「水庭」について考える

今日はエクシブ湯河原離宮のメインビジュアルとして使われている「水庭」について見ていきたいと思います。この冒頭の写真は、エントランスホールから見たところで、このホテルに足を踏み入れたときにまずお目にかかる景色です。

ここでおそらく、多くの方はこう思うのではないでしょうか。「おや、意外と狭いな」と。

このメインビジュアルの正面にあるお部屋は、1、2階が3室、3~5階が4室と、それほど多くのお部屋があるわけではありません。このようなシンメトリカルな意匠はエクシブの得意とするところで、エクシブ浜名湖やエクシブ琵琶湖などの既存の施設のイメージから、僕は勝手にもっと雄大なものを知らず知らずのうちに想像していたようです。

次に、この水庭の意匠について見ていきます。この水庭は、開業時の報道発表において、このホテルの魅力として温泉の次に語られ、以下のように説明されていました。

ホテル敷地中央の広い水庭は、尾形光琳の「紅白梅図屏風」をオマージュした滝が配置され、鏡のように周りの風景を映し出すことで、光の揺らぎとともに美しい幻想的な風景を作り出します。

ロビーから見ている分には、この説明は何がなんだかわかりません。これは2号棟のお部屋や、日本料理レストランを利用してようやくわかります(廊下からも一部見えます)。このホテルの裏山の斜面に沿って「尾形光琳の絵画をオマージュした滝」を配置して、メインレストランと言える日本料理・鉄板焼レストランからの景色として設定したのです。

ところで、その「紅白梅図屏風」とはなんでしょう。絵の内容についてはググっていただくとして、Googleのサイトで非常に高画質なイメージが公開されているので紹介します。この「オマージュ作品」と見比べてみるのもよいかもしれません。

RED AND WHITE PLUM BLOSSOMS (National Treasure) – Google Arts & Culture

再びロビーに戻って、今度はラウンジに入ってみましょう。

このラウンジは、ホームページ上でこのように説明されています。

尾形光琳の紅白梅図屏風をオマージュした水庭を眺めながら優雅な時間を過ごしください。

実際にラウンジを利用してみた感想は、これとはかなり違います。優雅な時間と言ってしまう神経は、若干どうかしていると思います。

ちょっとここで脱線させてください。史上最も成功したテレビドラマの1つ「フレンズ」(米NBCで1994年から2004年に放映)には、「裸のブ男(Ugly Naked Guy)」という隠れキャラが登場します。フレンズの舞台となっている部屋の窓から見える、向かいのアパートの管理人という設定で、登場人物が話題にするだけで姿は現れません。このドラマでは、窓辺に集う登場人物たちが、しばしば彼の姿を話題にし、時に笑いあい、時にお互いをなぐさめあうのです。

話をエクシブ湯河原離宮に戻すと、このラウンジから見る風景は、まさにそんな、向かいのアパートをのぞき見するような距離感です。販売ホームページにおいても部屋の中の家具までしっかり描写されていますし、ラウンジにしてもロビーにしても、そのように視線を向かわせる設計になっていて、言葉を変えれば客室をガン見するようにホテルそのものがデザインされています。

実際のところ、水庭と言っても水が張ってあるだけですから、目線は行かず、どうしてもお部屋の明かりに目が行きます。だいたい、山の斜面の下ですから、掃除はしているのでしょうが、落ち葉だらけなのです。「見るな」という方が無理です。

しかしその目線の先には、リゾートホテルに保養に来たのに、カーテンを開ければ見世物になり、閉めればリゾートの気配は感じられなくなるという、まことに矛盾した状況にあるゲストの方々がいるのです。

これはいったいどういうことなのか、驚きを通り越して立ち尽くすほかはありません。

脳内BGMは「冬の稲妻」でいかがでしょう。

5 comments

  1. 先日1泊してきました。感想は「リピートはないな」です。窓は開けられず、カーテンも閉めっきりで真っ暗。なぜか自然に人間観察してしまう。なんの事情かわかりませんが、周りの環境から閉鎖的。湯河原は海も山も自然豊かで素晴らしく、可能性のある土地だと思うので残念ですね。ガウンは白でしたが、スタンダードの部屋がグレーとわかり、恥ずかしくてスパまで着ていくことができませんでした。なぜ部屋によって色を変えるのか、下品で仕方ありません。ラージの部屋も用意するべきです。不満が募るに決まってるじゃないですか。リゾートトラストには湯河原の失敗を必ず次に活かしてほしいと思う。

  2. こんばんは。

    「優雅さ」について、正確な意味を調べたことは無いですし、このコメントを書く際にも敢えて調べませんでした。私が「優雅だ」と感じる瞬間は、例えば部屋の窓から景色を眺めた時です。シティホテルであれば夜景を見下ろしたり、リゾートホテルであればそびえ立つ山を見上げたり、あるいは地平線まで伸びる海を眺めたりしていると、それを感じられます。

    あとはラウンジでコーヒーを飲みながらピアノの演奏を聴いたり、レストランで隣のテーブルに他の客が居るにも関わらず、そんなことを全く気にせず食事を楽しめたり。オーナーであれば専用レセプションやラゲージサービス等、自信に物理的に何かを付与された訳では無いのに、部屋だけでなく施設全体を「自分の所有物」のように過ごしている時にも、「優雅さ」を感じられます。

    離宮シリーズは「豪華さ」を強調されているようですが、やはり「優雅さ」が無ければ心が満たされないような気がします。湯河原離宮を利用された方々は、どこで「優雅さ」を感じ取られたのか、非常に関心があります。少なくとも、この水庭にはそれが無さそうですね。

    …と、ここまで書いたところで「優雅」について調べてみましたが、「上品さ」に近似した意味だということを知りました。つまり、のりさんが「下品で仕方ない」と思われた部分があったということは、やはり湯河原は「優雅さに欠けているのかな」と思ったりもしますが、実際にはどうなのでしょうか。

  3. 箱根や有馬のように雄大な眺望を望めるわけではなく、朽ち果てた建物が散在する立地のため、周囲を遮断する内向きな設計にならざるを得なかったのでしょうか。
    水庭は、あまりにも人工的すぎて大きな水溜まりにしか見えません。
    特にゲストの方には入館してからゆっくり座るところも提供せず、どうだ!と言わんばかりにこの庭を見せつける感覚は理解し難いです。
    東急ハーヴェストの箱根翡翠と甲子園も庭を挟み客室がお見合いして人の動きが丸見えですが、風情があり素晴らしい庭のため、お互い庭を共有しているという感覚で湯河原離宮のような殺伐感はありません。
    リゾートトラストは、不動産開発から発展してきた会社ではないので、ソフトサービス面は良いのですが箱物づくりのハード面はセンスが無いですね。

  4. さっきテレビ朝日でCMやってました
    CMも夜のライトアップされた水庭のアップでしめてました

  5. 先週湯河原行ってきましたが、確かに水庭微妙でした。夜に日本料理を食べているときに向かいに座っている嫁さんがぎょっとした表情をしていたので、聞いてみるとお風呂に入っている中年男性が見えたとの事でした。あまり食事中に見たいものではないですね・・・

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