成田空港で旅行業界を想う

お盆休み明けの成田空港に行ってみました。百聞は一見に如かず。何枚かの写真をご覧に入れましょう。向かったのは成田空港の第1ターミナル、ANAが主に利用している南ウイングの出発ロビーです。

ご覧のように、ほとんど誰もいません。空港は稼働しているので職員はそれなりに見かけますが、お客さんはほとんどいません。カウンターもほぼすべてが閉まっています。

Photo by resortboy

利用者がいないので、インフォメーションにも誰もいません。

この日、18時25分以降に南ウイングを発つ飛行機は1つもありません。赤字は欠航を示し、唯一飛ぶアブダビ便は北ウイングと案内されていました。

Photo by resortboy

目の前に広がるのは、モノクロームの静止画のような世界です。カウンターに付けられた飛沫防止のビニールシートが空調の風でゆらぐことで、かろうじて世界は息をしていることを示していました。

Photo by resortboy

隣の北ウイングはもっと使われていません。お客さんは、誰もいません。

Photo by resortboy

東京出入国在留管理局成田空港支局が明らかにした速報値によると、8月7日~16日までの10日間に成田空港の国際線を利用した人は約21,800人。これは105万人余りが利用した昨年と比べて、98%の減少でした。

お盆休みの成田空港国際線利用者 昨年比98%減 感染拡大影響 | 新型コロナウイルス | NHKニュース

数字は数字です。肌で理解する感覚とは違っているかもしれません。

98%減るとはどういうことなのか。とにかく、とんでもないことが起きている。世界が変わり、旅行業界が変わる。そして新たなものが生まれ、死んでしまうものも少なくない。

国際航空運送協会(IATA)は、世界の航空需要が2019年の水準を回復するのは2024年になるとの見通しを発表しています。要するに、マーケットが戻るまで4~5年だと。

新型コロナ:世界の航空需要の回復、24年に遅れ IATA予測を1年先送り:日本経済新聞

気持ちを切り替えて変化に対応する、というようなことは、頭ではわかりますが、リカバリーへの道のりはあまりにも長いと、愕然とします。

7 comments

  1. 「成功体験が失敗の原因となる」
    企業経営などで語られることですが、新型コロナ感染についても言える気がします。

    国家の強権発動でコロナを抑え込んだ「中国・韓国・台湾」は、成功したが故に、出国・入国には相当高いハードルを作るでしょう。日本への渡航について言えば、日本にまん延しているコロナ感染が収束しない限り自国民の日本渡航、日本人の入国は許可しないと思います。(注:一般の観光客の話です)

    一方で、日本は国家の強権発動はせず、ひたすら「自粛のお願い」のみ、これではいつまでたってもコロナ感染は収束しません。よって、本当に有効なワクチンができて、さらに(世界の)一般大衆にもいきわたるようになって、はじめて海外旅行が解禁となります。当分先のことでしょう。

    かっての怒涛の如く押し寄せた中国・韓国・台湾のインバウンド需要は当分の間、消滅したまま。旅行業界は完全に冬の時代に入りました。以上、旅好きな素人の分析でした。

  2. funasan、コメントありがとうございました。以下は昨日の日経電子版の記事ですが、まさしく「鎖国」という言葉がぴったりとします。

    新型コロナ:7月の訪日客、99.9%減の3800人 コロナの影響続く:日本経済新聞

    鎖国状態では海外向けの旅行業は成り立たず、国内旅行にそのお金が回ってくる、という構造とも取れますが、果たしてどうなるでしょうね。

    海外渡航向けの旅行業をメインとするエフネスという企業が、今後の見通しを以下のように想定して、事業リストラクチャリングを進めると発表しています。

    株式会社エフネス

    このように具体的な数値目標を掲げている例は貴重だと思い、以下に引用します。

    日本人海外渡航需要についての当社の想定
    ・今年(2020年)に関しては、秋頃から一部の国・地域への渡航が再開される可能性はあるものの、極めて限定された需要に留まる。
    ・来年(2021年)は年初より徐々に需要が回復するものの、第四四半期(10~12月)で65%前後、年間で40~50%までの回復となる。
    ・再来年(2022年)以降は、2022年で70%前後、2023年で75%前後の回復となり、2019年の水準に近づくのは早くても2024年以降となる。
    ※上記数値は2019年日本人出国者数比

  3. 私の住んでいるのも成田空港の近くなので、仕事でも空港関連の仕事もあるので、私の所は貨物なのでまだましですが、旅客は本当に厳しい状況ですね・・・
    万年人手不足の酷い成田ですが、成田市と同じくらいの雇用人数がある空港がこれなので、最近だとANAの380の周遊フライトは、応募の定員をかなりオーバーしていたので、以前は成田から伊丹までの便は国際線使用の機材で普通席でビジネスクラスが堪能で出来たりしたので、国際線機材を使った地方プランや成田エクスプレスも乗車率2%なので以前は富士山駅直通とかがあったので、空港から千葉発で観光列車として使ってほしいですね。
    また先週東京駅に寄って山中湖に行きましたが、東京駅周辺も普段と比べて少なさには驚きましたが、
    逆に山中湖や私の地元の道の駅や人気のあるレストランは逆に人手が多かったりするので、遠出は出来ないから
    地元をや近場を楽しむ方が増えてるように感じます。山中湖なんかリールカフェに寄ったら開店30分前からで
    1時間待ちやペーパームンに寄ったら混みすぎてテイクアウトも出来ないと断られました(笑)

  4. コーギーさん、コメントありがとうございます。成田エクスプレスって自分は使わないのですっかり忘れていましたが、以下の記事によると、コメントいただいたようにお盆時期の乗車は98%減の4400人(!)だったんですね…。

    JRのお盆の利用客 TDRの舞浜駅は6割減:日本経済新聞

    成田エクスプレスが富士急と乗り入れていたのは知りませんでした。今は以下の路線に引き継がれた、ということなのかな?

    JR・富士急行直通特急 富士回遊 2019年3月16日デビュー | 富士山に一番近い鉄道 富士急行線

    この路線、富士急ハイランドで遊んで、河口湖でレンタカーを借り、エクシブ山中湖に移動して宿泊して、旭ヶ丘で乗り捨てして高速バスで帰る、なんていうときに使えるかも。トヨタレンタカーで可能です。脱線失礼。

    ワンウェイシステム|トヨタレンタカー

  5. resortboyさん補足ありがとうございます。

    丁度無くなる期間と入れ替わりで、富士回遊号が出たので恐らくそれに引き継がれた形になりますが、
    成田エクスプレスの場合は、成田空港から東京駅も停車するので、アクセスがよかったのと高速バスより
    割高ですが、社内も広いのと成田空港からだとグリーン車料金と指定席の値段殆ど変らなかったので、
    富士山駅にもレンタカーがあったので、そちらで借りてそのまま帰りに返却する形を取っていました。
    私の住んでる所だと、新宿駅の発車時間が、早すぎて利用出来なかったので、新幹線のEXのこだま
    のグリーン車も安ので、コロナ前までは、三島経由で利用していました。
    また成田伊丹は、乗り継ぎが主なので、今は飛んでいないせいで、有馬だと成田空港2時間半くらいで行けるので、
    西日本側のエクシブも気軽に行けたのが、今は行けない状況も辛い所です・・・

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