
コレステロールの真実 – 1
本連載は「旅を通して転移がんを克服した全記録」です。(編集担当:resortboy)
私は30年間以上も高LDLコレステロール血症を放置しているので、近い将来、心筋梗塞や脳梗塞になるのでは?という不安が常にありました。そこでコレステロールとその治療についていろいろと調べ、ついに「動脈硬化の真犯人」が私なりにわかったのです。
今回からは、その「コレステロールの真実」について、書いていきます。
サイレントキラー
私は時々、不整脈が起きますので、心臓の冠動脈が突然ふさがってしまう心筋梗塞が一番怖いです。動脈硬化性疾患は「サイレントキラー」と呼ばれ自覚症状がないので、いつ発症するかわかりません。
そして、発症したら手遅れ、または重い後遺症が残る場合が多いので、コレステロール低下治療が声高に叫ばれることについては、よく理解できます。
ただここで1つ、大きな疑問が残ります。「本当に高LDLコレステロール血症は動脈硬化のリスクになるのか?」という問題です。LDLコレステロールが高くても、それが動脈硬化を促進させないのであれば、怖い心筋梗塞・脳梗塞は避けられます。
そこで、動脈硬化が生じるメカニズムを調べてみることにしました。
動脈硬化には3つのタイプがありますが、通常、動脈硬化と言う場合は、血管が詰まる「アテローム性動脈硬化」のことを指します。
アテロームとはドイツ語で「腫れもの」という意味で、血管内にコレステロールなどのドロドロしたお粥のようなものが入った「こぶ」ができることを指します。脳や心臓の比較的太い動脈で起こりますので、これが破れて血管が詰まればアウトです。
怖いですね!
動脈硬化のメカニズム
今回、参考にしたのはこちらの書籍です。
患者のための最新医学 脂質異常症(コレステロールと中性脂肪)(監修:寺本民生)
この本のP50~51より、「アテローム性動脈硬化の起こり方」を引用します(太線著者)。
① LDLが血管の壁にしみ込み酸化する
LDLが増えたり、高血圧の圧力や糖尿病の高い糖分などがあると、動脈の内皮細胞が傷つき、そこからLDLがしみ込む。また中性脂肪が増えるとLDLが小型化(小型高密度LDL)し、さらにしみ込みやすくなる。血管の内膜にたまったLDLは、活性酸素によって酸化し、酸化LDLという老廃物になる。
② 酸化LDLをマクロファージが取り込む
酸化LDLを処理するため、免疫細胞の単球が内膜に侵入。単球は成熟してマクロファージになり、酸化LDLを食べて取り組む。マクロファージは炎症を起こし、取り込んだコレステロールでどんどんふくれ上がり、泡沫細胞となって内膜にたまる。
③ 脂質プラークができる
さらに、マクロファージはサイトカインという化学物質を出して中膜の平滑筋細胞を呼び寄せる。中膜が裂け、はみ出してきた平滑筋細胞がマクロファージをおおう。ふくれ上がったマクロファージは、中がジュクジュクとした粥状の脂質プラーク(アテローム)というかたまりになる。脂質プラークのため動脈の内腔が狭くなり、血流が悪くなる。
④ 血栓ができて動脈を詰まらせる
炎症が強くなり、脂質プラークの被膜が破裂すると、修復するために血小板が集まって血栓(血のかたまり)をつくる。血栓は血液の通り道をふさいでしまうので、動脈が詰まって血液が流れなくなる。
これらが心臓の冠動脈に起これば心筋梗塞に、脳の動脈で起これば脳梗塞となり、命にかかわる重大な事態となる。
LDLが血管にしみ込む
アテローム性動脈硬化のメカニズムの最初の一歩は、「LDLが血管の壁にしみ込む」ことです。その後は体の免疫反応としてアテロームができ、最後は脂質プラークが破裂し、心筋梗塞・脳梗塞の発症まで行きます。
LDLが多くても、血管の壁にしみ込まなければアテローム性動脈硬化は進行しません。ここから極めて単純明快な答えが出てきます。
LDLの血管内皮細胞への侵入を阻止せよ!
これこそ動脈硬化性疾患予防の王道ではないでしょうか。
(続く)
【前回】第2-59回・自己判断のための「吹田スコア」 – 3
本連載が単行本(紙の書籍)として刊行されました
(本連載記事一覧)がん患者よ、旅に出よう!
(スペシャル対談)私のリゾートライフの全体マップ
(筆者ホームページ)舟橋栄二「第二の人生を豊かに」