コロナ禍の中、会員制リゾートのコスト感を考える

相変わらず、遠出はせずに都内のホテルで楽しんでいます。直前にOTAで予約して、食事は街に出ればよりどりみどり。思うがままにステイして、すぐに帰ってこれるので、毎週出かけてもまったく疲れません。ストレスフリーとはこのことです。

コロナ禍の中、しばしのディスカウントを楽しもうと考えているわけですが、ふと気付けば、もう半年前のコスト感では満足できない自分がいます。以前のレートはもうひどく高い、と考えてしまうのです。慣れとは恐ろしいものです。

一方で、会員制リゾートホテルの利用価格には弾力性がありません。先日取り上げた「割引券」や、「ポイント還元」などで利用を促進する程度のことで、全世界的なホテル価格のディスカウントとはほとんど連動していないように思われます。それは果たしてよいことでしょうか? 少し考えてみたいと思います。

エクシブやベイコート倶楽部について考えてみる前に、リゾートトラストの最近の主力である「都市型リゾートホテル」を例に、一般のホテルについて、コストの構造を確認してみたいと思います。ここでは「ヒルトン東京お台場」を例に取ります。動画は昔、このホテルのお部屋から撮ったものです。

まず、大きな違いとして、一般的にはホテルの所有者と運営会社は分かれています。ヒルトン東京お台場の持ち主はジャパン・ホテル・リート投資法人というファンド(REIT)です。そして、そこから運営会社が定期借家で賃借しています。

(公式)ヒルトン東京お台場|ポートフォリオ|ジャパン・ホテル・リート投資法人

ヒルトン東京お台場の運営会社は東京ヒューマニアエンタプライズという会社です。賃料については複雑なので今日はスルーしますが、固定+変動の2本建てになっていて、年額31億円の固定賃料に、粗利益(GOP)に連動した変動賃料を加えた額となっています。

何もしなくても毎年31億円が出ていってしまうので、コロナ禍の現在、料飲部門などのオペレーションを絞って運営コストを下げられるだけ下げた上で、販売可能な範囲のお部屋を、埋まるであろうレートでこれまでよりもかなり安く販売しています。休館するよりマシ程度だとしても、そうせざるを得ないのが一般のホテルです。そしてその具体的な例が以下です。

7月6日現在、トップシーズンの8月にこのホテルを予約すると、2名1室の料金は以下の通りです(HPCJ割引適用後の料金。これに13%のサービス料と10%の消費税がかかります)。

何というか、年がら年中フラッシュセールをやっているような感じです。ヒルトンの提携VISAカード一発で、この料金でエグゼクティブルームにアップグレードされますから、2人分の飲食も込みです。

ちなみに、2019年のヒルトン東京お台場の稼働率は87.9%、客室単価は30,202円(サービス料を含みますが、料飲などは含みません)、外国人比率は50.3%でした。

(画像出典:ジャパン・ホテル・リート投資法人)

これらの数字をひとまず都市型リゾートホテルのベンチマークとして、以下、見ていきましょう。

ようやく本題ですが、会員制のリゾートホテルはどうでしょうか。

まず、会員制リゾートホテル(リゾート会員権)では、お部屋は会員権として会員に分譲してしまうので、賃借料はありません。それどころか、運営管理費(年会費)や償却保証金といった、利用に依らない収入がありますから、会員制リゾートホテルというのは、現在のホテル業としては極めて有利な立場にあります。加えて、外国人比率はほぼゼロです。

具体例として、2年分の運営データのある芦屋ベイコート倶楽部を取り上げます。2020年3月期の芦屋ベイコート倶楽部の宿泊料売上は7億3300万円でした。室稼働率は35.4%で、全201室のホテルですから、ここから販売室数を推計すると年間の販売室数は約26,000室。客室単価は約2.82万と求められます(料飲などは含みません)。

(データ出典:リゾートトラスト有価証券報告書)

比較してみると、不思議なことにヒルトン東京お台場も芦屋ベイコート倶楽部も、顧客が(都度)支払った客室単価はさして変わらないことがわかります。ただ、ベイコート倶楽部の方がおおざっぱに言って、お部屋の面積が2倍はあるでしょう。ですから、「ベイコート倶楽部は半額だ」と言えるかもしれません。

しかし、一方の一般ホテルは現在、3~4割引状態にあるわけです。それに会員制リゾートホテルには年会費や租税公課といった毎年の費用負担だけでなく、購入時の初期費用(およそ1,000万~4,000万)もありますね。そして、街場に出られる普通の都市型リゾートホテルと違って、館内での「高級な」食事を強いられるという点も明らかに異なる部分です。ラウンジサービスなどのベネフィットも会員制リゾートホテルにはありませんね。

こうして考えてみると、コロナ禍の中、リゾート会員権の経済的合理性が改めて問われているように思うのです。もちろん、「お金で買えない価値がある」という考え方があるのはわかります。しかし、私たちは一物一価の資本主義社会に生きています。

「恒常的なホテル3割引」となりそうな時代に、リゾート会員権はどう対応するのでしょう。以下は、リゾートトラストの最新の株主通信からの引用です。こんなに有利な状況で、これほどしか利益を上げられていないのに、手厚いコロナ対策でオペレーションコストを積み増している。サービス水準を切り下げてなんとか生きている都会のホテルを利用していると、そのことに、逆さまの不安を感じます。

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