ホテル利用学への招待 – 2

僕、resortboyが提唱している「ホテル利用学」に関する講演録の2回目をお送りします。このお正月休みはエクシブのはしごをしたり、チェーン系のホテルも組み合わせて、まさにここで話しているような、ホテルをステージとした自由な休暇の過ごし方を実践しているところです。

ですが、これを書いているのは令和2年の元日の夜。ブロガーひまなしですね。本年も皆さま、どうぞよろしくお願い申し上げます。

前回の記事はこちらです。未読の方はこちらからお読みください。前回に引き続いて、ホテル利用学の社会学的な背景について説明を進めていきます。

ホテル利用学への招待 – 1 | resortboy’s blog – リゾートホテルとホテル会員制度の研究

resortboy(以下R):ホテル利用学の背景説明の4枚目は、「背景4)まだ持ち家志向の時代」です。これは比較的新しい2018年までのデータですけれど、住宅ローンの残高をグラフにしたものです。

(画像出典:若くて持ち家、借金膨らむ 20~30代の残高最高に:2019/7/8 日本経済新聞 電子版

この一番高い位置に見えている折れ線が30代ですが、ここ10年くらいで、この30代のローン残高が1.5倍ぐらいに急増しています。これは日本の政府がそういうふうに誘導しているからですけれども、非常に由々しきことだなと思っています。

僕の裏ブログをお読みの方にはお分かりかもしれませんが、現代の高等教育というのは非常に画一的な価値観のもとで行われているという印象を持っています。こういうデータを見ると、持ち家志向というものが、家族というものがこれまで説明してきたように、てんでんばらばらでに暮らす時代でありながら、30代といった若年層でのマイホーム志向が極めて強くて、しかもこの10年くらいでものすごく強化されている。これは非常に恐ろしいことだなと思います。

さて、いま4つだけ背景についてのデータを示しました。その上で、「ホテル利用学」という学びを僕が提唱してみたいと考えている背景を改めてまとめてみます。

まず、現代は、人生そのものがクラウド化する時代ではないかな、というふうに思っています。

僕には高齢の父がいまして、老人ホームに入ったので空き家になってしまった実家を片付けているんですが、全然片付きません(苦笑)。それは、思いの詰まったものが大量にあって、捨てられないんですね。

多くのものは書籍であるとか、レコードであるとか古いテープみたいなものとか。ここにはDVDって書いてありますが、実家には大量の8ミリなどがあります。それから写真ですね。いっぱいあって、捨てきれません。

ですが、これからの時代については、これらはもうすべてがデジタル化され、クラウド化が完了しています。従来的な意味での家庭にある書斎や倉庫みたいなものは、どんどん過去のものになっていくはずです。

また、現状の僕の家庭について考えてみますと、今、家族はばらばらに暮らしていますけれど、情報空間がクラウド化しています。

今は高校生の女の子と2人で住んでいますが、同じ場所にいるけれども、お互いに勝手に、LINEで違う人たちとお話をしたり、ここにいらっしゃる皆さまとネットワークでつながったリしています。同じ場所にいるけれども、情報空間自体はクラウド化していて、分断されているんですね。

それから、人生が非常に長く、異常に長くなりました。子育てが終わってからが、むしろ人生の本番になる時代になったような気がしています。

また先ほど、持ち家志向の話をしましたので、ここで再度マイホームの話をします。結構昔から言われていることではありますけれど、家というのは、子育てをするときに買うのではなくて、子育てが終わってから、セカンドステージで現金で買う方よっぽど有利じゃないか、という考え方があります。大きなローンを組まなくてよいから、トータルのコストを何割も下げることができる。

そういう考え方が結構当たり前になるんじゃないかなとか思う反面、先ほど申し上げたように若年層のローン負担は急増している。これはいったいどういう国家の意図なのかなと思っています。

これらを総合的にまとめますと、「家庭そのものが情報化している時代」なのかなというふうに考えています。

そういう時代においては、住まいというものを考えるときにマイホームにこだわるのではなくて、賃貸住宅やホテルなどを組み合わせて、家庭の時々のニーズに合わせて、ここでは「オンデマンド調達」と書きましたが、必要に応じた調達を随時していくような価値観に変わっていくのが合理的ではないかなと思うわけです。

家庭というものの、どういうところに軸を置いたらいいのかっていうのは、結局、40年以上前のドラマで言っているのと同じことで、思い出情報の蓄積、ということが大事になってくるのではないかなと思っています。

ここまでの話を一言でまとめると、ファミリーの主戦場というのは、マイホームという形のあるものから、形のない情報そのものに移行していく時代なのかなと思っております。

結婚をして、子育てをして、その後で、夫婦2人になってからの方がずっと長いという時代に、皆さんも僕も生きています。そこで提案です。「ホテルライフを家庭に実装しよう」と。

