スマホを捨てよ、リゾートに出よう

リビングの主役にテレビがあり、そこに集って時間を共有し、家族としての価値観を形成していく。そんな当たり前の風景が急速に姿を消そうとしている。代わりに家族一人ひとりが見つめる視線の先にあるのは、スマートフォン(スマホ)であり、タブレットである。

余暇の時間に家族が共通の画面を見つめて過ごす代わりに、個人個人がパーソナルにコンテンツを消費する時代となった。そしてその先には、ありふれたメールをはじめ、Twitterに代表されるコミュニケーションメディアが存在する。

「コミュニケーション欲」は人間の最も本質的な欲望だから、IT技術によって家庭に入り込んだリアルタイムメディアは、否応なしに家庭空間を壊していく。

家族の中に当たり前にあった共通のコンテンツ消費はもはや失われ、最も魅力的なコンテンツは「あの子は今、何をしているのかな」という点に収れんしていく。メディア消費はコミュニケーションのための素材に置き換わり、もはやリビングルームは家庭の価値観の中心としての地位を失ってしまった。

僕はテクノロジー礼賛の立場でこの20年を過ごしてきたし、このブログやTwitterなども含めて、自ら率先してそうした世界にどっぷりと浸かって「楽しんできた」つもりだった。

しかし今、はっきりとわかる気がしている。僕たちは大事なものを失おうとしているのではないか。家庭の成長・発展という立場から考えると、とんでもないことが起きつつあるのではないか。

この流れはもう変えられない。コミュニケーション欲は名誉欲よりもはるかに強く、性欲と違って果てがない。こんな世の中で、どうやって家族の価値観を形成するのか、どうやって振り返るに足る共通の経験を積み重ねていくのか。

僕には、リゾートに行くことと、自宅で勉強を教えることくらいしか思いつかない。体を張って、今日もできることをするだけである。

8 comments

  1. スマホのようなITガジェットが家族の絆を分断しているとの考察ですが、何もこれは今始まった話ではなくて、
    昔のウォークマンの普及(各人で好みの音楽の違い)や家族一人一人が個室を持つようになった(もちろんそれは大学受験からお受験に変化していくようになり、いっそう低年齢化してきています)ころから始まった話です。

    橘玲氏のサイトにこのようなものがありました。

    「「家族の絆」を取り戻すもっとも簡単な方法」
    http://www.tachibana-akira.com/2011/10/3337
    これによれば、セイフティネットの最後の砦としての家族の役割を見直すということですが、果たしてどれだけ受け入れられるのでしょうか。

  2. resort boy様こんにちは。私はまだ家庭を持って3年目ですが現代の生活スタイルを疑問に思いリビングからテレビを失くし、其処にできたスペースに大きな絵を掛けました。建築家の妻(TV愛好家)にも『テレビの代わりに絵のあるリビング』という提案を理解してもらえました。テレビをリビングからなくすと会話が増え、まだ幼児の子供たちも遊びを工夫して遊んでいます。何故かわかりませんがとても優雅な時間を過ごせるリビングになりました。色々な便利が増えることで失うものをちゃんと見極めて取捨しなければと思います。

  3. Resortboyさん、ドッキリの指摘ですね。
    人はそれぞれがもつ情報空間に基づいて考え、判断します。かつては家族の情報空間は共有されていました。一緒にテレビを見、食卓でその日のことを語り合っていました。ところが、今は、妻は私がネットから得ている情報空間を知りません。私も妻の情報空間を知りません。相互の情報空間をすり合わせる会話の時間も削られています。両者の情報が一致しているのは一緒に見る朝のニュース番組くらいのものです。確かにこれでは考え方も感じ方もバラバラになっていきますね。
    「スマホをすてよ、リゾートに出よう、共通の経験を持とう、そして語りあおう」、これが家族のために大切だと気づかされました。

  4. 我が家にとってのエクシブはまさに、その「共通体験」を求めての旅だと言えるでしょう。

    今や成人を超えた2人の娘には今も、一緒に勉強して寝るのが精一杯という1つのスペースしか与えておらず、TVもPCも全てリビングダイニングに限定、しかも自営業のような仕事ですから家族が共に居る時間も長いため、日常生活での共通体験やコミュニケーションには事欠きません。

