
コレステロールの嘘 – 3
本連載は「旅を通して転移がんを克服した全記録」です。(編集担当:resortboy)
「コレステロールの欺瞞(うそ)」の著者、ワルター・ハルテンバッハ氏は、ミュンヘン大学医学部教授を歴任。医学博士。ウイスバーデン市立病院外科部長。研究分野:栄養、循環器系疾患。
コレステロールの欺瞞(うそ)
彼は何千もの血管手術をした外科専門医で、栄養疾患、がん疾患および血管疾患の研究を通じて、コレステロールは動脈硬化と無関係であることを突き止めたといいます。そして、本書において「悪玉」コレステロールは作り話、と宣言して、怒りを込めて以下のように記しています。
・コレステロールは生命に必須
・悪玉コレステロールなど存在しない
・コレステロールを下げることは必要ではなく、害ですらあり得る
・コレステロールは動脈硬化や心筋梗塞の発症に影響しない
そして、著者は薬剤によるコレステロール低下治療が、製薬企業、マーガリン産業、病院、医師たちの莫大なお金を稼ぐ商売になっていると指摘しています。
衝撃の第2弾、ウフェ・ダウンスコウ著「作られたコレステロール悪玉説―何が心臓疾患を本当に引き起こすのか」では、悪玉と烙印を押されていた「飽和脂肪酸」と「コレステロール」は、実は体に有益だと主張しています。
高齢者にとって、コレステロールが高い方が長寿につながる。そして、薬でコレステロールを低下させることが、どんなに危険なことかと。
本書の翻訳者、羽渕脩躬(はぶちおさみ)氏は、医師ではなく生化学の研究者(大学教授)です。翻訳者あとがき(P270~)に興味深い話が載っていました。私はそこにコレステロールの真実を見たので、以下、簡単に紹介します。
作られたコレステロール悪玉説
羽渕氏は大学を定年退職する時に受けた人間ドックで、高コレステロール血症を指摘され、内科を受診しました。診察の結果、高コレステロールは食事で改善する範囲を超えている、ということで薬物(スタチン)療法になりました。
彼は何も疑うことなく医師の指示に従いスタチンを飲みはじめました。なぜなら、彼は「高コレステロールは心臓疾患のリスクを高めるので下げなければならない」という従来の考えは「証明されたこと」だと思っていたからです。
ところが、この薬を飲み始めて2カ月くらい経った頃から、激しい倦怠感に襲われたのです。そこで彼はスタチンの副作用を調べはじめました。
彼は生化学の研究者だったので、論文を多数検索し、スタチンが「HMG-CoA還元酵素を阻害し、結果的に細胞のエネルギー供給を行っているミトコンドリアの酸化還元反応(電子伝達系)に悪影響を与えている」ことを突き止めました。
ミトコンドリアのエネルギー産生が妨害されれば、体はエネルギー不足になります。彼はスタチン服用による激しい倦怠感の因果関係が分かったので、即刻、スタチン服用をやめました。
そこから、彼はネット検索を進め、本書の著者ダウンスコウ博士に出合ったのです。博士の論文や著作から、コレステロールが高いことが心臓病の原因であることを証明した研究はなく、高齢者ではむしろコレステロールが高いことが長寿につながることも知りました。さらに、コレステロールを下げるという治療そのものに根拠がないという博士の主張に衝撃を受けました。
そして、羽渕氏は「コレステロールにまつわる間違いを正し、真実を世に知らせる必要がある」と思い、ダウンスコウ博士に本書の日本語への翻訳の申し出をしたのです。そして2015年、本書が出版されました。
頭から「コレステロール悪者説」が消えた
上記の2冊の本を読んで、私の頭にあった「コレステロール悪者説」は崩れ去りました。
しかし、単に本に書いてある、ということだけで、従来のコレステロール悪者説を否定することはできません。何しろ、職場や自治体で健康診断をして「データが悪かったら、メタボ対策せよ、コレステロールを下げよ」という健康指導は、日本の国是みたいに国民に浸透しているわけですから。
ところが、調べていくと、次元の違った提言が出ていました。
(続く)
【前回】第2-43回・コレステロールの嘘 – 4
【前回】第2-41回・コレステロールの嘘 – 2
本連載が単行本(紙の書籍)として刊行されました
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