健康長寿に向け、筋肉と血管を鍛えよ! – 3
本連載は「旅を通して転移がんを克服した全記録」です。(編集担当:resortboy)
ところで、ちょっと変な感じを受けませんか? 窒素化合物と言えば二酸化窒素(NO₂)を思い浮かべますが、これは大気汚染の大きな原因物質です。
一酸化窒素(NO)とは?
NO₂を吸い込むと血液中のヘモグロビンと結合し、血液の酸素運搬能力が低下します。さらに、NO₂は粘膜刺激性を持ち、呼吸気道や肺に対して毒性があります。
酸素が1個少ない一酸化窒素(NO)は常温で無色・無臭の気体です。水に溶けにくく、空気よりやや重いです。この物質は有機物の燃焼過程で生成し、酸素に触れると直ちに酸化されて二酸化窒素(NO₂)になります。
NOは気体として広く環境中に存在しており、酸化窒素(NOx)の一員として、排気ガス公害、酸性雨、オゾン層破壊等の環境因子になっています。
危険そうに見えるNOですが、実はNOは生体内でも生産され、重要な生理機能を持つことが明らかになりました。
米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部薬理学教授のルイス・J・イグナロ博士らの研究で、体内で発生するNOは血管を柔らかくして拡張する物質であることが判明しました。ルイス博士らは、1998年にこの研究でノーベル医学・生理学賞を受賞しました。
NOは体内で作られ血管を拡張させる。これは素晴らしい発見です。人間は歳をとると血管の壁が老化して硬くてもろくなります。血の流れが悪くなり、動脈硬化がどんどん進んで脳梗塞・心筋梗塞が近づいてきます。
この時、自分で血管を意図的に拡張・収縮させれば、血管の運動になり、血管が鍛えられます。これを継続すれば少しは血管の弾力性が回復し、老化を遅らせられます。
血管を鍛える有酸素運動
実は、体内でNOを生成し、血管を拡張させるメカニズムは意外と簡単でした。本題に入る前に、血管の構造とその知られざる役割を見てみます。
血管には動脈と静脈がありますが、この両方とも「内膜、中膜、外膜」という3つの層からできています。血液と接しているのが内膜で、その表面はたった一層の細胞層による「血管内皮細胞」に覆われています。
驚くべきことに…
全身に張りめぐられた血管内皮細胞の総重量は肝臓に匹敵し、総面積はテニスコート6面分にもなるそうです。そして、この血管内皮細胞は人間最大の「内分泌器官」とも言われます。
内分泌器官なので様々な生理活性物質が産生・分泌されます。その中でも特に重要なのがNO(一酸化窒素)です。
本論です。実は血管の中を流れる血流が速くなると血管内皮細胞からNOが出てくるそうです。NOは気体で、寿命は数秒です。水に溶けにくいので血液の中には入らず、瞬時に血管中膜にある平滑筋に作用して平滑筋の緊張をゆるめ血管を広げます。
血流が早くなればNOが多く産出され、血管を広げる働きは継続します。この血管拡張効果は放出されるNOの量に左右され、NOが不足すると血管は硬くなります。一定時間、血流を速めておけばNOが十分に出て、血管をやわらかい状態に保つことができます。
ここからジョギング・自転車等の有酸素運動に新しい光が当たってきます。私の平常時の心拍数は約60拍/分です。これをややきついくらいの運動(心拍数120回/分)にすれば、血流は十分早くなり、血管内皮細胞からNOがバンバン出て血管が拡張します。
ただし、激しい運動はかえって血管内皮細胞の機能を低下させて動脈硬化を進めてしまう恐れがあるそうです。ちょっときついくらいの運動強度でやめておきましょう。
通常、私は20分ほどの速歩&ジョギングをしますが、最近は、上の理論を応用して、3分から5分程度の間隔で、心拍数が「90→120」と移動するよう「インターバルトレーニング」をしています。
これによって、私の血管はリズミカルに拡張と収縮を行い、血管の運動になっています。この運動のあと、マシンを使って筋トレをし、最後に、自転車に乗って再び有酸素運動をします。
今やトレーニングジムは私の老化防止の砦になっています。
ポイント1:筋トレで「テストステロン」を増産し、代謝を良くし、内臓脂肪の蓄積を防ぎます。そして、筋肉を増強し、サルコペニアを避けて介護を遠ざけます。
ポイント2:有酸素運動で「一酸化窒素(NO)」を産生し、全身の血管の拡張と収縮の運動をして血管を鍛えます。認知症も循環器の病気も避け介護を遠ざけます。
以上によりfunasan流のアンチエイジング(運動編)の完成です。
結論:筋トレで「テストステロン」を増産し、有酸素運動で「一酸化窒素(NO)」を産生し、「筋肉」と「血管」を鍛えれば介護は遠のく
(参考資料)【血管老化の予防法】血管拡張物質「一酸化窒素」の働き | NHK健康チャンネル
(続く)
【次回】第2-22回・ホテル暮らしの健康維持、秘訣は断食? – 1
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