    しかし、それはそれで公私を分かち難く、マンネリにも陥りやすいという問題を孕みます。その意味でも、定期的な非日常の共通体験は必要なのだと思うんですよね。それも、年1~2回の大規模な家族旅行では余りに非日常的過ぎるのです。月に1~2泊のリゾート生活こそ、日常の中にフィードバックしやすく、日常そのものを変化させてくれます。

    こうした目的のためには、予算や時間に左右されにくい近距離の小旅行が最適です。とりわけ我が家にとっては、1~4時間の幅で東日本の全施設が利用できるエクシブやハーヴェストが最善の選択となります。とくにエクシブは部屋や施設がバラエティに富み、かつホテル探しの努力や無用な緊張感もない気軽さが、定期的な共通体験の継続に適しているんだな、と今回のブログを拝読しながら改めて再認識させて頂いた次第です。

  5. 皆さんこんばんは。このテーマについては、ちょっと考えこんでしまっていて、うまくまとめられていないのですが、ホントにヤバいと思っています。シルバーユーザーさんの「情報空間」という言葉は、いいキーワードだと思いました。

    補足しますと、我が家もテレビはイカン、ということでいわゆる普通のテレビは以前から限定的にしか存在しないのですが、その結果として、家族が同じ部屋に居ながらそれぞれがバラバラのコンテンツを視聴しているという状況が生まれてしまうとは、思ってもみませんでした。

    テレビ番組のダラ見は確かにくだらないのですが、それを排除してしまった結果、良質の映像コンテンツを共有するという手段もが失われてしまって、「これでよかったのかな~」と反省しきりです。

  6. 先述しましたように、リゾートなどの「体験空間」は家族で共有できていますが、果たして「情報空間」の共有はどこまで可能なのでしょうか。実はなかなか難しいのではないかと私は思っているんです。家族それぞれが求める「情報空間」は、しょせん趣向が異なるが故に、共有そのものが成り立つのかというテーマも浮かんできます。

    我が家でもTVはリビングと夫婦の寝室の2台だけに限定していますが、主な視聴者は私ばかりで、家内や娘は気に入った映画など限られた番組しか見ようとしません。文学少女だったという家内の影響もあって、私がTVを見ている時も彼女たちは各自の好きな本を読み耽っています。

    そのTVも、私はニュースとスポーツ中継以外の殆どをHDD録画してタイムシフト視聴で見るというスタイルですから、かなり私の嗜好に偏った選択となります。まぁ、中には家族に見てもらいたい番組を録っておくこともありますが、その思惑が外れる場合も少なくありません。エクシブ周辺の旅番組は喜んで見てくれますが。

    要するに家でもエクシブでも、家族4人が同じ部屋に居る時間は長いのですが、同じ物理的空間を共有しながらもバラバラな情報空間に居る、というわけです。そんな中でも、相互のコミュニケーションさえ十分にあれば良しとするしかありません。その意味でも、できるかぎり一緒にいる時間だけは多く持ちたいと思っています。

  7. ben さんのご指摘どおり、人と人の間で「情報空間」の完全一致ということはあり得ませんね。所詮、共有の度合いの問題だと思っています。でも情報や経験の共有部分が多いほど、連帯感は高まり会話も通じやすくなりますね。「家族」や「同じ釜の飯を食っている仲間」は共有度が高く、「赤の他人」は共有度が低いものです。Resortboy さんの問題提起も、スマホが一人一人を独自の情報空間に閉じ込めがちであり、家族の中ですら共有部分が過度に減っているのではないかということだと思います。スマホに過度に浸食されないように、家族の中でも共有部分を増やすことを意図的に行わねばならない時代になったのだと感じます。
    スマホのおかげでエクシブを楽しむ口実が増えましたね。

  8. 番外編で、エクシブの話ではないですが、
    東京ディズニーランドの、クラブ33にいってみたいので、
    なんとかして紹介して頂ける方をさがしたいのですが、
    クラブ33に行かれた方の感想など聞かせて頂けると嬉しいです〜

    よろしくお願いします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

😂 😍 🤣 😊 🙏 💕 😭 😘 👍 😅 👏 😁 🔥 💔 💖 😢 🤔 😆 🙄 💪 😉 👌 😔 😎 😇 🎉 😱 🌸 😋 💯 🙈 😒 🤭 👊 😊