私は昔から、仕事でも遊びでも夢中になって突き進む「行け行けどんどん型」の人間で、自律神経で言えば、常に交換神経が優位な生活をしてきました。もし、この交感神経に偏った生活そのものが「がん発生の原因」だったとしたら、あなたは驚くでしょうか?
ある時、私は書店で「ガンは自分で治せる」(安保徹著、マキノ出版、2002年5月)を見つけ、「目からうろこ」でした。もう1冊、「奇跡を起こす驚異の免疫療法」(福田稔著・安保徹協力、SBクリエイティブ出版、2007年12月)も衝撃でした。
これらの本には、がんの食事療法とは全く違うアプローチでがんの完治を目指す治療について書かれていました。私はむさぼるようにこの2冊を読み、続いて安保氏の書籍をどんどん読んでいきました。
そこには免疫学者である安保徹氏(故人。当時新潟大学医学部教授)の、独自理論がありました。その真偽は別にして 1、私はこれらの書籍に大いに影響を受け、その後の私の生き方までが変わりました。
そういう意味で、安保徹氏に敬意を表して、以後、安保先生と記します。
福田・安保理論
1996年、安保先生は、医師である福田稔氏(故人)と共同研究で、白血球の自律神経支配のメカニズムを発見しました。それを「福田・安保理論」として体系立て、がんをはじめさまざまな難病の治療に役立てました。詳しくは文末の参考文献を見て頂くとして、ここでごく簡単に概略を説明します。
人間の免疫を担っているのは白血球です。白血球は主に顆粒球とリンパ球で占められ、顆粒球は真菌や大腸菌などサイズの大きい異物を攻撃し、一方のリンパ球はウイルスやがん細胞などサイズの小さい異物を攻撃します。がんの再発・転移を防ぐ主役はリンパ球です。
福田・安保理論によれば
交感神経が優位になるとアドレナリンが出て、顆粒球にあるアドレナリンレセプターに結合して、顆粒球が増える。
副交感神経が優位になるとアセチルコリンが出て、リンパ球にあるアセチルコリンレセプターに結合して、リンパ球が増える。
顆粒球の寿命は2~3日と短く、免疫の役目を終えると活性酸素をまき散らして自爆する。活性酸素は強い酸化力があり、組織を次々と破壊していく。
白血球の中の顆粒球の比率が正常であれば、体内には活性酸素を無毒化する仕組みがあるので大事には至らないが、多過ぎると広範な組織破壊になり、がんの発生につながる。
白血球の中の顆粒球とリンパ球の比率を調べれば自分がどのくらい偏った生き方をしているか分かる。がん患者はリンパ球比率が非常に低い。
なるほど、リンパ球比率を調べれば自分のがんの状態が分かるのか。これは簡単・明瞭でデータ主義の私にどんぴしゃり!
普通の血液検査だけではこの白血球のリンパ球比率は出てきません。しかし、がんセンターでの手術の前後の精密な血液検査には全て出ていました。
私は2度目の手術の前後の血液検査結果を改めて見てみました。そこには衝撃のデータが現れていました。参考までに以下正確に記します。
(編集部注)安保徹氏は多数の書籍を出版する一方で、論文としての症例報告がないという。批判の例として日経メディカルOnline掲載の「一つの仮説だけを信奉することは危険:MedWave Back Number」などがある。記事の著者は内科医の小内亨氏。著書に「危ない健康食品&民間療法の見分け方―それでもあなたは信じますか!」がある。また「福田・安保理論」についての科学的な位置付けについては、医学と哲学が重なり合う領域「医学概論」から論じた杉岡良彦氏の論文「近藤誠と安保徹が現代医学に問いかけるもの」(医学哲学 医学倫理 No.25号、2007.10、p.61-70)に詳しい。 ↩︎
funasan さん
お久しぶりです。安保先生の解説をよりわかりやすく解いてくださいましてありがとうございます。
安保先生のあの東北訛りの教えが懐かしいです。たまにYouTubeで聴いていますが”生安保先生”を聞いた身として本当に残念な気持ちです。
この回も今現実に癌と向き合っていらっしゃる方々は生きる力を持たれるでしょう。
ありがとうございました。K
Kさんは直接、安保先生のお話を聞かれたのですね。
安保先生は沢山の本を出されていて、「健康に生きるヒント」がうまっています。
今では古くなって忘れられた感じですが、価値はあると思います。
ところで、妻に、この私の「福田・安保理論」日記を読んでもらったところ、
「こんなに熱心に日記を書いていたらリンパ球下がるよ」でした。
何だかんだ言って、だいたい妻は正しいです。