まぁここにいらっしゃる方々は、すでに実装されている方ばかりなので、いまさらそんなことを言うなよ、という感じもあるかもしれませんね。

ここまでの話は、僕としてはどちらかというと若い人たちに伝えたいこと、みたいなところがありますので、ぜひ皆さまもご家庭に帰ってですね、お子さま方とこういった価値観について、いろいろお話をしていただきたいと思います。

20代で家を買うとか、そういうことはもちろん自由なんですが、それによって人生の選択肢というもがかなり固定的になってしまう面も避けられないと思いますので、今からお話するような概念、価値観を広めていくことは、若い人たちの人生の多様性を広げるという点で意義があることかなと思っています。

そのために、僕が主戦場としているリゾート会員権の話ももちろんしますけれど、今日は、この後の2つがいかに大事かという話をこれからしたいと思います。ホテルチェーンのロイヤルティプログラム、それから、ホテル予約サイトっていうものがどういうものなのか、ということです。

それで、僕はこうした研究を学問的にもしたいと思っていてですね、皆さんの体験をぜひ伺いたいんですね。自分はそんなにめちゃめちゃホテルを利用しているわけではなくて、月に2~3個所程度が精一杯ですから、ひとりでは大した体験ができません。そこで皆さんの経験を共有させていただいて、世にフィードバックしたいということで、「ホテルメンバーシップ研究会」というのを作りたいなと思っています。その話も今日は最後にさせていただきます。

ここまでをまとめます。

人生100年時代には、住環境をライフステージに応じて変えざるを得ません。ですから、自宅とは違う場所での滞在スキルを身に付けて自宅とは別の軸を作ろう、というふうに提唱したいと思います。

そのために「ホテル利用学」というものを体系立てていこうとしているわけですけど、これは、先ほどの繰り返しになりますが、人生の多様性を支援するための実学であると考えています。また、家族の持続可能性というテーマがあります。

自分の話をすると、僕はつい3~4年前まで5人家族だったんです。それがだんだんと進学で独立をしたり、離婚をして家族を2つに割ったりして、今は3個所に分かれて暮らしています。ホテルで集って家族を持続させるということは、自分の喫緊の課題でもあるんですね。

それでは、各論に入っていきたいと思います。

(続き)リゾート会員権が必要な理由(ホテル利用学 – 3)– resortboy’s blog – リゾートホテルとホテル会員制度の研究

9 comments

  1. ここでコメントさせて頂くのが適当なのかどうか分かりませんが今朝の日経に「会員制リゾート人気が復活 市場規模、15年で倍増」という記事が掲載されています。
    その中にリゾートトラストがヒルトン、マリオット、ウィンダム等が展開しているタイムシェア型の海外リゾートとの相互乗り入れを検討している旨の記載がありました。
    かねてから同社(伏見社長)が言っていた海外展開の内容はこのことだったようですね。

  2. magoaiさん、情報ありがとうございます。僕もこの記事は捨て置けないと注目しました。まだホリデイモードで記事を書いている時間がないのですが(遊んでいてすみません)、別途記事を書きたいと思った話題でした。

    会員制リゾート人気が復活 市場規模、15年で倍増:日本経済新聞

    取り急ぎ、オリジナル記事へのリンクを出しておきます。日経の記事ですが、全体として、大いなる誤解や勘違い、未知のことを半可通がまとめたミスリードを含む記事であることは、オフ会に出ている方にはよくわかると思います。その流れの中で、伏見社長が「言わされてしまった」のであれば気の毒ですが、上場企業の社長のコメントとして、広報媒体とも言える日経にこのような記事が出てしまった責任は、リゾートトラストにもあります。

    続きは後続の記事で書こうと思います。できもしないことを言ってしまった、出てしまったのであれば、同社には即座に訂正のコメントを出してほしいと思います。

    折しもキャンセル料の記事で指摘したように、リゾート会員権の「権」とは何なのかがあいまいになっている今、どうしたら海外タイムシェアと乗り入れられるのか、現実的な話題としてはかなり「盛ってしまった」印象を盛っています。

  3. 東急のように、タイムシェアカレンダーが無く施設利用権を持分に按分したような会員制度なら、相互乗り入れも出来そうです。
    リゾートトラスト社も、早くからグレード単位のシェア制度に移行しておけば、下取り会員権を利用した自主集客など柔軟な運用が出来た気がします。

  4. 超多忙なresortboyさんと正反対に超暇なfunasanです。

    昨日、成田からマレーシアのクアラルンプール(KL)に飛び、今、KLの朝(時差1時間)を迎えています。2020年、東南アジアホテル(王様)修行の開始です。(1人旅)

    今年は1月、2月、3月とそれぞれ2週間弱の日程でKLに飛び、ホテルステイを稼ぎます。KLの気温は31℃でした。こちらに来れば、いきなり屋外プールで泳げます。

    「冬の寒い日本から脱出して常夏のマレーシアに避寒に来る」という老後の過ごし方は理にかなっています。自分なりに「豊かな第二の人生」を送っていると思いますが、問題は健康とお金と家族の理解でしょうね。健康に自信がなければ海外に自由に飛べないし、また、それなりに余裕資産がなければ老後を海外で過ごせません。家族の問題は別にして、お金について、本来ならばこの冬の時期にオーストラリアかニュージーランドに行きたかったのですが、もうホテル代金が高くて行けません。

