「funasanのアンチエイジング日記」は、トラベルライターの舟橋栄二さんによる連載企画です。舟橋さんが取り組まれている健康にまつわる学習と実践について、同時進行でご報告いただきます。舟橋さんは2022年に70歳を迎えられ、いかに健康寿命を延ばすかが、目下、最大のテーマだと言います。この連載では、皆さんとともに「旅と健康」について考えていきます。(編集担当:resortboy)
リゾートライフやクルーズ旅行が私の「明」の部分だとすると、その裏側では、常にがん患者であるという苦しみがありました。今日は、首のリンパ節に転移したがん手術直前に行った旅の話です。この時は本当に落ち込んでいて、「最後の旅になるかな」という思いで旅立ちました。
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最後の旅になると覚悟
2008年2月8日、日本からアメリカ経由のロングフライトの後、メキシコはユカタン半島のリゾート地、カンクンに着きました。エアポートホテルに1泊した後、地元のバスに1時間半乗り、カリブ海に面したプラヤ・デル・カルメンのバスターミナルまで来ました。
10分ほど重いスーツケースを引っ張りながら、ビーチ方面に歩いて行きます。その途中にはカラフルな装飾をしたショップやレストラン、カフェがたくさんあり、落ち込んでいた気分も少しは盛り上がってきます。
そして、やっと到着したコスメル島行きフェリーターミナル。はるばる来たぜカリブ海! 熱帯の蒸し暑さと強烈な太陽に出迎えられ、一気に汗が噴き出してきます。
そして目の前はカリビアンブルーの海!
ここからフェリーに乗り、40分ほど波に揺られながらコスメル島に向かいます。船内には、メキシコ人をはじめ中南米系の顔立ちの乗客ばかり。アジア系は私ひとりしかいません。たったひとりで遠くまで来たものです。
心は憂鬱でした。せっかくの海外旅行なのにちっとも楽しくない。こんなことは、はじめてです。船の中で何度も考えました。父の死、母の死、そして兄の死。家族全員が「がん死」という典型的ながん家系で、私はがんの再発・転移の現実におびえていました。
どんなに考えても先は見えません。堂々巡りです。
生きる希望を捨てた時に死が待っていると聞きます。
旅行先で…体験し、更にご自身で覚悟を決められての手術だから今のfunasanさんがいらっしゃるのですね。生きるという事を考えるきっかけをありがとうございました。
「人は夢をなくすごとに歳をとる」
私の好きな言葉です。
夢を希望に置き換えれば、希望を捨てた先は???
兄は抗がん剤治療をやりながらも「こんなことやって治るのか?」と常に疑問を持っていました。確信なき治療!希望を未来に託せなかったのですね。そして、生きる希望を捨てて自らホスピスに入りました。