の負担義務も生じているのである。
建造物は永遠のものではないから、いつかは滅失・毀損する運命にある。エクシブにおいては建て直しの事例はないので今後どうなるのかは僕には予想することができないが、経年変化ではなく、不可抗力による災害や事故があった場合はどうなるのだろうか。
リゾートホテルは山の中や海沿いなど、自然災害に遭いやすい立地条件になることが必然。思い起こされるのは2012年7月の東急リゾートタウン蓼科での土砂崩れである。
(テレビニュースの報道画面より)
2012年7月28日夜、局地的豪雨によって東急ハーヴェストクラブ蓼科本館の駐車場が崩落するという事故があった。駐車場に止めてあった車とともに土砂が300メートルに渡って押し流され、別荘1棟が全壊した。
(テレビニュースの報道画面より)
災害についてはエクシブの不動産売買契約書に記載がある。
僕の手元にあるものの中で比較的新しい、エクシブ箱根離宮の契約書によれば、「本物件の所有権移転後、天変地異その他の不可抗力によりまたは乙(注:リゾートトラストのこと)の責に帰することのできない事由により生じた本物件の滅失・毀損については、乙は責任を負わない」(第13条3項)と書かれていて、責任の負担は買主(オーナー)側となることが示唆されている。
不動産の所有という観点からすると当たり前のことだが、「当たり前だ」と誰もが腹落ちするほどに納得できないところに、リゾート会員権の難しさがあると思う。
ともあれ、自分が所有している物件のハザードマップくらいチェックしておいたほうがよいような気がする。
例えば、各都道府県は土砂災害防止法に基づき、「土砂災害警戒区域」および「土砂災害特別警戒区域」を指定し、その位置情報を詳しくホームページで公開している。以下の画面は神奈川県の事例。
リンク集として「各都道府県が公開している土砂災害危険箇所と土砂災害警戒区域 – 国土交通省水管理・国土保全局砂防部」を紹介しておく。
これらを使って見てみると、関東のエクシブではエクシブ山中湖の一部が土砂災害警戒区域に指定されていた。エクシブ山中湖の富士山に向かって左半分程度がそれにあたる。
むしろエクシブ箱根離宮の方が川に向かっていて土砂が流れ込んでくるようなイメージがあったが、調べてみるとそうしたリスクはないようだ(黄色部分が土砂災害警戒区域)。
この他、エクシブ蓼科、エクシブ軽井沢、エクシブ伊豆については指定がなかった。他のエクシブは調べていない。興味を持たれたら自分の所有施設について調べておくと「オーナー」としての責任や義務を味わえるかもしれない。
最後に申し添えますが、この記事はエクシブ山中湖が危険だということを伝えたいわけでは全くありません。誤解なきようお願いいたします。
不動産を所有するということはすなわち、譲渡して所有者でなくなるまで所有者としての責任から逃れることができない。この、ごくごく当たり前のことながら、ついつい「たかがリゾートクラブ」と忘れてしまうことについて、「年会費の納入」をきっかけに考えてみては、ということです。
建物が老朽化した場合、どうなるのか、興味深いですね。
建て替えの費用を全額オーナー負担にするなら、新規会員権の販売にも大きく影響するでしょう。
記事のように、自然災害のリスクを心に留める必要もありますね。
エクシブ鳥羽別邸の新規オープンに関連して、“オールド”エクシブ鳥羽本館の多くの客室が全面的にリフォームされました。客室リフォームについての「各オーナー確認、費用の応分負担」等、実際はどうだったのでしょうかね?
各オーナーには「手紙1枚の連絡+全額会社負担」で事を運んだ気がしますが。(推測)
私もそう思います。
ただ、会社の経営が悪化した時が気にかかります。
その時には、会員権を手放すことすらできず、引き取ってもらうのに、会員が支払いをすることにもなるのでしょうね。
昨日開示された第2四半期決算発表は下方修正で、リゾートトラストの業績は大丈夫ですか!?
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リゾートトラ、今期経常を一転22%減益に下方修正
リゾートトラスト が10月28日大引け後(15:00)に業績修正を発表。17年3月期の連結経常利益を従来予想の195億円→151億円(前期は194億円)に22.6%下方修正し、一転して22.3%減益見通しとなった。
同時に、4-9月期(上期)の連結経常利益も従来予想の77億円→47億円(前年同期は95.7億円)に39.0%下方修正し、減益率が19.5%減→50.9%減に拡大する見通しとなった。
業績については裏ブログの方でいち早くお伝えしておりましたが、大変懸念されるところですね。
何度か記事の中で触れているように、リゾートに対するニーズの変化が起きていて、リゾートトラストもそれに対応しようとしているとは思いますが、リゾート会員権の販売には相当な時間がかかるという宿命があります。変化のスピードに着いていけるかというと難しいものを感じます。
ホテル業界は同じホテルが幾度もマネジメントを変えながら存続していく業界ですが、会員制リゾートは建て替え不能なマンションのようなもので、細かく分かれた区分所有権によって時代の変化への対応が難しいという側面があるように感じます。
このブログで勉強させてもらっております一読者です。
エクシブの購入ガイドのフォルダの記事を読み、スイートのバージョンまたはバージョンZの購入を考えているんですがここでいくつか質問があります。
現在の相場で200万円前後の会員権価格と50万円くらいの諸費用で総額250万ほどを予算として考えており、特に購入を急いでいないので、12月か3月の売りが多く出そうな時期に買おうかなーと思っています。
質問はエクシブがつぶれた場合どうなるのかなんです。購入した250万円が0になるのはいいとして、年10万円ほどの会費は払わなくてもいいと思いますが、固定資産税はずっと来ますよね?よくわかりませんが、土地分5000円、建物分5000円の1万円が毎年来るとして建物のほうの5000円は廃墟になって自然崩壊するまで払う。土地分の5000円は未来永劫払い続けるとなるのでしょうか?
