
自己判断のための「吹田スコア」 – 3
本連載は「旅を通して転移がんを克服した全記録」です。(編集担当:resortboy)
アドヒアランス(adherence)という言葉があります。ある規則や信念、計画などに従うことを意味する英単語ですが、医療現場でのアドヒアランスは、医師の診断と治療方針(行動制限・薬など)に対して、患者が十分に理解・納得し、決定した治療内容に沿って積極的に協力することを指します。
アドヒアランスと彼らの本音
何らかの理由で患者が治療方針に納得いかず、治療に消極的となる状態を「アドヒアランス不良」といいます。この言葉を理解した上で、下記の2022年版ガイドライン(P68)をお読みください(太線筆者)。
米国ACC/AHAガイドライン2018では、LDL-Cの管理目標値を設定せず、絶対リスクに応じて、スタチン治療によりLDL-Cをどれくらい下げるかが示されている。(略)
しかしながら、わが国におけるガイドラインの絶対リスクを用いた脂質異常症管理についての考え方は、ガイドライン2017年版で示された「わが国の実臨床の場では管理目標があるほうが患者のアドヒアランスの観点から望ましく、実際に多くの実地臨床家が管理目標値を見て治療の目安にしていることから、従来通り管理目標値を維持すべきである」という考えに準じた。
日本動脈硬化学会は、2013年のアメリカ発の新ガイドラインを全否定し、その時に出した「日本動脈硬化学会の見解(2014年2月1日)」から一歩も進んでいません。
私は今まで、コレステロール治療の闇の世界を掘り下げてきて、日本動脈硬化学会の本音がはっきり見えてきました。以下、ちょっと怒りを込めて、彼らの本音と考えられるものを、私の独断で書きます。
筆者が想像する彼らの本音
近年の研究でコレステロール治療の真実が色々見えてきた。従来の日本の治療方法は問題が多く、日本も本当はアメリカのようにLDL-Cの管理目標値を設定せず、絶対リスクに応じて、患者一人一人のLDL-Cをどれくらい下げるかをきめ細かく見ていく必要がある。
そのためのリスクスコア(吹田スコア・久山町スコア)も既に開発されている。そして、副作用の多いスタチン等の薬剤使用は必要最小限にすべきだ。
しかし、従来の管理目標値を廃止すると現場で大混乱が起き、臨床医・患者に「絶対リスクに応じたコレステロール治療の理論」を学習させ、アドヒアランスを得るのは極めて困難だ。あくまで予防ガイドラインなので、実行すれば患者が激減するのは目に見えている。
これは病院経営に打撃となる。従来通り、管理目標値を設定して患者に有無を言わさずコレステロール治療を受けさせた方が簡単でコストがかからない。よって、従来通りの方法を踏襲する。
著者よりメッセージ
あなたは知っていましたか?
コレステロール治療の真実は、何十年も前から学術論文、科学雑誌、書籍として発表されてきたにもかかわらず、巨大な「コレステロール悪玉キャンペーン」に黙殺されてしまったことを。コレステロール悪玉仮説は、現在継続中の、人類史上類のない科学的欺瞞であることを。
そして、このコレステロール悪玉キャンペーンは世界を席巻し、世界中の人々を洗脳させ、コレステロール低下治療にかかわる研究者・医者・病院・製薬会社・食品工業に巨大な利益をもたらしたことを。
現在の日本のコレステロール低下治療は、真実を隠し、国民の健康を犠牲にし、無駄なお金を使わせる組織的詐欺行為であることを。
私たちは現代医療の問題点を理解した上で病院に行き、医師の診断と治療に対して十分なアドヒアランスを得た上で治療を開始する必要があることを。
もう医者だから正しい、という過信は捨てましょう。今や、賢い患者にならないと自分の健康と命さえ危なくなる、という危険な時代に我々は生きています。
(続く)
【次回】第2-60回・コレステロールの真実 – 1
【前回】第2-58回・自己判断のための「吹田スコア」 – 2
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