名古屋プリンスと名古屋観光ホテル

前回までに引き続き、名古屋の高級ホテルについて状況を見ておきたいと思います。今回は、名古屋で最も格式があるとされている名古屋観光ホテルと、2017年開業と新しい名古屋プリンスホテルスカイタワーを取り上げます。

名古屋プリンスホテルスカイタワー

名古屋のマリオット、ヒルトン、IHG(グランコート)を取り上げた記事で、利用した客室などからの夜景を掲載しましたが、大都市の高層階に滞在する高揚感という点ではマリオットが圧倒的です。その観点でライバルとなるのは「名古屋プリンスホテルスカイタワー」でしょう。

今回の調査では時間の関係で現地まで行くことができなかったのですが、冒頭に掲げたのが名古屋マリオットからの遠景です。ひときわ高い建物が名古屋プリンスです。

このホテルは名古屋駅から1駅の「ささしまライブ」駅(あおなみ線)直結の複合施設、グローバルゲートの31~36階に入居しています。客室は32〜36階で全170室。客室の広さは通常32~33平米で、コーナーにある上級客室だと約60平米または約80平米と相当広くなります。

(公式)名古屋プリンスホテル スカイタワー

客室が地上20~49階にあるマリオットと比較すると見劣りする部分もありますが、名古屋プリンスならどの階に泊まってもヒルトンやグランコートよりも高層階での滞在となりますし、周囲への眺望は抜けているので、開放感をお求めの向きには要検討のホテルと言えるでしょう。

ところで、プリンスホテルには「プリンスステータスサービス」というロイヤルティプログラムがあり、最上位のプラチナメンバーにはラウンジアクセスのベネフィットが受けられるケースがあります(ホテルごとに異なり、例えば名古屋プリンスではOKですが、ザ・プリンスさくらタワー東京ではNGです)。

このプログラムは外資系のように宿泊数ベースではなく利用金額ベースなので、利用スタイルによってはあっさりプラチナ達成、というケースがあるかもしれません。興味のある方は調べてみてください。

(公式)プリンスステータスサービス | プリンスホテルズ&リゾーツ

本連載の他の記事同様に、トリップアドバイザーで約1カ月後のゴールデンウイーク明けの平日の参考客室価格を調べてみると、1室約1.9万円程度。マリオットよりも少し安いくらいの価格でした。

(画像出典:トリップアドバイザー。2021年4月12日調べ)

名古屋観光ホテル

名古屋で最も格式あるホテルとされているのが名古屋観光ホテルです。このホテルは皇族も利用する名門で、閉館したホテルナゴヤキャッスルと並んで長らく名古屋を代表するホテルでした。

Photo by resortboy

(公式)名古屋観光ホテルの歴史 | 名古屋観光ホテル

この連載が物語っているように現在では外資系チェーンに押されていて、現在では「キューピーコーワ」「バンテリン」などで知られる興和の傘下に入っています。

ちょっと脱線しますが、リゾート会員権ビジネスを発展させてきたリゾートトラストが名古屋を地盤とする会社であることは、同地の文化との関係において興味深いテーマです。「なぜあのような高額な会員権を次々と開発販売できるのか」という疑問に、名古屋という土地柄が関係しているのではないかという視点です。

同じ視点で、名古屋を地盤とする興和という会社が、かつての名古屋のホテルのツートップであった名古屋観光ホテルとホテルナゴヤキャッスル(現在は建替中)を創業企業から手に入れて近代化しようとしているということも、同様に興味深いです。

興和は数年前からホテル事業に参入しており、最初の新規開業ホテルはオアフ島ワイキキのクヒオビーチパークの目の前にある小型ラグジュアリーホテル「ESPACIO THE JEWEL OF WAIKIKI」(エスパシオ)でした(2019年)。わずか9室の超高額ホテルで、以下の同社公式動画でホテルの様子をうかがい知ることができます。

このエスパシオというブランドを興和は名古屋の2ホテルに持ち込むという噂もあり、実際、名古屋観光ホテルが今後発売するとされるタイムシェアリング商品では、先行してエスパシオブランドが採用されました。これは一種のリゾート会員権と見ることもできる商品で、同じ名古屋のリゾートトラストの存在が多少なりとも意識されているのでしょう。

(公式)エスパシオタイムシェアリング フォーアーバン | 名古屋観光ホテル

かつての高級ホテルのビジネスモデルが外資系の進出により衰退し、またそれらもコロナ禍で苦境に立たされている中で、これから高級ホテルを「再定義」しようとしている興和がどのような切り口でこの事業に取り組むのか、名古屋という土地柄の理解と併せて注目したいと思っています。

現在の名古屋観光ホテルの客室参考価格は約2.1~2.3万円と、これまで見てきたホテルの中では一番高額となりました。それでも、2人で利用すれば1人およそ1万円なのですから、コロナ以前と以後とでビジネスの変容を迫られるホテルビジネスというものは、なかなか苦しいのだろうな、という思いを新たにします。

(画像出典:トリップアドバイザー。2021年4月12日調べ)

1 comment

  1. resortboyさん、名古屋の高級ホテル分析ありがとうございました。
    あまり注目されない名古屋という場所がら、ここまで総括的にまとめられたレポートは珍しいと思います。以下、私のマリオットストーリーです。

    名古屋生まれ育ちの私は40歳頃に高級ホテルに目覚め、「用もないのに」名古屋市内の高級ホテルに泊まりに行くようになりました。今から20~30年近くも昔のことです。最初は名古屋キャッスルがメインでした。時々、名古屋観光ホテル、名古屋東急ホテル、そしてヒルトン名古屋。癒しと自己啓発の高級ホテルステイでした。

    でも、2000年に名古屋マリオットができてからはマリオット中心になりました。名古屋マリオットでマリオットリワードのことを知り会員になってからは、岐阜ルネッサンスホテル(現:都ホテル岐阜長良川→米大手投資ファンド「ブラックストーン」に売却予定)と名古屋マリオットを交互に泊まるようになりました。

    豪華な施設が整った高級ホテルに泊まると、まるで自分が金持ちか大企業の重役になったようなリッチな気分になりますね。勿論、それは錯覚ですが1夜の(おじさんの)シンデレラ物語です。フィットネスクラブ、室内プール、エグゼクティブラウンジ、そして、マリオットリワードの宿泊日数とポイント加算。

    以来、20年、私のマリオットとの付き合いは継続し、遂に先日、トータル宿泊日数600泊に達しました。プラチナは現在9年継続していますので今年の分も合わせると10年となり、来年の1月には「ライフタイムプラチナ」になります。このステータスに到達すると(1泊もしなくても)生涯にわたってプラチナ資格が保証されます。プラチナ維持のために年間50泊する、などという「無謀な修行」は必要ありません。マリオットの呪縛から解放されます。

    残念ながらコロナのパンデミックは収束しそうにありませんね。恐らく来年も自由な海外旅行は無理でしょう。コロナ惨禍の中、国内に目を向ければ、やはりエクシブ、セラヴィ等国内会員制リゾートクラブの優位性が感じられます。私の中でエクシブ復活?そんな予感がします。

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