大量の生野菜ジュースに救いを求める

「funasanのアンチエイジング日記」は、トラベルライターの舟橋栄二さんによる連載企画です。舟橋さんが取り組まれている健康にまつわる学習と実践について、同時進行でご報告いただきます。舟橋さんは2022年に70歳を迎えられ、いかに健康寿命を延ばすかが、目下、最大のテーマだと言います。この連載では、皆さんとともに「旅と健康」について考えていきます。(編集担当:resortboy)

ある本との出会いが、私のがん治療の方向性を決めました。星野仁彦著「ガンと闘う医師のゲルソン療法」(マキノ出版、1998年6月刊)です。

ガンと闘う医師のゲルソン療法(自らのガンを克服した精神科医が選んだ究極の栄養療法)

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この本は、大腸がんの肝転移により5年生存率0%を宣告されたという医師、星野仁彦氏のがん克服物語です。

星野式ゲルソン療法

5年以内に必ず死ぬと宣告された星野氏は、まだ42歳の若さでした。当時の彼は大学病院の医師(神経精神科臨床副部長)として充実した仕事をしており、愛する奥さんと2人の子供もいました。このままでは無念で死にきれません。

ここから彼の必死のサバイバルがはじまります。彼の運命を変えたのは前回(第10回・民間療法に魅せられた私の本音)も紹介した今村光一著「ガン勝利者25人の証言」と、マックス・ゲルソン著(今村光一訳)「ガン食事療法全書」でした。

これらの本によって彼の運命は急旋回します。しかし、がんを食事で治すという本来のゲルソン療法は厳格すぎて、現役の社会人である星野氏にとっては実行不可能でした。そこで彼はゲルソン療法の原則は踏襲し、実行しやすい「星野式ゲルソン療法」を考案して実行しました。

星野氏は最初のガン発見から30年以上経つ現在も、元気に活躍されているようです。

食事療法を中心とする生活改善によって、生存率0%からの生還を果たした星野氏 1 に対して、同じ大腸がんながら、私の兄は抗がん剤治療の末、絶命しました。この違いはどこからくるのでしょうか?

星野仁彦氏というたった一人のがん克服体験ストーリーですが、私はここにがん治療の真実がありそうな気がしました。

私が食事療法に魅せられた理由

私が食事療法に本気に取り組むようになったのは、「がんは全身の栄養・代謝障害による病気で、体全体の栄養・代謝を正せばがんは治る」というゲルソン療法の基本認識でした。

ゲルソン博士は言います。「がんの腫瘍はがんの症状の一つであってがんの全てではない。手術でがんを取り除いても根治にはならない。今までと同じ生活を続ければ、何ら原因(栄養・代謝障害)は改善されていないので、がんは再発・転移を繰り返す。しかし、がんの原因となった体全体の栄養・代謝を正せばがんは治る」と。

このゲルソン理論が医学的に正しいかどうかは別にして、すでに再発転移してしまった私のがんをこれ以上転移させないために、ゲルソン理論の考え方は、私にとって「都合がよかった」のです。がんを完治させる「希望」が出てきたからです。

では栄養・代謝の乱れをどうやって治すのか? 詳しくはこの記事末尾に掲載の参考書籍を見ていただくとして、「大量の野菜ジュース」と「無塩食」がゲルソン療法の特徴です。ゲルソン博士は野菜ジュースを抗がん剤と位置付け、無農薬・有機栽培野菜を使った野菜ジュースを1日に13回(合計2~3リットル)も患者に飲ませました。

私はさっそく低速回転式ジューサーを購入して、野菜ジュースを作りはじめました。このジューサーはカッター不使用の低速スクリュー(毎分90回転)で、野菜の栄養を活きたまま絞り出せると言います。

私はすでに退職していて毎日が日曜日だったので、妻の世話にはならず自分でジュースを作りました。毎日毎日、しかも、当初(2008年から数年間)は、1日に3回、朝、昼、夜と作りました。

大量の生野菜ジュースを飲む

朝と夜は「ニンジン、りんご、レモン」のジュース、昼は「青菜、りんご、レモン」ジュースです。大量の野菜から、1回につき350mlのガラスコップ1杯のしぼりたて生ジュースを作り、できたてをすぐに飲みました。

