リゾート会員権の破綻がもたらしたユーザー志向 – スペシャル対談 舟橋栄二さん(4)

funasanことトラベルライターの舟橋栄二さんをお迎えしてのスペシャル対談の第4回目をお届けします。今回は、リゾート会員権ハンターだったfunasanを襲ったリゾートクラブの破綻について。意外にも「破綻は悪いことばかりではない」と語るその真意とは?

(初回の記事はこちら)インパクトがあったエクシブとの出会い
(第2回の記事はこちら)エクシブの魅力は「安さ」だった
(第3回の記事はこちら)「世代交代」でエクシブを活かす

funasan(以下F):ちょっと話は変わりますけど、「泉郷ベストクラブ」が私のリゾートの原点なんですけれども、あれが破綻してセラヴィリゾート泉郷になって、セラヴィもすったもんだあって結局破綻しました。

私の会員権は預託金が50万円だったんですけど、その預託金が100分の1に減額されて5,000円になって、事実上没収になったんです。それで、新しく会員権が「オアシスクラブ」という会員権になって継続しているんです。

じゃあそれで大損害か、というとそうでもなくて。

結局、新しい資本が入ってきて負債をちゃらにさせて、それはこちら(会員)が血をかぶったわけですけど、それによって身軽になって、しかもどんどん設備投資して、大リニューアルをして、提携施設も増やしたりして、非常に利用価値が上がったんですね。

resortboy(以下R):それは非常に興味深いですね。セラヴィのことを僕はあまり知らないのですけれども、何年か前に破綻をしていますよね。それでその後、預託金制の会員権ですから、その価値が1/100に減額されたと。

けれども、それはもともと預託金で、会員である限りはずっと預けていなきゃいけないものですから、没収されたとしても、会員権としての価値が上がってくれれば、会員としてはその方がいいだろうということですよね。

F:さらに、以前よりも安いプランも出てきました。空室を埋めるためには、(彼らは)はっきり言って何でもやるんですよ。

例えば、平日のオフシーズンの1泊2食で6,800円だったかな。なんかねえ、もうありえない。要するに、食事さえしてくれればタダで泊まってくださいという、そういうプランをバンバン出してきて。友人でもいいですよと、(宿泊権の)チケットもバンバンくれて。

結局そうやって、オフシーズンの平日の稼働率を上げて、全体の収益を上げるんですよね。

R:それは実に面白い話ですね。この御本(以下の電子書籍の元本)が出て12年経った現在から、過去を振り返りながらお話を伺っているわけですけれども、この12年の間、エクシブは非常に高級化しましたね。

(2006年の書籍に2018年の対談をベースに増補改訂した電子書籍)熟年世代に送る 安くて豪華に旅する方法: リゾートクラブは宝の山 (22世紀アート)

逆に言うと、高級化した結果、さっき舟橋さんにお話しいただいたような「安い」というようなサプライズ(対談第2回を参照)は、ほとんど消え去ってしまったように思うんですね。

ただその一方で、ダメになってしまったセラヴィ。こちらはもともと高級というわけではなかったと思いますし、破綻は世間的にはあまり良いことではないように思いますけれども、破綻をしたことによって会員としては逆に利用価値が上がって、リーズナブルさが向上して利用しやすい会員権になった。

この2つを対比すると、エクシブはリゾート会員権の王者としてナンバーワンの座を獲得してそれを揺るぎないものにしていますけれども、会員の満足度は下がっているように感じます。一方のセラヴィーは破綻をしてしまったけれども、まあ悪くない。そういう状態であるということですよね。

F:これね、難しいところなんですけれども。私は冬のセラヴィリゾートが大好きで、女神湖なんかでスノーシューやったりスキーやったりして楽しむわけなんですけども、ある冬、ものすごい混んでたんですよ。

えーってスタッフに聞いてみたら、「今シーズンは、ある大きな旅行会社のミステリーツアーのホテルに指定されました」って言うんですよ。本当に毎日毎日大型バスが何台も来るんです。

R:激安ツアーってことですよね。

F:「えー、ミステリーツアー?」と思いますが、それを受け入れてるんですよ。「なんだこれは」と。

R:会員制という切り口からすると、ちょっととんでもないじゃないか、という話ですね。

F:まあはっきり言ったら、これは例えば、エクシブが中国人の団体客を続々とオールドエクシブに入れるのと一緒のことなんですよね。

で、それは1シーズンで終わったんですけれども、現在のセラヴィリゾートっていうのは、要するに「一般のホテル」です。普通のホテルとして営業もどんどんやってますし、それにちょろっと会員権をくっつけた程度で、どっちがメインかというと私の印象としては、当然、一般ホテルがメインでしょうか。でもそれによって、全体の収益がアップし、設備投資され、結果的には会員権の方にメリットも来る。

特に夏のハイシーズンの時に、会員であると非常に安く泊まれる。年間通して同じ値段ですから。これ本当にね、8月のハイシーズンなんかに一般で泊まろうと思うと、無茶苦茶高い値段を設定するんですよね。そういうメリットありますよね。

もう一つ、 何もせず、座して死を待つ死を待つのみ、というのはちょっと言い過ぎなんですけど、そういうリゾートクラブがあるんですね。

R:それはあの御本にも出ている、いま話題にしていないところですかね?

F:ダイヤモンドソサエティ。

R:ああ、それ言ってしまって大丈夫ですか。

F:まあしょうがないですよね。私もう、その会員権を売っちゃったんですけど。

ダイヤモンドは昔ながらの会員制リゾートクラブのはしり・老舗で、アッパーミドルというか、日本人の上層を会員にしたということがあって。

R:ゴルフ場があったり、八ヶ岳美術館などはかなり品がいいところですよね。

F:非常に上品なメンバーが多くて、メンバー優先で、利用金額をメンバーと一般の方と、またオーナー施設と姉妹施設とで確実に差を付けているという。

だからオーナーにならないとメリットが受けられない仕組みになっているし、オーナーの管理組合があって毎年報告書があって、きちっとしているんですね。

だから一番オーナーシップがしっかりしているリゾートクラブです。でも逆に、オーナーはみんな高齢化していて、例えば私はダイヤモンド八ヶ岳のオーナーだったんですけど、高齢化したオーナーがあのダイヤモンド八ヶ岳まで来れないという。

R:あそこは周りに何もないような山奥のところですよね。駅から近いわけではありませんし。

F:結局、どんどんメンバーの方の足が遠のいて、閑古鳥が鳴くと。毎年の管理報告書を見ていると、年会費の滞納がどんどん出てきているんですよね。

リゾートクラブの会員権販売の方に聞いてみると、もう売り物件がいっぱいあっても買う人がいないという、そういう事態になっていて。まぁ厳しいですよね。

(続き:高級化とサービスカットのはざまで – スペシャル対談 舟橋栄二さん(5) | resortboy's blog – ホテルの会員制度を楽しむサイト

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