糖質制限の実践とその劇的な効果 – 4
本連載は「旅を通して転移がんを克服した全記録」です。(編集担当:resortboy)
funasan流の糖質制限生活をご紹介してきましたが、最後に、甘党の私が発見した「素晴らしき方法」を紹介します。
それは、主食のごはんを抜いてデザートを楽しむ、という方法です。
前にも記しましたが、茶碗1杯の「白米」と「どら焼き1個」の糖質量はほぼ同じです。どうしても甘いものが欲しければ、ごはんの代わりにスイーツを食べればいいのです。これで糖質は少し制限され、甘党の心も満たされます。
まるで「砂糖中毒復活」で、これでいいのか?とお叱りを受けるかもしれませんが、これでいいのです。無理なくできる範囲で、適当に実行してみて、様子を見ながら進化させていく。これがfunasan流のプチ糖質制限です。
データは語る糖質制限の効果
コレステロールや脂質異常症については様々な議論がありますが、最近は「LH比」が重視されるようになりました。LH比とは「LDLコレステロール÷HDLコレステロールの比率」のことです。
LDLは肝臓で作られたコレステロールを全身へ運ぶ役割をしており、増え過ぎると動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞の発症につながるとされています。そのため、悪玉コレステロールと呼ばれています。
一方のHDLは、全身の余分なコレステロールを回収して動脈硬化を抑える役割があり、善玉コレステロールと言われています。
コレステロール自体は、細胞膜や各種のホルモン、胆汁酸を作る材料であり、体に必要なものです。コレステロール運搬役のLDLが多かったとしても、回収するHDLが多ければ血液はきれいなままです。そこでLH比が大事になってきます。
医療機器メーカーのオムロンのサイトでは、血液内のきれいさを以下のように、LH比基準で記しています。
・1.5以下…きれいで健康な状態
・2.0以上…コレストロールの蓄積が増えて動脈硬化が疑われる
・2.5以上…血栓ができている可能性あり、心筋梗塞のリスクも
・3.0以上…動脈硬化が進んだ「かなり危険」な領域
(出典)「LH比」を目安にコレステロールを見直す|オムロン ヘルスケア
参考までに、糖質制限開始当時の私の身長は170㎝、体重は64Kg、BMIは22で標準体重です。糖尿病でも歯周病でもありません。歯は全部自分の歯です。ただし、ウエスト周囲径は88㎝あり、男性のメタボ基準85㎝を超えていました。また、軽度の高血圧(上150、下90)で脂質異常もあり、「メタボ合格」でした。
糖質制限を開始する1カ月前(2014年9月)の血液検査の結果を見ると、LDLが137、HDLが42、中性脂肪TGが188でした。一般的な脂質異常基準は、LDLが140以上、HDLが40未満、TGが150以上です。私の血液は、TGが基準オーバー、HDLもLDLも基準ぎりぎりでした。そしてLH比を計算してみると、結果はびっくり仰天の「3.3」でした。
オムロンの基準に合わせると、動脈硬化が進んだ「かなり危険」なレベルです。近い将来、循環器系の病気が発症しても不思議ではありません。私はがん対策には熱心でしたが、血液の中身もよくありませんでした。
ところが、糖質制限を始めて約1カ月後(2014年11月)の血液検査では、LDLが128、HDLが66、TGが93で、LH比は1.94と2を切りました。
中性脂肪が激減(188 → 93)し、善玉コレストロールが増加(42 → 66)し、LH比も改善(3.3 → 1.94)しました。しかも、糖質制限をはじめて、たった1カ月の成果です。
これには本人もびっくり仰天です。
糖質制限の威力に感動し、その後の原動力になりました。どうやら糖質制限は脂質異常を治し、肥満・糖尿病をはじめ、生活習慣病全般の防止策になりそうです。私は糖質制限の有効性を確信し、「自分なりの糖質制限」を進化させていきました。
参考文献
糖質制限の真実 日本人を救う革命的食事法ロカボのすべ て (幻冬舎新書)
炭水化物が人類を滅ぼす 糖質制限からみた生命の科学 (光文社新書)
ケトン体が人類を救う 糖質制限でなぜ健康になるのか (光文社新書)
「いつものパン」があなたを殺す: 脳を一生、老化させない食事 (単行本)
(続く)
【次回】第37回・がん未検査8年目の異常と再検査の日々 – 1
【前回】第35回・糖質制限の実践とその劇的な効果 – 3
本連載が単行本(紙の書籍)として刊行されました
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