私の将来が「生命表」から見えてきた – 3

「がん患者よ、旅に出よう!」は、トラベルライターの舟橋栄二さんによる連載です。早期退職でリゾートライフを満喫する日々の裏には、2度の手術を含めた「がん」との闘いがありました。「旅は生きる喜び。その喜びをがんに奪われたくない」
本連載は「旅を通して転移がんを克服した全記録」です。(編集担当:resortboy)

現在の日本人の平均寿命は男性81.47歳、女性87.57歳です(2021年)。多くの人が誤解していますが、平均寿命は、今の我々が平均的に何年生きられるか?という意味ではありません。

本川裕氏の分析

平均寿命とは、「生命表により毎年の年齢別死亡率から計算されたゼロ歳児の平均余命」です。今年生まれたゼロ歳児が確率的にあと何年生きられるか?という数字で、現在生きている人の余命とは関係ありません。

もしご自分の寿命を知りたければ、簡易生命表から自分の現在の年齢に平均余命を加えれば出てきます。私の場合は71歳に平均余命15歳を加えて86歳になります。平均寿命より5年くらい長く、残された人生も15年くらいあります。ちょっと嬉しいです。

では、今の日本人が、平均的に何歳まで生きているのでしょうか? 最近では90歳以上での死亡が普通になってきている印象です。実は何歳で何人死んでいるかという公式統計(厚労省)があります。

これは厚労省の公式データを元に、何歳で何人死亡したかを、統計分析家である本川裕氏がグラフ化したものです。

2021年度では、男性は85歳で、女性は92歳で死亡者数のピークになっています。

このグラフから今の日本人は高齢になってから死亡している、という実態が浮かび上がってきます。おおざっぱに言って、「男性は80代半ばで、女性は90代前半で死期を迎える」と言えるでしょう。私の寿命は生命表によれば86歳なので、ドンピシャリ、上のグラフのピークに重なります。

また、以下に引用する本川裕氏のもう1つのグラフ、「死亡者数ピーク年齢の推移」が秀逸です。これは2000年以降、1年ごとに「何歳の日本人が一番多く死亡したのか」という統計を男女別にグラフ化したものです。

グラフ上の数字は西暦の年度で、横軸に「死亡者数ピーク年齢」、縦軸に「ピーク年齢死亡者数」をとっています。

青い折線は男性のデータで、例えば2000年には74歳で男性の死亡者数がピークになっています。男の生命力が尽きて74歳前後で絶命する、そんな感じですね。

2000年といえば私が48歳の時です。当時の男性のライフスタイルは、朝から晩まで会社でバリバリ働いて、定年退職の60歳から年金をもらって75歳くらいで死ぬ。そんな感じだった気がします。実際に、74歳でバタバタ死んでいったのですね。

一方、同じ2000年でも、女性はまったく違っていました。何と女性の死亡者数ピーク年齢は86歳で、男より12歳も長生きでした。女性の生命力は強く、男を圧倒していました。

ところが直近の2021年になると、男性は85歳と大健闘しています。2000年から11年も寿命が伸びてきているのですね。素晴らしい! 一方の女性は92歳で、伸びは6年しかありません。女性は昔から長寿だったので、男性より伸びしろが少ないと読めます。

明るい未来を期待して今を生きよう!

現在(2021年)の平均寿命は、男性81.47歳、女性87.57歳です。一方で死亡者数ピーク年齢は、男性85歳、女性92歳です。

どうやら日本は本当に高齢化社会になってきたようです。その高齢化はそれほど暗くなく、考え方によれば明るい未来さえ期待できます。ただし、これは病気や健康面だけの話であって、経済的・社会的な問題はまた別の話です。

70代前半まで元気に生きてきた人は、80代前半まで介護も死も気にすることなく、元気に人生を楽しめそうです。これは朗報ですね。そして、男性は80代半ば、女性は90代前半に「死期」が迫ってきます。

しかしこの死期さえも、介護や病院の長期入院を避ければ、その先に延ばせそうです。極めて稀ではありますが「人生100年時代」が見えてきます。明るい未来です。

さて、2020年から始まったコロナ禍の3年間で、旅行をはじめさまざまな活動を控え、精神的に落ち込んだ人が多いと思います。気持ちの落ち込みは未来を暗くし、現状をさらに悪くします。その悪循環を断ち切りましょう。

我々シニア世代の未来は結構明るいようです。70代前半の人たちが今年死ぬ確率は、2.1%しかありません。介護が本格的にはじまるのは80代後半から。これから10年間くらいは元気に遊べそうです。

皆さま、残された時間は十分あります。人生最後のチャンスです。若かった頃の夢をもう一度思い起こし、自己実現に向けて、好きなことをやりましょう。

私は旅に出ます。

(続く)

【次回】第2-11回・高級リゾートホテル暮らしの夢を実現 – 1

【前回】第2-9回・私の将来が「生命表」から見えてきた – 2

本連載は、本サイトに掲載した舟橋栄二さんの記事から、がん闘病に関する回を再配信したものです。時期に関する記載は2023年現在のものです。

(本連載記事一覧)がん患者よ、旅に出よう!
(スペシャル対談)私のリゾートライフの全体マップ
(筆者ホームページ)舟橋栄二「第二の人生を豊かに」

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