ルームチャージ半額券は生ぬるい

コロナ禍で全国のホテル料金が急落しています。5月の国内ホテルの稼働率は14.8%で、5月の平均客室単価は8,213円。これは2019年5月と比較して44.6%の下落だそうです(ホテル専門の英調査会社STRによる。出典を文末に掲載)。ホテル業界で使われる収益の指標「RevPAR」(客室1室あたりの売上)は、5月の全国平均で1,218円と、前年同月の90%減。まさしく壊滅的な状況です。

こんな中、自分もエクシブを利用したのは3月が最後で、4月以降は都内のホテルを転々として、価格破壊されたホテル業界の現状を肌で感じています。そして一方では(こういう言い方は申し訳ないのですが)、そのディスカウントをエンジョイしています。

6月の段階で、首都圏のホテル市場の価格イメージ(2名1室の底値)はこんな感じです(あくまで個人の主観によるもので、かなり雑なものであることはご容赦ください)。

・最高級ホテル:1室3万円~
・高級ホテル:1室2万円~
・かつての高級ホテル:1室1万円~
・アッパービジネス:1室6,000円~
・ビジネスホテル:1室4,000円~

いま危惧していることは、リゾート会員権の利用価格優位性が失われてしまうのではないか、ということです。リゾート会員権でないと得られないメリット(関連記事)はさておき、こんなに安かったら、わざわざ初期投資をして年会費を払ってまで、ホテルの会員権を買ったり維持したりする必要があるのかと。

初期投資や維持費を込みにした(冷静に判断した場合の)価格優位性は既に消え失せていると思いますが、会員制ホテルの利用料金とそうでない一般のホテル料金とを比較して価格価値が逆転してしまうのでは、それはリゾート会員権というビジネスの土台を揺るがすほどの大問題です。

もちろん、現在の状況が一過性のものである面はあるでしょう。しかし、コロナ禍は何も解決していません。世界的には今も「パンデミックは加速している」(世界保健機関のテドロス事務局長の5月19日の声明)状況です。長期化する可能性も十分にあります。

そんな最中、リゾートトラストからベイコート倶楽部とエクシブのすべてのホテルで使えるルームチャージ半額券が送られてきました。ベイコートとエクシブ会員には、契約泊数の種別を問わず、7月1日から来年3月31日までのすべての日で使える全日券が3枚、平日券が7枚配布されました。

一瞬、「さすが!」と胸を踊らせました。一般のホテル業界は上記のように4割以上の価格下落を経験しています。エクシブはもともとの室料が抑えられていますから、半額にする必要はなく、個人的にはルームチャージ3割引が適切だという印象を持っていましたが(例えばオールドエクシブで一般的なスタンダード13,200円を3割引にすると1万円を切ります)、それを上回る「50% OFF」の文字が券面に踊っています。

しかし、裏面を見てそれは落胆に変わりました。このチケットは1泊2食の利用に限られ、宿泊プランにも使えません。素泊まりで使えたり、食事が半額になるわけではないのです。

全日券はすべての日で使えますから、年末年始などの繁忙日には意味があるでしょう。しかし、各種のプランが使える普通の週末や平日には意味がないのではないか。そう直感しました。

データで検証してみます。エクシブには以前から、「ディナーチョイスプラン」という宿泊プランがあり、好みの夕食を組み合わせてお得に泊まれる仕組みがあります。繁忙日でない普通の土曜日にも使えます。ここでは代表的なエクシブとして、軽井沢を取り上げましょう(グランドエクシブを冠し、すべての客室グレードが存在するブランドリゾート地ですから、代表的と言って異論はないでしょう)。

個人的に好きな、エクシブ軽井沢パセオのCBタイプに2名で泊まるとします。ディナーチョイスプラン2020の設定価格は6,700円です(1泊朝食、税サ込)。これに、人気のある中国レストラン「翆陽」で5,000円のローエンドコースをいただくと、税サ込みで6,050円。すなわち1名料金の合計は12,750円になります。つまり2人で25,500円です。

次に今回の半額券を利用した場合です。ルームチャージ半額券の効果が出るように、CBタイプで一番大きな和洋ルーム、ルームチャージ16,610円(税込)のお部屋に泊まると仮定しましょう。半額で室料は8,305円になります。夕食は上述の通りですから、2名で12,100円。朝食は2名で4,840円です。合計すると、2人で25,245円になります。

条件のいい使い方(グレード内で一番広いお部屋をチョイスして半額券の効果を引き出し、かつ2名という少人数でローエンドコースを利用して食事代を抑えた)をした場合でも、ほとんど同額でした。残念ながら、コロナ禍で発生した全国的なホテルディスカウントの波に対応した販売促進策にはなっていません。この程度の販促はこれまでも行われてきましたし、コロナ以前の状況下でも同社のホテルレストラン部門はほとんど利益が出せていませんでした(関連記事)。