バブル時の別荘のリゾートマンションはタダでも売れないらしいのですが、この所有者さんは上記のようにずっと払ってるんでしょうか?所有権の放棄という形で国にあげますー。ってのも法律上実質できないようですし、チャンスがあるとすれば相続時に相続人に放棄してもらうしかないのかな?
あと、ルームチャージ差額という言葉がよく出てきますが、ここがいまいち理解できません。
もしよければ、教えてください。
ひろひろひろっぴさん、こんにちは。エクシブ(リゾートトラスト)の経営に不調があって、会員権が紙くず化したときのことを危惧されているということだと思います。
このブログを読んでいる方はそれなりに皆さん覚悟しているんじゃないかと想像しますが、ご認識の通り、不動産(土地と建物)は、個人(または法人)の区分所有権として持分登記されているので、未来永劫(という表現が適切かわかりませんが)、その登記された方に税が賦課されることになります。それは共有制の会員権という性質上、仕方がないことですね。
この点を気にして、共有制ではない預託制の会員権を買われる方もいらっしゃると思います。
(参考)ご入会にあたって|東急ハーヴェストクラブ|東急不動産の会員制リゾートホテル
それと、ルームチャージ差額は今年から制度がなくなってしまったので、今から気にされることはないかと思います。この件については、下記の記事で解説しました。
resortboy's blog – リゾート会員権ブログ – メリットが消えてゆく
RT社が倒産した時の持分の税金についてですが、それほど心配されることはないと思います。
可能性としては、
(1) 破産管財人がみなさんの持分権利について承諾書を取り、一括してどこかに売り払い僅かではありますが、返済されることになるでしょう。
(2)RT社の業務を引き継ぐ会社が現れるかもしれません(もちろん、その時は現在より大幅に条件は悪くなるでしょうが)。この時は、新会社に契約するか、あるいは権利を放棄するかを選択することになるでしょう。
のいずれかになるのではないでしょうか。
resortboyさん、サンデー毎日さん、アドバイスありがとうございます。
大変参考になりました。
伊豆山で大災害が発生してしまいました。締め切りのレポートがあって(一応、学生なので…)、災害の件を調べていられないのですが、リゾートライフと切り離せない話題なので、関連記事のスレ上げのためにコメントを入れておきます。
静岡 熱海市 土石流が発生 20人安否不明 2人が心肺停止 | 大雨情報(7月) | NHKニュース
今回の災害は、僕も行ったことのある共立メンテナンスのホテル、ラビスタ伊豆山のあたりで発生したようです。土石流は国道135号を越えて熱海ビーチライン近くまで行ったということで、想像するだけで恐ろしいです。
この親記事ではハザードマップの話題を取り上げていますが、今回の災害は、土石流危険渓流に指定されている区域で発生したということです。この「土石流危険渓流」が地域指定に指定されている会員制ホテルもありますので、オーナーの方はご認識されたほうがよいかもしれません。
本日午後2時30分現在、80人の安否が確認できていなくて、別荘の利用者が多いため居住実態が把握できず、確認作業が難航しているということです。
パンデミックの最中で、特に滞在中の人が多かった可能性もあります。
コロナの感染を避けての別荘での避難中に、別の災害に合うなんて、ご本人や身内の方は想像だにしなかったことでしょう。
blueroseさん、コメントありがとうございます。身近なリゾート地で発生したことで、自分もかなりショックを受けています。いろいろ調査しているのですが、記事にまとめるまでには至っておりません。
国土地理院が、調査結果を以下のページでまとめています。
令和3年(2021年)7月1日からの大雨に関する情報 | 国土地理院
手っ取り早く見たい方は、以下をクリックしてご覧ください。
地理院地図で見る
これを拡大してみると、国土地理院が被害区域として青い四角で囲っているところの左肩に、ちょうどリゾートホテルのラビスタ伊豆山があります(オレンジ色の屋根)。まさにぎりぎりで難を逃れたように見えます。
土砂崩落の起点となったと言われている盛土部分の近くには、リゾートトラストが大成建設から買ったホテル用地があります。盛土部分の少し右側に自動車教習所(マジオドライバーズスクール熱海校)があり、さらにその上のエリアが大成建設が開発した別荘地ですから、そのあたりと思います。
(参考)リゾートトラストが伊豆山にホテル用地|リゾートトラスト – resortboy's blog – リゾートホテルとホテル会員制度の研究
また、国土地理院の地図で青く囲われている中、被害区域の中程にはテニスコートを転用した駐車場があり、それはリゾーピア熱海の第2駐車場です。
(参考)山の上の第2駐車場|リゾーピア熱海 – resortboy's blog – リゾートホテルとホテル会員制度の研究
このように、被害区域からわずかに離れた部分だけでも、このようにいくつかの身近な場所があります。もちろん、少し目を広げれば、近隣には東急ハーヴェストクラブ熱海伊豆山があり、今は改装休業中の星野リゾート界があり、土砂が海に流れ込んだ伊豆山港に面したところには赤い屋根で有名なかつての高級ホテル、水葉亭(今は大江戸温泉傘下)もあるわけです。
今回のニュースで、盛土、というキーワードを知りました。リゾート地には谷を埋めて(盛土して)開発された別荘地があります。それは珍しいことではなく、とあるエクシブの近くにも谷を埋めた「大規模盛土造成地」として指定されている区域を確認しました。
こうした話題は不動産の価値につながる「微妙」な問題ですから、どれだけ記事化すべきかについては、考えているところです。