文法訓練で話せる。だから聞ける – 英語は世界を開く!(3)

7月に開催した名古屋オフ会のゲスト、funasanことトラベルライターの舟橋栄二さんに聞く「英語は世界を開く」の3回目をお送りします。今回は具体的な英語のトレーニング方法について伺います。よく「英会話では文法を気にしすぎない」などということが、まことしやかに語られます。しかし舟橋さんは、「文法の反復練習こそが大事で、スピーキングができるからこそリスニングも伸びる」と、自らの体験から語ります。少しはヒアリングマラソンの努力もあったのでは? その答えは以下で。

(第1回の記事はこちら)英語は世界を開く!- 舟橋栄二さん(1)
(第2回の記事はこちら)40代で自ら仕掛けた人生の転機 – 英語は世界を開く!(2)

resortboy(以下R):今の高校2年生から大学受験でセンター試験がなくなって、「大学入学共通テスト」と言って、英語試験の改革が行われることになっています。そこでは「4技能」といって、聞く・話す・読む・書くという4つのスキルをバランスよく見ましょう、っていうことになってるんですね。

舟橋さんは「英語圏で暮らすんだ」という勢いで学んでいらしたので、この4技能についてそれぞれ意識されていたと思うのですが、御本の中ではさほど切り分けてお書きになっていなかったと感じます。そこで改めて、この4技能についてそれぞれの視点からお話を伺っていこうと思います。

funasan(以下F):本に書いたのですが、まずは「Mr.Evineの中学英文法を修了するドリル」。これで英文法、例えば、不定詞とか関係代名詞、現在完了といった基本事項をきちっとやる。

Mr. Evineの 中学英文法を修了するドリル Mr. Evine シリーズ

その次には「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング」。例えば不定詞なら不定詞の文法についてきちっと理解をした上で、この本の不定詞だけを、もうバーっとやるという。

どんどん話すための瞬間英作文トレーニング (CD BOOK)

実は海外旅行に行く直前に、もう一回、自分のウイークポイントの文法分野を復習してから出かけるんですけど、これが本当に役に立つんですよね。

R:一番軸になっているのは、森沢洋介さんのいわゆる「瞬間英作文」シリーズ、ということですか?

F:そうです。

R:その裏付けとして、先にMr. Evineで英文法をきっちり理解しておいて、トレーニングを瞬間英作文でやるという流れですね。

F:普通の人たちが英語をしゃべれない理由というのは、英文を丸暗記して、その丸暗記したやつを現場で使うという考えにあると思います。英語を使う「現場」は無限にあるのだから、そんなに役に立つはずがないんです。

この瞬間英作文でトレーニングするポイントは、文法を理解していることは当然として、それを「使える文法に鍛える」ということなんですよね。

R:まさに運動のトレーニングに近いような感じですよね。

F:そうそう。だから、例えば不定詞なら、それを「無意識的」に使えなきゃいけないです。思った瞬間、もう英語でパッと出てこないといけない。使える英文法に鍛えるというのが、トレーニングの意味なんですよね。

R:今おっしゃっているのは、この4技能でいうと「話す」に当たりますよね。海外旅行に行くとしたら、この4技能で一番日本人が弱くてトレーニングしなきゃいけないのは、話すっていうところですかね。

先ほどの話で、「読む」は、大学生の時代に自信がおありだったという話がありましたが、「話す」っていうところが、一番、舟橋さんがフォーカスしているところですか?

F:話さなければ何にも進まないので(笑)。だからいま話した方法で、普通の海外旅行ぐらいはもう十分にできると思うんですね。この2つの教材で。それで、文型をバラバラに並べた「シャッフルトレーニング」をバーっと練習していけば、さらにOK、という気がするんですね。

スラスラ話すための瞬間英作文シャッフルトレーニング

こうして「話す力」が出てくると、リスニングも上がって来ますね、自然に。

R:森沢さんの瞬間英作文シリーズは別格として、トレーニングに向いた類似の本はたくさんありますけど、あんまり売れないという話があります。実は、僕は出版の仕事をしていまして。それで、英語本で一番売れる本っていうのは別の種類のものだと聞いています。