ウィズコロナのホテルディスカウントの時代に、「価格硬直性」のある会員制ホテルはどう対応するのか。どう対応するべきなのか。投資をしてホテルビジネスを支えている会員のためにも、さらなる販促策が必要かもしれません。

データ出典:ホテル稼働率14.8% 5月も最低水準 客室単価4割減:日本経済新聞

9 comments

  1. resortboyさん、with corona の都心ホテルの最新報告興味深く読ませて頂きました。

    昨日、1泊でヒルトン名古屋(6月22日~)に泊まってきました。with corona の下でどのようにマネージメントしているのか調査宿泊です。

    まず、26階にあったエグゼクティブ・ラウンジが閉鎖され1階レストラン横のバーがラウンジ代行しています。ラウンジは再開しましたが、アフタヌーティ―、カクテルタイム共にサービスは大幅ダウンです。朝食レストランはセミビュッフェ?でそれなりに満足しました。

    実は一番驚いたのは客室に行くエレベーターに、黒塗りのフロアーが多数あったことです。客室は9階から27階まで19フロアーありますが、10フロアー閉鎖です。朝食レストランの込み具合を見ればホテルの稼働率は一目瞭然ですが、朝8時から9時頃までの朝食利用者は平均して10組程度でした。壊滅状態でした。これは名古屋マリオットの朝食も同様でした。全くお客が戻ってきていません。

    実は、ヒルトン・プレミアムクラブ・ジャパンで検索していたら、ヒルトン名古屋の最低価格が単価8625円(6月平日宿泊)でした。税・サ込みで10721円です。余りの安さに衝動的に予約しました。この値段で2人利用、しかもヒルトン・ダイヤモンド会員として実施的に3食アルコール付きですので激安です。

    フェイスブックの友人でマリオットヘビーユーザーの人が言っていました。
    「昨年秋に大阪マリオットのNo2と立ち話していた時に顧客のインバウンド率は90%、そのうち90%がメインランドチャイナと聞いています。つまり日本人はもともと10%しかいない(中国人80% 日本人10% その他10%)。
    海外からのお客様を当面受け入れない中ではこれまでのやり方だと最大でも10%が稼働率の上限です。
    これは大阪マリオットに限らずですが、どのように集客戦略を作り直して稼働率を上げていくか、各ホテルの戦略展開が今後見えてくるでしょうからちょっと楽しみです。」
    「ツアーではない中国人が80%ですから驚きでした。1泊4万はするホテルに泊まれる層が分厚くいるということです。日本人より遥かに豊かな層が中国にはたくさんいるということでしょう。各社がインバウンド需要を取り込んでいたのは納得の戦略です。だけどこれからはそうはいかない。どうするのか、これから打つ手を楽しみに見ています。」以上です。

    大阪マリオットに1泊1室4万円では普通の日本人は泊まれません。2万円なら泊まれます。しかし、この値段ではホテル側として大幅サービスダウンするでしょう。

    コロナ惨禍のために外国人が消え、経費を使った国内ビジネス客が出張を控え、個人客はまだ戻ってきていません。我々が自粛している間にホテル業界では「とんでもない激変?」が起こっているのかもしれませんね。日本の高級ホテルはしばらく冬の時代(氷河期に突入?)になりそうです。

  2. サンメンバーズです。私のところにも半額券が送られてきました。この記事を見てチケットの裏側を確かめてみましたが、サンメン用チケットには、利用時に最大のネックになるはずの「このチケットは1泊2食の利用に限られ」という記述がありませんでした。となると京都や熱海、別府などに単身で素泊まりすると、一泊2000円で泊まれちゃうんでしょうか? ちょっとうれしいです!!

  3. ちなみに、
    これまでのルームチャージ半額券とは違って
    株主優待券との併用は可能とのことですので
    うまく使えば、安上がりになるとは思います。

  4. 久保田さん、サンメンバーズの半額券は素泊まりでも使えます。
    利用実費でも半額になりますので、1人2200円で泊まれちゃいますよ。

  5. funasan、ヒルトン名古屋のレポートをありがとうございました。ヒルトン名古屋で1万円ちょっととは、毎日がフラッシュセールという感じです。うちの近所のヒルトンお台場も、電気が点いているお部屋がとても少ないです。グランドニッコーの方が多く利用されているようで、インバウンド率の違いが稼働率に表れているように思います。

    そうそう、都会の大型ホテルは使わないフロアを設定していることがありますね。僕もそういうホテルを東京で体験して、階段で間違って使っていないフロアに入ってしまって、真っ暗で空恐ろしい気分になったことがありました。なにかとんでもないことが起きているという実感というか。

    サンメンの半額券は素泊まりでも使えるんですね。僕はオールドエクシブのバージョンを持っていて、サンメン会費相当を支払っているんですが、サンメン用のチケットは送られてきていません。それっておかしくないですかね?

