エクシブのレストランに行くと、生ビールはサッポロである。僕はビール党だが銘柄にこだわりがないのでサッポロだという事実をほとんど意識していなかったのだが、そのサッポロビールがリゾートトラストの大株主になる。
リゾートトラストは昨年、大規模な自社株買いを行っているのだが、その自社株を第三者割当によって取引会社に売却して資金を得ることが、3月3日付けで決定された。
割当先はリゾートトラストの取引業者であるサッポロビール株式会社、株式会社きんでん、株式会社サンゲツ、株式会社INAXの4社である。きんでんは電気工事会社、サンゲツは壁紙やカーテンなどの商社、INAXはタイルや住宅設備のメーカーだ。
これによってリゾートトラストは約19億円の現金を3月24日まで得るのだという。得た資金によって何をするかというと、発表資料から引用すると「当社グループの運転資金、及び、主要な取引先関係の株式取得に充当することを予定」しているという。第一の目的は運転資金ということらしい。
4社のうち、最も割当が多いのがサッポロビールで、持ち株比率は3.24%。これは創業者の関連企業を除けば単独企業としてはトップの持分となる。
今のような経済情勢の下で、いったいいくらで株を売ったのだろう。発表資料によれば、処分価額は845円であり、これは2月16日から3月2日までの終値の平均値と説明されている。
振り返って資料に当たってみると、昨年の5~9月に行われた自社株買いにおいては、7,562,688,100円(約75億6000万)で5,700,000株を買い付けているから、平均1,327円で買い集めていることになる。その一部とはいえ、わずか数ヵ月後に845円で手放すというのは、かなり支離滅裂な印象を受ける。
取引先ということで、安定的な株主であり、市場での需給に影響を及ぼすものではなさそうだが、この時期に自社株を処分する理由は何なのか。誰もが思いつくのは3月末の資金需要に備えた、ということだが、それほどリゾートトラストはひっ迫しているのだろうか。
直近の決算データによれば、リゾートトラストは2008年末現在で168億程度の現預金を持っている。償還が近い社債がドカンとある、というわけではないので、近ごろの不動産会社の倒産でよくある社債の償還後にリファイナンスができない、といった事例でもなさそうだ。
といったわけで、どういう事情なのかよくわからないのだが、ちょっと妙な感じを受けたので、情報としてレポートしておきます。