1回につき350mlですから、1日1リットルくらいは飲んだことになります。1日1リットルの野菜ジュースは本来のゲルソン療法の半分から1/3程度ですが、それなりの効果が期待できます。私の手のひらは少し黄色くなりました。

はじめてこのジューサーでニンジンジュースを作った時の感動は忘れません。中サイズのニンジン3本を水でよく洗って細かく切り、ザルに入れます。ザルの半分くらいがニンジンで埋まります。

この固いニンジンをジューサーに入れ、低速回転のスクリューで圧搾すると、見事にだいだい色の液体が流れ落ちてきます。ニンジンの中に、よくもまあこれだけの水分が入っているものだと驚きました。

次にレモンです。よく水洗いして縦に4つ切りにし、ジューサーに入れます。りんごも同様に大きく切ってジューサーへ。搾りたての「ニンジン・レモン・りんご」ジュースを一口飲んだ時の感動も忘れられません。「美味しい~!」です。

私は朝と夜、1日2回ニンジンジュースを飲みましたので、1日にニンジン5~6本の栄養素(ビタミンやミネラル)を摂っていたことになります。ニンジンにはビタミンAになるβカロチンをはじめ、ビタミンB類、ビタミンC、ミネラルが豊富に含まれています。カロチン類は抗酸化作用を持つファイトケミカル(フィトケミカル)として知られており、がん予防の効果も期待できます。

昼は青菜中心の野菜ジュースです。はじめて「青汁」を作った時も感動しました。キャベツ、小松菜、ホウレン草、セロリ、パセリなどをしっかり水洗いし、次々にジューサーに入れていくと、青い液体が流れ落ちてきます。正真正銘の青汁です。レモンとリンゴを入れると美味しくなります。葉野菜もニンジン同様にビタミン、ミネラルの宝庫です。

その後の私のがん治療

しかし、野菜ジュース作りは非常に面倒で時間がかかります。最初は気合いを入れて1日3回作っていましたが、そのうちに1日2回になり、最後は、夜だけになりました。

夕食の時の「ニンジン、青菜(主に小松菜)、レモン、りんご」ジュースは、現在でも継続しています。2008年スタートですから、何と14年間も続いています。

この野菜ジュースは私のがん治療の「最初の一歩」に過ぎません。

何度も書きますが、私は物理出身で疑り深い人間です。確かなデータ、科学的な根拠がないと信用しません 2 。ですから「funasan流ゲルソン療法」は継続しつつ、他のがん治療もどんどん試していきました。

面白いものですね、大型書店のがんコーナーには「隠された宝物」が眠っているように感じます。私は書店巡りから、食事療法とは全く別のアプローチでがんの完治を目指すという治療法に出会いました。次回はその話です。

参考文献

最後に、今回の記事に関する参考文献を紹介します。

(次回)第12回・生き方そのものを変えたがん治療「福田・安保理論」
(前回)第10回・民間療法に魅せられた私の本音


  1. (編集部注)星野氏が著書で「生存率0%」と記していることについては以下のような批判がある。現東京目白クリニック院長の大場大氏によれば「(星野氏は)エタノールを注入する局所治療を受けており、結果はうまくいき、腫瘍は2つとも壊死したとも書かれています。この時点で、星野氏のがんは治ってしまったのではと私なら考えるところです」と、ゲルソン療法による治療効果に否定的な見解を「週刊新潮」2017年8月31日号で発表した。その記事は以下のリンクより読むことができる(食べものだけで余命3カ月のがんは消えない! 「がん食事療法本」が「がん患者」を殺す | デイリー新潮)。 ↩︎

  2. (編集部注)「世界中の医学研究を徹底的に比較してわかった最高のがん治療」の著者による以下の記事によれば「ゲルソン療法ががんの進行をゆっくりにしたり、収縮させるというエビデンスはありません」とされる。(糖質制限はがんに効くのか? | 世界中の医学研究を徹底的に比較して分かった最高のがん治療 | ダイヤモンド・オンライン) ↩︎

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