フォートラベルのことを誰も語らない

観光というのはかなり新しい概念で、一般には20世紀以降の大衆社会と消費社会の中で産業として生まれたものです。その中で「写真」というものが果たした役割は絶大で、それはSNSが普及したインターネット時代(現代)ではさらに重みを増しているように感じます。

そう考えた時に、思いつくのが「フォートラベル」という、写真を主体にした旅行口コミサイトです。同サイトの開設は2004年で、奇しくも僕がエクシブの会員になった年です。自分は2005年に自分のWebサイトを立ち上げて自前のシステムで淡々とやっているので、フォートラベルにお世話になる機会は特になかったのですが、Go Toトラベルで盛り上がる中、ふと、「フォートラは今どうなっているのかな」と気になったのでした。

というのも、これほど世間がGo Toトラベルで大騒ぎしているのに、あまりフォートラの話を耳にしないなと気付いたからです。

フォートラベルはカカクコムの子会社ですが、同社の決算発表資料を見ても、フォートラベルの話が出てきません。月間総ページビュー(PV)が13億を超える「食べログ」や、社名でもある「価格.com」が月間6億PV弱であるのと比較すると、フォートラベルについては個別に数字を出すほどでないほど、同社のビジネスに占める割合が少ないようなのです。

気になったので資料を当たって調べてみました。

2020年の2月末の数値として、フォートラベルのPVは、月間3,400〜5,000万であると媒体資料で公表しています。現在の数字を公表していないのは、カカクコムの資料で(遠巻きに)わかることですが、コロナ禍の影響でPVが激減しているためだと思われます。

売上はどうでしょうか。2020年第1四半期(4~6月)についてカカクコムの決算資料を細かく見ると、フォートラベルの売上は、対前年比マイナス87.4%であるという、厳しい数字が見つかりました。やはり広告主である旅行関連業者が傷んでいる影響が、そのまま出ているようです。

この数値は、おそらくはボトムで、現在はGo Toトラベルキャンペーン関連の広告も出ているでしょうから、ある程度回復しているのではないかと推測します。はじめて利用するホテルを訪れる前には、僕もフォートラベルの関連ページを見て下調べすることがありますから、PVも回復しているでしょう。しかし、海外情報については、まだニーズが減ったままです。

ネットの無料サービスというものは、いつの間にかそれに依存して、あたかも永遠にそれが存在するような錯覚に陥ることがあります。コロナ禍はこうした口コミ系旅行サイトにも影を落としているということを、ユーザーの方は認識しておく必要がありそうです。

3 comments

  1. resortboyさん、珍しい話題の提供ありがとうございました。

    2006年に私は最初の著書『熟年世代に送る安くて豪華に旅する方法 リゾートクラブは宝の山』(東京図書出版会)を出版しました。この本の宣伝をかねて自分のホームページ「ラインター舟橋栄二のホームページ 第二の人生を豊かに」も2006年に開設しました。そして、私の最初のフォートラベル投稿は2007年でした。

    以来、私の生活の中で「旅行する→フォートラベル旅行記作成→ホームページ整理→出版」という流れが確立しました。
    最初から意図した訳ではありませんが、やっている間にフォートラベルの有効性に気が付いたからです。
    写真を多用し、旅先での情報・出来事・感動等を、取材メモとして残せる、ということです。

    フォートラベルの旅行記を積み上げることによって、膨大なコレクションになります。
    実は、最近、マリオット・ヒルトン関係のフォートラベル旅行記を私のホームページに整理しました。
    その全体像を眺めていると、よくもここまで泊まったな~、という印象です。エクシブが遠ざかる訳です。

    ◎マリオットの世界
    http://www.e-funahashi.jp/marriott/index.htm
    ◎ヒルトンの世界
    http://www.e-funahashi.jp/hilton/index.htm

    今、このマリオット・ヒルトンを中心とした新たな本の出版に向けて準備しています。
    マリオットやヒルトンの「ホテルロイヤルティー」に私がいかに夢中になっていったか?という自己体験を書いています。
    結構盛り上がっています。
    全くホヤホヤ状態であくまでも仮のタイトルですがお知らせします。
    第1章 驚くべきホテル上級会員の世界
    ◆人生が激変したマレーシアへの旅立ち
    ◆マリオット・プラチナの世界
    ◆大混乱の幕開けとSPGプラチナへの逃避
    ◆ヒルトン・ダイヤモンドの世界
    ◆コロナ時代の白馬リゾートテレワーク
    ◆射程に入ったマリオット・ライフタイムプラチナ

    実は、今、旅先で書いています。
    旅に出ると気分が盛り上がり執筆(パソコン)が進みます。
    旅から旅へ、結構、面白いシニア人生を送っています。
    Go to travel も大いに利用させてもらっています。
    日本政府様、ありがとうございます。
    では、また。

  2. funasan、コメントありがとうございます。

    僕が心配しているのは、フォートラベルに万一のことがあったときの備えをしておいたほうがよいのではないか、ということなんです。食べログとホットペッパーのような競い合う関係のサイトって、旅行関係ではなかなかないですよね。

    funasanはフォートラの投稿内容を基本に出版活動をされて、成果・作品を出されているので、「そういうこともあるさ~」と、切り替えされることが可能なようにも思うのですが、普通はそうではないので…。

    (風評被害になってもいけないので、あくまで可能性ということです。念のため)

  3. 時は流れて2022年6月です。

    フォートラベルの親会社であるカカクコムが、メイン事業の1つである「食べログ」において、評価点の変更により売上減少があったとする焼肉店との訴訟に敗訴し、東京地裁は同社に3,840万円の支払いを命じました。

    「食べログ」側に賠償命令、独禁法違反を認定 東京地裁:日本経済新聞

    これに対してネットウォッチャーの間では「ビジネスモデルの崩壊」と評する声まで出ています。

    カカクコム、食べログ点数操作の地裁敗訴でにわかにビジネスモデル崩壊の危機 : 市況かぶ全力2階建

    もともと低空飛行のフォートラベルに対する影響は限定的と思いますが、同社の株価はこれを受けて前日比155円安(−7.19%)と、年初来安値を更新しました。同社の株価は、過去1年で39.85%安、年初来でも35.79%安となっており、世界的なリセッションが懸念される中、同社の投資家にとってはより厳しい状況が懸念されます。

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