    エクシブ半額券が株主優待券との併用ができるのはよかったですね。pekesan、補足情報をありがとうございました。お正月などのここぞというときに使うと効果大ですね。

    自分も一応(まだ)株主なんですが、リゾートトラストの株価は4月3日のボトムからもう58%も値上がりしています。これまたすごいリバウンドだと驚いているところです。

  6.  サンメン施設でサンメンメンバーは、ラウンジ利用が出来るように
    なりましたよね。
     でもエクシブバージョン会員は、サンメンの年会費を負担していても
    除外されています。
     こう言う物は気分の問題なので、毎年行っていたひるがのも行くのを
    止めてしまいました。

     株主優待ですが、5割引き券1枚より3割引き券複数だろうと家族名義
    で分散しました。

     オールドエクシブに関しては、プラン利用でお得になる場合が少ないかも知れませんが、離宮などはルームチャージ半額の方がお得ですよね。
     そして、枚数が多い! 青い袋を見て、久しぶりにマイリゾートを開封
    しました。本誌は一切見ていませんが(笑

     funasanさん、彼らは正規料金で利用していませんよ。その料金を知って
    から私は利用するのが馬鹿らしくなって、利用する時は台湾のエージェント
    経由で部屋を取って貰っていました。

  7. makunoutibentou さん、鋭い指摘ありがとうございました。

    大阪マリオットについての友人の発言
    「1泊4万はするホテルに泊まれる層が分厚くいるということです。日本人より遥かに豊かな層が中国にはたくさんいるということでしょう。」
    私はこの言葉にかなり違和感がありました。「本当かな?」と。

    makunoutibentou さんは以前も指摘されていましたね。日本のホテルや旅館が中国人団体に依存しはじめると、収益が悪化して、最後はダメになる、と。中国人は団体ではなく個人で訪日しても、彼らは中国のエージェント経由で安く大阪マリオットに泊まっていたのでしょうか?そうすると、次のような疑念が出てきます。

    大阪マリオット宿泊者の内訳(外国人90%、日本人10%)から何が読み解けるか?
    ・アジアからのインバウンド客に安く客室を提供してホテル稼働率をアップし、日本人(日本語サイト)には高い客室代金を設定していた。
    ・結果的に一般の日本人を排除してプチ・リッチ層しか高級ホテルに泊まれなくしてしまった。日本人10%はその結果を示している。
    ・客室稼働率は非常に高く現場は多忙であるが、収益は上がっていない。
    ・上記のことは大阪マリオットに限らず日本の高級ホテル全般に言える。

    これが正しいと、インバウンドで日本のホテル業界が盛況であっても、トヨタや他の企業などの内部留保金を積み上げられない。よって危機に弱い。ここにコロナ爆弾が落ちてきたのでホテル業界は現在壊滅的状況に陥っている。makunoutibentou さん、皆さん、ご意見をお願いします。

  8. こんにちは。

    流石に今現在営業しているところの料金は、いやらしいので。差しさわりのないところで。

    ホテルラフォーレ琵琶湖(2017リブランドで、琵琶湖マリオットホテル)一泊朝食 6,500-
    合歓の郷(現在 ネムリゾート)一泊二食 7,000- 夕朝バイキング

    なんで料金がわかるかと言えば、渡される行程表に記載されているため。
    これは都度現金精算するため。後払いにすると、とりっぱぐれる事が多々あるため。
    個人で予約してもツアー料金になるのは、年間契約で一定の数の部屋を押さえている為。
    埋めなければ、持ち出しになります。

    香港などバスを押さえるために、バス代金3500万だしてくれます。
    バス料金は、少し安く、尚且つ旅行社のラッピングがされます。

    埋めたいけど、表立っては料金を下げれないところでのマッチングなんでしょうね。

    ホテルオークラ東京・ホテルニューオータニ東京・椿山荘などにもよく泊まりました。

    このような経験をすると逆にエクシブは、安心できますね。
    法人でもそこまでのディスカウントは、ないでしょうし。

  9. makunoutibentou さん、内部情報ありがとうございます。

    この値段ではホテルとして全く利益は出ないでしょうね。場合によっては「ホテルの持ち出し?」
    私は昨年、「琵琶湖マリオット」に何度も泊まりましたが、中国人ご用達のホテルでしたね。琵琶湖マリオットは京都から近いので、恐らく…

    バスで京都観光して、夕食も京都で食べて、夜遅く琵琶湖マリオットに来て、朝一番で朝食ビュッフェを食べて、直ぐ出発!これで一泊朝食 6,500円、まさか税・サ込の値段ではないでしょうね?込々なら朝食代、部屋の掃除・リネン代等を考えれば「無料宿泊?」。かなり大事なことで私としては全国的に徹底調査して欲しいですね。つまり、インバウンドは国益になっていたのか?

    「ホテルオークラ東京・ホテルニューオータニ東京・椿山荘などにもよく泊まりました。」
    いくらで泊まっていたか非常に興味がありますね。makunoutibentou さん、時々、さら~と情報流してください。お願いします。

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