ここのところ、続けて海外のホテル利用についての記事を書いていて、また、別の記事のコメント欄で某社の開発計画のことが話題になったりしたことで、ひとつ確認したいなと思った点がありました。それは、今までこのブログのテーマとしてきた「会員制リゾートホテル」についての「未来」ということです。

まだちゃんと記事にしていませんが、この夏の海外旅行では思うところがあって「大手ホテルブランドから離脱したかつての高級ホテル」というのに、複数泊まってきたのですね。

ホテルのライフサイクルって面白いなと思ったんです。5つ星としてオープンしたホテルが年月を重ねて、まぁ言ってみればオンボロになってしまって、ブランドを冠することができなくなった結果、リブランドして別の居場所を見つける。日本でもありますよね、伊東園ホテルグループとか。

そこで、1続きの画像を作ってみました。これは人口ピラミッドから、一部の年齢層だけを切り出したものです。出典は「統計メモ帳」というWebサイトです。

(出典:統計メモ帳)日本 – 各国の男女別5歳年齢階級別人口 人口プラミッド

僕がリゾート会員権の道(?)に足を踏み入れたのは35歳のときでしたから、一番下のバーは35から39歳になっています。そこから5歳刻みでバーが描画してあって、左が男性、右が女性。一番上のバーは70歳から74歳です。

つまりこの図は35歳から74歳の40年分に限った人口ピラミッドです。言いたいことは、会員制リゾートホテルを使うのは大ざっぱに言ってこの範囲ではないかということです。日本の健康寿命は男性が71.1歳、女性が75.6歳ということですから、統計的にも旅行ができるのはこのくらいまででしょう(ウチの婆さんは80過ぎだが…みたいな話はまた別です)。

この2015年の画像を見ると、2つの人口のヤマがあります。お分かりの通り、第1次と第2次のベビーブームです。これらが「両方」含まれています。つまり、現状は「会員制リゾートは好調で当たり前」ということが言えます。第1次も第2次も、利用者としても購入者としても、ともに現役です。

これが30年経つとどうなるでしょう。こちらです。

次なる人口のヤマは訪れず、第2次ベビーブーム、つまり2015年で下から2番目のバーが年を重ねて一番上に来ました。面積の減少が市場全体の減少です。

日本人を顧客にするだけでは、宿泊業界はジリ貧であることは明らかです。ここを読んでいる方はいわゆる「オーナー」の方が多いかと思うので、あえて「私たちの」という表現をしますが、「私たちのホテル」が継続的に運営されるにはどうすればよいかというと、考えられることは2つくらいしかありません。

1つはリブランドです。会員制リゾートの枠を取り払って一般ホテルとしての運営を並行して行い、他のホテルからお客を奪うことです。

もう1つはインバウンドです。次の画像をご覧ください。

(出典:みずほ総合研究所:2016年のみずほリポート

これは訪日外国人数の予測値ですが、これから数年でかつての5倍くらいの水準に急増することが予想されています。グラフの出典はいずれも2016年8月26日付みずほ総合研究所のレポート「訪日外国人4,000万人時代の宿泊施設不足」です。

さて、その訪日外国人とは一体誰でしょうか。某会員制リゾートのCMに出てくるような西洋の方ばかりではありません。こちらのグラフをご覧ください。

(出典:みずほ総合研究所:2016年のみずほリポート

NIEsとは韓国、台湾、香港、シンガポールのことで、ASEAN5はタイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナムを意味します。つまりほとんどはアジア圏からの来訪者が占めます。

まとめると、日本の人口やホテル利用に占める会員制リゾートの割合が今後高まり続ける、という事態が起こらなければ、日本の人口は減っていきますから、1)リブランドをして日本人の客を他のホテルから奪うか、2)インバウンド客、つまりはアジア諸国からの客の取り込みに力を入れるか、大まかに言ってその2つしか取りうる策はありません。

