
「新たな健診基準」を知っていますか? – 2
本連載は「旅を通して転移がんを克服した全記録」です。(編集担当:resortboy)
「新たな健診基準」に国民が従うことになったとしたら、従来の脂質異常症と高血圧症の患者は激減します。しかし、現実はそんなに甘くはありませんでした。この基準が発表されてからの展開は、まるでドラマを見ているようです。皆さんもぜひご一緒にお楽しみください。
まるでドラマ
2014年4月、この新たな検診基準、正式名称「日本人間ドック学会と健保連による150万人のメガスタディー」の中間報告が、厚生労働省の記者会見で行われました。
多くのマスコミ関係者は一様に驚き、その翌日には「日本人間ドック学会、基準範囲を緩和」「健康基準を広げます」などと、新聞・テレビ報道がされました。
そして、この話題は瞬く間に全国レベルで広がりました。
この新たな健診基準が国民に定着すれば、今までのコレステロール・高血圧治療が崩壊します。
日本医師会と日本医学会は黙っていられず、2014年5月22日に合同記者会見を行いました。そして上記の研究に対して全否定の見解を述べ、以下の資料のように、政治的な圧力をかけました。
(資料)「新たな健診の基本検査の基準範囲」に対する日本医師会・日本医学会の見解 - 日本医学会
上位団体による抹殺
上記資料の最後の部分のみ、以下に引用します(太線筆者)。
今回人間ドック学会が個々の基準値について関係専門学会と事前の十分な検討・協議もないままに唐突に新たな値を公表したことは、多くの国民に誤解を与え、医療現場の混乱を招いている実態に鑑みても、「拙速」と言わざるを得ない。(略)
言うまでもなく、健診の意義は、疾病やそのリスクの早期発見であり、適切な医療等の早期介入により、個々人の健康の維持・増進を図ることにある。
各メディアにおかれては、このことを十分に理解したうえで適切な報道をお願いするとともに、人間ドック学会と健保連におかれては、早急に日本医学会、関係専門学会等との十分かつ慎重な検討を行うなどの対応を求めたい。
まるで圧力団体の声明です。
日本で圧倒的な力を持っている日本医師会と日本医学会から全面否定されては、日本人間ドック学会は生きていけません。結局、以下のようなチラシを同学会は作成して配布することとなりました。
その後の両者のバトルはどうなったのか知りませんが、2016年、日本人間ドック学会から次のような見解が出されました。興味のある方はご覧になってみてください。
日本人間ドック学会の健診基本項目の基準範囲(人間ドック (Ningen Dock) / 31巻 (2016) 4号)
参考までに、この「新たな健診の基準範囲」は、私がコレステロールについて深く学ぶ中で「発見」したものです。一般的には全く認知されておらず、闇に葬られていたように感じます。
このように、健康な日本人の健診データ(=真実)は、上位団体によって抹殺されたのです。
(続く)
【次回】第2-56回・「新たな健診基準」を知っていますか? – 3
【前回】第2-54回・「新たな健診基準」を知っていますか? – 1
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