エクシブの稼働は急速に回復、21年3月期は黒字と発表

リゾートトラストは今日、2021年3月期第1四半期の決算を発表しました。同時にこれまで未公表だった2021年3月期通期の計画値を発表。連結経常利益が78億、連結純利益は21億の黒字を見込むと発表しました。

詳しい決算発表資料が以下にありますので、ご覧ください。今日はその中から、注目されるホテル稼働率に焦点を当ててデータを見てみます。

(公式)決算説明資料|IR資料|投資家情報|リゾートトラスト株式会社

まずこちらが最新のエクシブ全体の稼働率グラフです。緊急事態宣言の発令に伴う休業時の室数も含んでの計算となります。

(画像出典:リゾートトラスト2021年3月期第1四半期決算説明資料。以下同じ)

1~2月は前年と同様の稼働率でしたが、3月には前年比7割、4月には2割、5月には1割(11%)まで下落。しかし6月には前年比5割(48%)、7月には前年比3/4(74%)と、急速に回復しています。

こちらはベイコート倶楽部全体の稼働率グラフです。昨年の3月にラグーナベイコート倶楽部が開業してベイコート倶楽部としての室数が増えたため、もともと同クラブの稼働率は対2019年比で弱含みで推移していました。1~2月、エクシブではコロナの影響がなかった段階でも、稼働率は前年の8~9割でした。

ベイコート倶楽部はクローズの期間がエクシブと比較して短期間であったこともあって、4~5月の稼働率は、対前年比で22~25%でした。ただし、もともとの稼働率も低いので、実稼働としては10%を超えた程度です。エクシブ同様に6月以降は急回復し、7月には対前年比83%まで戻しています。

このような稼働状況を受けて、同社は通年の連結損益を以下のように発表しました。

今日はあまりネガティブな細かな話はしないでおきますが、ホテレス部門はもちろん赤字です(詳細は発表資料をご覧ください)。しかし、リゾートトラスト社はこちらの記事にあるように、利益面での主力はホテル運営ではなく「リゾート会員権の販売」です。

今年は来月に予定されている横浜ベイコート倶楽部の開業もあり、コロナ禍の中でのホテル業としては極めて例外的に黒字で着地する見通しを発表しており、同社のビジネスの特異性を表しています。

上述したホテル稼働率の急速な回復もあって、同社は感染拡大が広がる中でも、かなり強気(感染拡大の影響に関して楽観的)な見通しを持っているようです。

こちらは同社が想定している新型コロナウィルスの影響についての資料です。エクシブやベイコート倶楽部の稼働は、7月~12月は対前年比8割、来年1~3月は今年並みと想定しています。つまり、再度の緊急事態宣言の発令や、「第2波」による再度の施設クローズなどを同社は見込んでいません。

確かに、同社にそう思わせるだけの、会員制ホテルの底堅さを示した稼働率の回復ぶりであるように思われます。それに関連して、今回公表された中で面白いと思ったデータとして、「消費単価」の向上について取り上げましょう。

エクシブにおいては、消費単価が過去3年間で最高の値を記録しており、昨年と比較して約14%も上がっています。ここ数年来、同社が注力してきた法人会員向けの団体客誘致の施策が取れない中、ロイヤルティの高いオーナー本人の利用割合が増えた結果かもしれません。

ベイコートの単価が下げトレンドですが、これは芦屋や蒲郡の開業で、客層がだんだんエクシブ寄り(ファミリー寄り)にシフトしていることが要因ではないかと思われます。

今回の決算発表資料は突っ込みどころが満載なので、勉強会で僕の話を聞いた方などで、解説してほしい話題がありましたらばコメント欄に一言お願いします。

4 comments

  1. 行き慣れたエクシブ&ベイコートから恐る恐る旅行再開し始めた感じでしょうか?私もエクシブやハーヴェストクラブに以前にも増して泊まりに行ってます。
    年会費の固定収入もあるし、リゾートトラストのビジネスモデルはコロナ禍で強いですね。
    会員権販売については、突発的な解約等も一定数あっただろうに、横浜始めとしたベイコートの1Qの販売実績は凄い。対して六甲SVと湯河原離宮は売り切れるんだろうか?マイナスの数字は5年以内の解約かなんかでしょうか?

