キャッシュフロー計算書を読んでみよう -1

3週間ほど前に、東京は港区の某所でオフ会(勉強会)を開催しました。かねてお伝えしている通り(ん、別にお伝えしてはいないか?)、僕はこのブログでの活動を発展させて、リアルの勉強会にシフトしていきたいと考えていて、その第一弾となる会をまずは成功裡に終えたところです。

その会からの成果物をインターネット上に発信することを通じて、自分としての社会貢献をしてきたい、というのが本筋であります。僕は肩書も実績もない、何者でもない人間ですが、一生は学びの連続であるというコンセプトのもとで、気の合う仲間と学びを重ねていければいいなと考えている次第です。

オープンな会なのでよかったら皆さんもご参加ください。ちなみに冒頭の写真は開催前に打ち合わせを行った田町のプルマンのロビーです。

さて、そのオフ会のメインテーマは、「リゾートトラストはどこへ行く」と題して、発表になったばかりの2019年3月期の決算説明会の内容を、同社の過去の動向を踏まえて読み解いてみよう、というものでした。その講演内容については、つまらぬトラブルを避けたいので、公開についてはひとまず後回しとしています。

会の後半では世話人のMさんにご登壇願って、リゾートトラスト社のキャッシュフロー計算書を読んでみる、という意欲的な企画に取り組みました。今日のブログではその内容について、さわりの部分をお届けしてみます。

勉強会の成果をどのような形で発表してけばいいのか、まだまだ試行錯誤している途中ですが、会の雰囲気をお伝えして、今後のご参加への参考となればいいなと思います。それでは、はじまり、はじまり…。

resortboy(以下R):えー、批判的な話ばかりと誤解をされると困るので、リゾートトラストというのはしっかりとした財務基盤を持つ、非常にまっとうな会社であるという点についても光を当てたいな、というふうに考えています。

そこで、今日のゲストとして世話人団の一員であるところのMさんをご紹介します。公認会計士・税理士業務をなさっている方です。簡単にプロフィールをお願いします。

Mさん(以下M):ご紹介いただきましたように私は公認会計士なんですが、たまたま世話人をやっている人間が公認会計士だっただけで、リゾートトラスト社の研究は全くしていません(笑)。「リゾートトラスト社を研究している公認会計士」として何か喋るわけではありませんのでご了解ください。よろしくお願いします。

R:というわけで、ちょっと今日は難しいテーマなのですけれども。最初は「決算短信を読んでみよう」というテーマで作ろうかと思ったんですけど、短信とはいえめちゃくちゃ量が多いので、その中の「キャッシュフロー計算書」っていう部分に絞って見てみたいと思います。

まず、ここにいらっしゃる方々で、株式投資を何らかの形で手がけていて、個別株などをやっていらっしゃる方は挙手をお願いします(挙手多数)。はい、みなさん、すごく今日はご参加されてよかったですね。

決算書っていうのは「会社の意見の表明である」というようなことがよく言われていて、利益の調整であるとか、そういったことがかなりできるのかな、っていうふうに皆さん思われていると思います。

ですが、お金の流れである「キャッシュフロー計算書」というのが必ず決済資料にはセットで入っています。「キャッシュフローに隠しごとはできない」というようなことがよく言われますね。まずはそのココロは、というところを、ごく一般的な話として説明していただけますか。

M:利益を示す財務諸表が「損益計算書」ですけれど、損益計算書というのは、会計技術的な組み替えによって表示するものでして、世の中には粉飾計算という言葉があるように、いろいろ操作をすれば、損益計算書というのは結構「作れたり」します。

ところがキャッシュフローというのは、もうその名の通りお金の流れですから、取り繕うことはできないわけですね。なぜならば、今ある現金はいくらですか、っていうのがバーンと出てきてしまうわけですから。残っているお金というのは、裏帳簿でも作らない限り、粉飾することができません。

したがって、その会社の資金の流れがどうか、という点を示すキャッシュフロー計算書を見ると、取り繕えたり化粧を施せる損益計算書よりも、会社の実態を現しやすい、いうことは言えると思います。