海外旅行の話に戻りますが、台北やマカオの「大手ブランドを離脱したかつての最高級ホテル」を見に行ったのは、この1)と2)が、もう既にそこでは起きているからです。「私たちのホテル」の未来の一端を垣間見ることができるのではないかと、インバウンドのアジア人として、逆の立場で体験してみたわけです。

しかし残念なことに、「会員制」が制約となって、これらの策はいずれも、会員制リゾートは宿命として取ることができません。私たちのホテルの未来はこうした環境の中にあり、販売会社・運営会社は今後の継続的な制度維持に対する一定の説明責任があると思いますが、はたしてそれは果たされているでしょうか。

最後に、人口ピラミッドをアニメにしてみたのでご覧ください。ループしてウザいのはごめんなさいね。いらないかもしれないけど、せっかく作ってみたので(^_^;)

6 コメント

  1. 見事な分析ですね。ご苦労様でした。
    河合雅司『未来の年表ー人口減少日本でこれから起きることー』(講談社現代新書)
    リゾートボーイさんの今回のレポートは上記の本の「ホテル・リゾート業界版」として読めます。
    最後の人口ピラミッドのアニメが全てを物語っています。
    2045年まであと28年、すぐには来ないですが、それほど遠い未来ではありません。
    今の30代、40代の若い世代にとっては確実にやってくる近未来でしょう。
    残念ながら2045年の人口ピラミッドを見ると、どう考えても日本は倒れそうです。
    実際、リゾート会員権どころではないのでは?

  2. 心配しなくても、アジアにマーケットを拡げれば良いだけの話。

    具体的には、エクシブやベイコートに
    ワールドタイムシェアリング型の会員権
    (たとえば、1週間連泊+バラバラの6日で13日分)
    を設定し、アジアなどの近隣諸国の金持ちに売り付ければよいのです。

  3. 個人的には、トラストで対人口比0.15%くらいの市場規模の会員権ビジネスですので新規の会員権販売に今後の人口動態が与える影響は少ないのではと思いました。(例えるなら高級学習塾みたいな感じでしょうか?)
    むしろ古い施設の稼働率とか、中古会員権の流通には影響を与えそうで、何か良い案とかビジョンを提示しないと会社としての信用に関わりそうです。

  4. 興味深いエントリーです。老朽化して稼働率が低い施設の取扱をどうするか、というのは会員権を保有するに際して気になるポイントです。

    中期計画では「永続モデルの確立」がうたわれていますが、会社ではなく、会員が所有する施設の建替が本当にできるのかどうか、具体的な方法は不明です。

    稼働率が低くて運営が赤字の施設があっても、新規の開発販売を続ける限り、当面は大きな問題にはならないかもしれませんが、どこまで続けられるのか、心配になります。

    あとは、会員外への宿泊解禁という道もありますが、既存会員の価値を考えると、踏み切れるのか不明です。会員が優先的に予約できることはもちろん、外部利用者の利益から所有者に配当したりするのは面白いかもしれません。

    不動産の開発・販売と、ホテルの運営を併せ持つ、なかなか珍しいビジネスモデルと思いますので、固有の課題をどう解決するのか興味深いところです。

  5. お題目とは全然関係しませんが、画像は日枝神社(赤坂)隣接の山王稲荷神社の千本鳥居では。

    クリニックに行くときにこの鳥居を上から下に潜って通っているので私にとっては未来に上がると言うよりも過去に下がるというイメージでした。

    なるほど下から上を見上げれば未来へと続く階段ですね。視る視点を変えれば物事は全然違った様に見えるということは良くありますが、昨今のRTも視点を下からも見て欲しいものです。

    因みに私がこの鳥居が未来への道に見えなかった原因は帰りはエスカレーターを利用して下からは上がった事が無かったからです。

  6. エクシブリゾートファンクラブ   FBに存在します。友人に誘われて入会しました。
    今は芦屋の利用時の写真などが沢山アップされて参考になります。その名の通りに良かった良かったの
    話です。参考にはなります。

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