  2. もなあくさん、僕が避けていた話題にずばっと切り込んでいただきましてありがとうございます(汗)。

    決算説明資料23ページの表ですが、販売中の会員権の売上がマイナス、というのはよっぽどの事態であると認識しています。いずれも開業済みの物件ですし、契約不履行などで解約になったわけではないでしょう。額が多すぎます。表にあるだけで少なくとも14億円も買い戻しや解約返金をしたと読めます。

    ここから先は詳しく書きませんが、マイナス物件と同じ県にある物件が前年比で売上がプラスになっていますので、そのお金の流れはこの表にはっきり現れています。

    こうした販売手法は以前から問題視されていたと思いますが、このように投資家向けの資料にはっきり現れているというのは画期的です。同社のIR部門は投資家保護のために同社に不利益な情報も積極的に公開していて、この不可解な販売の裏にあるものは、4ページのグラフの右軸数値や、5ページのグラフの右軸数値に現れています。

    これはベイコート倶楽部という同社の主力会員権の商品設計そのものの問題で、つまりは同社の現在の会員権ビジネスモデルの本質に関わる問題点です。僕の解説は公開の場ではこの程度しかできませんが、勉強会で解説することはできます。次回は9月の予定です。

  3. 本当にRT社のIR資料は本当に味わい深いですね。
    六甲SVや湯河原離宮買ったばかりの熱心な顧客の向上心をくすぐって、さらなる上のステージにステップアップさせていく感性に訴えるエモーショナルな販売手法は、客観的に上手いし、買う側はリゾートトラストの新規ホテルを通じて夢を叶えていくようで、心理的に満たされるのでしょう。
    アーバンリゾートのベイコートに対応する新体系の郊外型のエクシブ作らないと、権利体系が矛盾していて売る側として難しいんじゃないかと心配してしまいます。アーバンリゾートもいいですが、温泉地や高原、自然な海みんな好きですから。
    ところで、今、初島に来てます。
    初島行きのフェリー乗り場の目の前の海に突き出した駐車場は、東急が計画撤回したハーヴェスト予定地でした。
    リゾートトラストが代わりに、驚くような素敵なホテルをこの地に建てて、みんなに夢を見せてくれないかなあと妄想してしまいました。

  4. 《Marriott Q2 RevPAR Down 84% & 9% Of Hotels Still Closed》

    マリオットの第2四半期(4月5月6月)の決算が今朝の「Loyalty Lobby」に載っていました。
    私の勉強もかねて以下解説します。

    RevPARというのはRevenue Per Available Roomの略で、販売可能客室数あたりの客室売上を言います。客室売上を販売可能客室数でわった値です。RevPARは、利用がなかった客室の損失分も含めたホテルが所有する全客室1室あたりの売上高が分かる値であり、宿泊部門の収益性を示す指標として他のホテルとの比較も容易となる指標です。

    このRevPARが4月~6月期で84%ダウンしたという結果でした。これは全世界のマリオットの結果なので、中国を除くアジア地区(日本を含む)を見てみると、以下のような結果が出ています。

    Occupancy(客室稼働率)…13.7%(57.5%ダウン)
    ADR(平均客室単価)…94.72ドル(38.1%ダウン)
    RevPAR(販売可能客室1室あたりの売上)…12.93ドル(88.1%ダウン)

    空室多数のため客室料金を40%近く値下げして1室1万円程度で販売している状況が見えてきます。RevPARが12.93ドルと言うのは、1ドル107円換算で1室当たり1400円程度しか生み出していません。これでは赤字垂れ流しでしょう。

    ヒルトン、マリオット、リゾートトラストの決算を比較検討するとコロナ時代の高級ホテルの未来が見えてくる?
    詳しい分析はresortboyさんにおまかせします。
    https://loyaltylobby.com/2020/08/10/marriott-q2-revpar-down-84-9-of-hotels-still-closed/?omhide=true

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