R:株価を取り上げるニュースでは「今期の利益は何億を見込む」というような形で、必ず利益の動向について語られていると思います。しかし、そこだけに注目していると失敗してしまう。例えば、僕が以前持っていたマンションデベロッパーが破綻して、株が紙切れになってしまったことがあったんです。でもそれは最高益を記録した直後だったりしたんですね。その失敗は、キャッシュフローに目を向けていなかったからなのかなと、今にして思うわけです。

例えばそういうことを防ぐために、キャッシュフローに現れる典型的な兆候というものはあるでしょうか。

M:例えば、期末に押し込むような形で販売をしたような場合に、損益計算書では利益がバーンと出ますけれど、実はその販売したものの回収ができていなくて、資金がショートして倒産してしまう、というのは、典型的なケースかなと思います。

R:すごく儲かってる割には、現金がすごく減ってしまっているとかっていう?

M:そうですね。

R:わかりました。そういった視点で、株式投資をやる時に、最低限チェックしておいたほうがいいよね、みたいな基本のところを、今日はお話できるといいなと思っています。

まず、営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローって3つあると言いますけど、まずそれらの基礎についてお願いします。

(出典:リゾートトラスト決算短信)

M:営業キャッシュフローは、「営業活動」って書いてある通り「本業」ですね。本業によるキャッシュフローです。ですから、まずここがプラスになっていることが、健全な財務運営にとって最重要です。

次に投資活動によるキャッシュフロー。リゾートトラスト社はマイナスになっています。これがなぜマイナスになるかというと、例えば不動産のような固定資産を買ったり、あるいは無形固定資産を買ったりという投資活動によってキャッシュが出ていくためです。投資に関わるキャッシュの流れを現すのがこれですね。

R:ちょっといいですか。今、投資活動のキャッシュフローがマイナスっていうのは、出てる方が多いということですよね

M:そうです。

R:つまり投資をしたからマイナスになったという。だからこれは、マイナスだから悪いって話じゃなくて、むしろお金が回っている範囲で投資をして、次の土地を仕入れるとかそういう活動がここだと。

M:普通はマイナスになることが多いです。

R:要するにそれがプラスになっているということは、利益を生み出すための投資を「回収」しているということで、普通に考えたらちょっとおかしなイメージになりますね。

M:そうです。本業で儲けて次に備える投資をする、ということですから、本業(営業)が黒字で投資がマイナスというのが普通ということです。

R:じゃあこれは非常にまっとうであるっていうことですね。

M:本業によるキャッシュイン、次に備えるキャッシュアウト。この2つを足してプラスであると、健全と言えます。

R:つまり、会社にお金が残っている状態ということですね。

M:はい、投資もして次に備えつつもプラスであるということが重要です。

R:例えば、あまり儲かってないのにばんばん土地を買うなどして次の売り上げのための準備をするのでは、本末顛倒というわけですね。それでこの資料で言うと、いずれもリゾートラストは営業キャッシュフローの範囲内で投資活動をしているので、これは健全であるということですね。

M:はい。

次に財務活動によるキャッシュフローは、ほぼ資金調達ですね。例えば借入金の借入とかですね。あるいは返済とか。リゾートトラストは社債も発行していますから、社債の償還によるキャッシュアウトなどもここに含まれます。

例えばスタートアップ企業などでは、現業によるキャッシュインがあまりないような場合には、営業活動と投資活動を足してもマイナスかもしれません。その場合には借入や増資などで賄って、なんとかこの増減、トータルキャッシュフローをトントンにする、といったことになります。

リゾートトラスト社はトータルキャッシュフローはマイナスですけど、リゾートトラスト社はもともとお金を持っています。2018年3月で324億の現金を持っていますし、この前の3月で238億の現金を持っています。その範囲内で借入金などを返済しているということで、トータルキャッシュフローは85億とかのマイナスになってはいますね。

R:えーと今、皆さんこうしてキャッシュフロー計算書を読めるようになったと思うんですけど、まとめさせていただくと、営業で稼いだお金の範囲で投資活動を行って次に備えるというのが1行目と2行目。3行目は、現預金に余裕があれば負債なんかを返済するなどして費用を抑える、もしくは会社の財務をスリムにする。そんなような理解でいいですかね。

M:はい、そうですね。

(続き)キャッシュフロー計算書を読んでみよう -2 | resortboy’s blog

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