トレーニング系の本がなぜ売れないかというと、疲れちゃうからだと。舟橋さんみたいな、汲めども尽きぬモチベーションがある人ばかりじゃないから。だから、英語本で何が一番売れるかっていうと「ヒアリング」の本だというんですね。

それは、聞くというのは、何か楽な感じがするから。「聞いているだけでいい」みたいな教材とかいっぱいありますよね。

僕も舟橋さんと同意見で、話せるから聞ける、ということがあると思うんですが、舟橋さんが長年トレーニングされていて、ブレイクスルーを得た経験みたいなものはおありですか?

F:「聞く力」はやっぱり、「話す力」が伸びれば伸びるほど、後から「追って」来ていましたね。

R:さきほど、「ヒアリングマラソン」は全然ダメ、みたいな話がありましたけれど、その時代の経験っていうのは、その後、突然それが開花するといった、そういうことはなかったですか? それとも全然ムダだったんですかね。

F:ムダですね(笑)。ほんとつまらないんですよ、リスニング訓練っていうのは。もう、誰が耐えられるのかな?というくらい苦しい。

R:リスニングがですか? スピーキング訓練の方が大変じゃないですか? スピーキングの方は、極論するとバカみたいなことをずっとやるわけですよね、いわゆる「パターンプラクティス」をずっと。

F:いや、バカをやるんですよ。筋トレなんですよ、これ(笑)。

R:でもスポーツで筋トレを楽しいという人はあまりいなくて、やはり球技とかそういうをやりたいじゃないですか。だから皆さん、英会話学校に行っても、その「筋トレ部分」がないから、なかなかしゃべれるようにならなくて、その結果、聞けるようにもならないということなのかな。

F:森沢さんの本で「音読パッケージトレーニング」というのもあって、これも本当にいい本で、リスニング訓練に抜群です。これに沿ってシャドーイングとかリピーティングとかやっていけばいいんですが、私、これは耐えられないんですよね。合う合わないがあるんでしょうね。

みるみる英語力がアップする音読パッケージトレーニング(CD BOOK)

R:英語力アップのカギは、やっぱりこの「話す」っていうところにあるっていうところが、舟橋さんの実感としてあるわけですね。いま、分けて話そうと思っていましたが、別に分かれているわけじゃなくて。

F:だから、いま私が中学校の英語教員だったら、とにかくかんたんな英語をしゃべらせますよ。

R:しゃべらせることを通じて総合的に伸ばしていく、っていうイメージですよね。

F:そうです。とにかく「基礎体力」を作ると。

話す力ってめちゃくちゃ大事で、1つはね、思ったことがパッと出てくるようになると、海外にいた時、構えなくたっていいんですよ。例えばフロントやエグゼクティブラウンジ、それから空港のチェックインカウンターに行っても、ひゅひゅっと行って自分の思ったことを言えばいい。

もっといいのは電話ですよね。面と向かって英語で話すなら、ちょっとは余裕がありますけれど、電話っていうのはほんとに苦しいですよね。

この瞬間英作文を何回も何回も繰り返しやり終えたある時から、ホテルでの電話への抵抗がグーっと下がってきて、ものすごく楽になりました。要するに電話で、いろんなクレームができるんですよね(笑)。

エアコンが効かないとか、ホットタブがダメだとか。最近はマリオットとかヒルトンの上級メンバーになったので、いろいろアップグレートもしてくれるんですけど、そんなときに電話で、「今から部屋を出て2時間後くらいに戻るから、その間に掃除してくれ」とかね。そうすれば、帰ったらお部屋がビシっとなってますよね。それはこれひとつ(本をかざす)でできますよ。

(続き)英語の生情報を旅や投資に活かす – 英語は世界を開く!(4)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

😂 😍 🤣 😊 🙏 💕 😭 😘 👍 😅 👏 😁 🔥 💔 💖 😢 🤔 😆 🙄 💪 😉 👌 😔 😎 😇 🎉 😱 🌸 😋 💯 🙈 😒 🤭 👊 😊