和食堂 春の海

ホテルジャパン下田には、写真の和食堂「春の海」のほかに、「かとれあ」でフレンチ、「海舟」で寿司、「浜菊」で天ぷらと、バリエーション豊かなレストランが用意されている。中でも和食堂が圧倒的に広く、多くの宿泊客はここでの食事となる。

写真で見えている範囲でおよそ半分ほどだから、いかに大きいかがわかるだろう。ジャパン・トータル・クラブは基本的に1泊2食付きの利用となり、追加料金での特別料理もあるが、ほとんどの宿泊客は既定のお食事をとる。だからこの巨大な空間では、ほぼ全員が同じ食事をとっているのである。考えてみればちょっとヘンな光景だ。

和食のお食事は定評があるだけになかなかのものだが、ご覧の風景なのでムードとか雰囲気といったものはかなり欠如している。「なんだか学食で会席料理を食べているようだねぇ」などと話しながらのお食事となった。

ただ、決して悪くない。インカムを付けた従業員がひっきりなしに食堂内を行き来しており、お酒が切れればすぐに持ってきてもらえるし、お食事のペースに合わせてよいタイミングで次のお膳が運ばれてくる。これだけの大規模食堂であるのに、とてもスムーズなオペレーションがなされていて、その点については感心した。逆に、共通メニューでなければなかなかスムーズにはいかないのだろう。

他で感じるような「配膳のタイミングが…」とか「お隣は何を食べているのかな？」といった雑念が起こらないし、全員同じものを食べているという奇妙な一体感もある。ファミリー利用でも気兼ねがない。いつになくリラックスしたお食事のひと時であった。（2006 Summer）