    私がKLを選ぶのは高級ホテルが安いからです。一人旅なので私は1泊1万円程度のホテルにしか泊まりません。以前はバンコクによく行っていましたが、バンコクのホテル代金とタイバーツの高騰で、もうバンコクの高級ホテルは私の基準を超えてきました。シンガポールは論外です。KLはまだ大丈夫ですが、コスパを求めて、最近ではKL中心のホテルではなく、KL郊外のホテルに泊まっています。6月にはインドネシアのジョグジャカルタに飛ぶ予定です。東南アジアといえども首都のホテル代金は少しずつ高騰してきて、いずれは私の基準(1泊1万円)を超えてくるでしょう。アジアの経済成長と日本の衰退が目の前で進んでいます。

    昨年は頑張ってマリオット系50泊以上、ヒルトン系はジャスト30ステイをして、今年のステータスはマリオット・プラチナ会員、ヒルトン・ダイヤモンド会員を維持しました。そして、2020年がスタートしました。

    私のやっていることは、旅なのか、別荘ライフなのか、ステータス修行なのか、自分でもよく分かりません。でも非常に豪華で快適で優雅で、老後がこんなにも楽しくなるとは思ってもみませんでした。まあ、誰にも迷惑をかけている訳ではありませんので、自分の楽しみ追求で、もうしばらくこの生活を続けていきたいと思います。そして、この私のやっていることがresortboyさん提唱のホテル学の観点から位置づけされれば幸いです。

    以上、KLからの報告でした。

  5. funasan、海外からわざわざありがとうございました。この連載の続きも書かないと、と思いながらもう1月も中旬になってしまいました(^_^;)

    関連の話題として、以下の記事が数日前に話題になっていましたので、ご紹介します。これから就職する学生を3人抱えている保護者としては、目をそむけられないような、日本の貧困化が今ここにあります。

    「海外に出ない」日本の若者が気付けない自らの「貧困」:磯山友幸 | 記事 | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト

  6. 久しぶりに投稿します。
    ホテル利用学、楽しく拝見しております。

    さて、Reluxのポイント制度も最近リニューアルしましたが、つい先ほど、
    「auスマートパスが、au以外をご利用のお客様でもご利用いただけるようになりました」
    とのメールが来てました。

    auスマートパスプレミアムに加入すると、
    ReluxのPLATINUM会員となり、還元率が4%です。

    https://rlx.jp/lp/au-smartpass

    外資系ホテルも良いですが、国内旅行メインの方はReluxも良いですよね。
    エクシブにも頑張ってほしいです。
    使用用途が極めて限定されている、アニバーサリーキャンペーンですら、還元率2.4%ですもんね(あってますよね?)

  7. Masaさん、情報ありがとうございます。Reluxは使ったことがないので、とても参考になりました。「公式サイト以外での最低料金保証」というのも面白いと思いました。JTBなどのホールセールとでもマッチするのだろうか?(通常、ホテル公式サイトでは手配旅行となるホールセラーの販売は除外されています)。

    同一プランが公式サイトで安く販売されているのですが、最低価格保証の対象に、公式サイトは含まれますか。 – Relux

    RTTGポイントの還元率については別記事で取得したポイントの価値という視点で書いていますが、獲得時のポイント率が宿泊日や会員ステータス(ステージ)によってさまざまなので、還元率が2.4%というのは一例として「取得時に最低条件で、利用時に最高条件で、それくらい」という感じです。

  8. resortboyさん、コメントありがとうございます。

    Reluxはメルマガに登録すると、写真やライターのコメント付きで、ホテルの情報を送ってきてくれます。
    季節ごとのおススメや、ホテルのレベル(豪華さ)、シティーホテル・リゾート・温泉など種類別のランキングもあり、とても充実していると思います。
    別荘感覚のエクシブやハーベストとはコンセプトが違うかと思いますので、うまく使い分けられると楽しいのでは、と思います。
    ただうちは子供の学校の関係で旅行の時間が限られるので、、、
    ライフステージによって変わってきますよね。

    ホテル利用学、引き続き楽しみにしております!

  9. Masa2019さん
     
    最低料金保証は同じ条件でないと駄目なので
    なかなか思うようにはいきません。
    部屋ランクは同じでもダブル、ツインの違いはもちろん
    JTBなど旅行代理店は予約の時点で支払うので
    現地支払い可のプランだと
    たとえ前払いしますと言っても
    現地払い可があるか無いかで条件が違うと言って
    はねられてしまうことがあります。
     
    それにReluxに部屋が割り当てられてるのは
    あまり無いような気がします。
    秋の連休と年末年始で利用しようと見ましたが
    booking comなど他のサイトで満室だと
    Reluxも満室でした。
    私が検索したホテル、旅館20数件が
    Reluxなら空いているということが無かったので
    使えないなという印象でした。

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