
ホテル暮らしで考えた「介護を遠ざける策」 – 3
本連載は「旅を通して転移がんを克服した全記録」です。(編集担当:resortboy)
「サルコペニア(sarcopenia)」という言葉があります。加齢による筋肉量の減少および筋力の低下のことを意味し、放っておくと転びやすくなったり、歩行が苦しくなったりして、最後には介護が必要になります。
サルコペニアを避けるには
サルコペニアの先には「フレイル(frailtyの日本語訳)」があります。加齢や病気によって身体的・精神的機能が徐々に衰え、健康な状態と介護が必要な状態との中間地点にある状態のことです。
サルコペニアを避け、フレイルになる前の状態をキープできれば、介護無用の健康長寿の道が見えてきます。では、どうすればサルコペニアを避けられるでしょうか?
人間の体には「アナボリック・ホルモン」というものがあります。これはタンパク質同化ホルモンとも呼ばれ、タンパク質の合成を促進したり,分解を抑制したりして、窒素の蓄積を促進するホルモンの総称です。成長ホルモン、インスリン様成長因子、インスリン、男性ホルモンなどがあります。
人間の体は中高年になると、アナボリック・ホルモンの分泌が悪化し、筋肉(筋タンパク質)が加齢と共に減少していきます。同時に、代謝が悪くなり、食べたものをうまく処理できなくなります。
特に、糖代謝機能が衰え、食べた炭水化物(ご飯、パン、麺)が脂肪となって体に蓄積されていきます。中高年になると若い時ほど食べていなくても太ってくるのは、代謝が悪くなるからです。
中高年になってお腹がポッコリとしてきて、筋肉が減少し、足腰が弱くなるのは、まさに加齢による自然現象だったのですね。まずは、これをストップさせなければなりません。
そのためのベストな方法が「筋肉トレーニング」(筋トレ)です。
ただし、若者ではなく中高年が筋トレで効率よく筋肉増強するのはとても難しく、学習と実践が必要です。この時、非常に参考になる本があります。
「50歳からの科学的「筋肉トレーニング」 若いときとは違う体をどう鍛えるか」(講談社 ブルーバックス、2022年7月初版発行)です。
著者のフィンク・ジュリウス氏は、1982年ドイツ生まれで大学生の時に来日し、日本体育大学大学院で博士号を取得、その後、日本、アメリカの大学に勤務し、研究を続けています。彼の研究テーマは、「男性の健康に対するテストステロン(男性ホルモン)の働き」や、「男性のQOLの向上やアンチエイジング」です。
今の私にどんぴしゃりの本で非常に参考になります。今では私の愛読書の1つです。
(続く)
【前回】第2-18回・ホテル暮らしで考えた「介護を遠ざける策」 – 4
【前回】第2-16回・ホテル暮らしで考えた「介護を遠ざける策」 – 2
本連載が単行本(紙の書籍)として刊行されました
(本連載記事一覧)がん患者よ、旅に出よう!
(スペシャル対談)私のリゾートライフの全体マップ
(筆者ホームページ)舟橋栄二「第二の人生を豊かに」