現代医療への疑問(ファミリーヒストリー 2)

「funasanのアンチエイジング日記」は、トラベルライターの舟橋栄二さんによる連載企画です。舟橋さんが取り組まれている健康にまつわる学習と実践について、同時進行でご報告いただきます。舟橋さんは2022年に70歳を迎えられ、いかに健康寿命を延ばすかが、目下、最大のテーマだと言います。この連載では、皆さんとともに「旅と健康」について考えていきます。(編集担当:resortboy)

今年(2022年)の3月上旬に、ヒルトン沖縄北谷リゾートに3泊してきました。素晴らしいホテルで、客室のバルコニーから海が一望できます。

目覚めの朝、バルコニーに出てみると薄いピンクの朝焼け。パジャマ姿の薄着ではちょっとひんやりとしますが、決して寒くはありません。

ネスプレッソ(コーヒーマシン)で淹れたてのコーヒーを作り、バルコニーの椅子に座って朝のコーヒーを飲みます。心身ともに健康で旅に出られて、何だかとても嬉しいです。

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近くの港からクルーザーが次々に出港していきます。お客を乗せ、大物を狙って、いざ、出港! クルーザーを見ると私の兄を想い出します。

5歳年上の兄は海釣りが大好きで、定年退職の数年前に立派なクルーザーを購入しました。船舶操縦の免許を取り、最新鋭の魚群探知機も装備して、大物を狙って自分でクルーザーを操縦し、海釣りにまい進しました。

退職後は海辺に住んで「お客を乗せてクルーザー(釣り)ビジネスをする」と夢を語っていました。彼の未来は輝いていました。今思えばその時が幸せのピークでした。

兄は職場の検診で大腸がんが見つかり、迷わず手術をしました。57歳の時です。しかしがんは周囲のリンパ節に浸潤しており、事態は想像もしていなかった方向に進みました。

「リンパ節への進み具合から見て、1年生存率は50%でしょう」 これが主治医からの言葉でした。兄は衝撃を受けました。60歳の定年退職まで残り3年、退職後の新たな人生に向けて動きはじめていた矢先でした。

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事実上の死の宣告をしておきながら、主治医(外科医)はその後、何もフォローをしません。焦りと怒りで、兄は必死でネットを検索し、いいデータを出している、ある大学病院の腫瘍内科医のもとに飛び込みました。

そして当時の先端技術らしく、皮膚の下に「ポート」という医療機器を埋め込み、抗がん剤を常時注入する治療がはじまりました。

予想通り、抗がん剤の副作用は強く、苦しいものでした。吐き気・嘔吐、ひどい口内炎、下痢、頭痛、全身の倦怠感。兄は必死で耐えていました。

しかし5カ月後、がんは肺と骨に転移していました。この時、兄は絶望しました。主治医は抗がん剤の種類を変えていろいろ試したようですが、一向にデータはよくなりません。骨転移したがんが痛みだし、抗がん剤の副作用だけではなく、骨の痛みも増していきました。

耐えられなくなった兄は、骨転移したがんを狙い撃ちする放射線治療を開始しました。何度も放射線治療を受け、痛みは軽減されましたが、兄の体はもうボロボロです。

抗がん剤治療開始から1年、ついに兄は生きる希望を捨て、自ら進んでホスピスに入りました。

そして3カ月後、ガリガリに痩せた兄は、点滴も人工呼吸器もせず、意識は鮮明で愛する奥さんと娘に最後の別れ 1 をして、穏やかに病室で死亡しました。享年59、無念の早死にです。

がん細胞は自分が作った親戚の細胞みたいなもので、外部から侵入してきた敵ではありません。がん細胞と正常な細胞の違いは紙一重。そのがん細胞をやっつけるために強力な毒物である抗がん剤を投与し続ければ、体(正常な細胞)がダメになるでしょう。兄は抗がん剤治療で死んだ。私はそう思っています。

海を愛し、今も現役の「永遠の若大将」加山雄三さんは、1937年生まれの85歳です。同じく海を愛し、退職後の第二の人生を目前にしてがんで倒れた兄への鎮魂として、私の大好きな曲を紹介します。

(続き)第5回・現代医療への疑問(ファミリーヒストリー 3)
(前回)第3回・現代医療への疑問(ファミリーヒストリー 1)


  1. 強力な鎮静効果のある麻酔を注射することによって、事実上、永遠の眠りに入ります。兄は娘と最後の別れをしてから、主治医にその鎮静麻酔をお願いしました。彼は自分の意思で「死ぬ時」を選んだのです。その日の夜、私は兄の病室に寝泊りしていましたが、静かな夜でした。ふと気が付いたら兄の呼吸は止まっていました。 ↩︎

3 comments

  1. 癌では無いですが…
    重篤な病を経験した夫の毎日を観ていて
    健康で全てを自分で出来ると言うあたりまえのようで実はそれこそ幸せな事なのだと感じています。

    それを眼のあたりに見せてくれる夫に感謝しかないです。

  2. 自分や家族が深刻な病気になり、病院にお世話になると、今の医療の素晴らしさや問題点が見えてきますね。実は数日前、我が家でとんでもないことが起こりました。

    近くに住んでいる娘に待望の2人目の赤ちゃんが生まれたのですが、出産後の出血が止まらず、救急車で地元の医科大学病院に緊急搬送されました。そして、ICU(集中治療室)で数日間、輸血・点滴等の処置を受けました。娘の状態は全く分からず我々夫婦は祈るしかありませんでした。

    幸い、ICUでの適切な処置で出血は止まり、現在は一般病棟に移りました。恐らく数日後には退院できると思います。地元のクリニックの先生の適切な判断と救急車による搬送先が直ぐに決まったことが幸いしました。

    もし、これが、コロナ禍で救急車が来ない、搬送先が決まらない、等で時間が経過していたら‥‥、出血多量によるショック死、なんていう、恐ろしい事態になりかねませんでした。これをコロナ禍での医療崩壊と言うのでしょうね。娘の命を救ってくれた医療関係の人々に感謝しかありません。ありがとうございました。

  3. がん治療とホテル、という切り口で話題になっているホテルがあるのでご紹介します。7月1日に開業する三井ガーデンホテル柏の葉パークサイドです。

    【公式】三井ガーデンホテル柏の葉パークサイド

    柏の葉キャンパス駅から車で5分、国立がん研究センター東病院敷地内に三井ガーデンホテル柏の葉パークサイドを開業いたします。
    光と緑にあふれる環境のなか、解放感あふれる館内は、24時間サポートするケアスタッフによる緊急事態対応や病院の外来診療エリア、
    AIカメラを使用した緊急時対応など患者さまやご家族の方にも安心してご滞在いただける環境を整えております。

    報道発表資料はこちらです。

    「三井ガーデンホテル柏の葉パークサイド」開業(2022年7月1日)

    ホテル事業の新しいスタイルとして、観光や出張ではない、医療・介護に寄り添うこのようなスタイルが今後定着するかもしれません。以下の統計資料も併せてどうぞ。

    統計局ホームページ/令和3年/統計トピックスNo.129 統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-/1.高齢者の人口

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