旅と健康―私のがんはなぜ消えた?

旅と健康

食後は自分のパラパに戻ってお昼寝です。チェアーに寝転がって見上げると、青い空に白い雲、そして、背の高い椰子の木が、そよ風に揺れています。ここは私にとって命をつないでくれた地上の楽園になりました。

2008年2月、はじめてコスメルに来た時のことが想い出されます。憂鬱でした。未来が見えませんでした。がんが首のリンパ節に転移し、2回目の手術の直前にここに来たのです。そして偶然、海底に沈むキリスト像・マリア像に出会いました。

その後、私はサボーアホテルに10週間泊まる会員権を購入して毎年のようにコスメルに渡りました。また、RCI海外リゾート交換を利用して、何度もカンクンやリビエラ・マヤの巨大ホテルに泊まり、カリビアンリゾートの凄さと素晴らしさを体験しました。

旅は楽しい、旅は私にとって「生きる喜び!」

このことがカリビアンリゾートの長期滞在ではっきりしました。当時の私はまだ56歳と若く、この楽しみや幸せを「がん」なんかに奪われてたまるか、という気分でした。これが私の自己流がん治療の原動力になりました。

ただ客観的に見て、私のさまざまな試みの何が、がん再発・転移を防いだのかは分かりません。がんセンターの主治医による2回目の手術で完全にがんが切除され、その後、何も対策せずとも再発しなかったのかもしれません。私のさまざまな取り組みは効果的だった、と、個人的には思いたいのですが、判定のしようがありません。

ただ、私は自分のがんをやっつけた、とは思っていません。単にCTには写らなかっただけで、私の体内にまだ沢山のがんは残っているでしょう。

がん細胞は、健康な人の身体でも毎日5,000~6,000個もできていると言われます。新たにがんができても、リンパ球はじめ免疫細胞で抑えています。がん殲滅など、理論的に無理な話です。がんと共存できればそれでいいのです。

私はがん患者になって色々学びました。

健康な人は、健康が当たり前と思って日常のささいなことに不満を持ってしまいます。しかし、がんと戦っている人、特に再発・転移した人は命の不安におびえ、健康のありがたさ、人の優しさを人一倍敏感に感じます。

「どこも痛くも痒くもなく、苦しくもない。美味しく食事を頂き、日々、健康に過ごすことができる」これ以上、何を求めるのでしょうか?

私は今まで、真剣に病気や健康について勉強してきましたが、これは私が「がんになったから」、特に、「がんが再発・転移したから」です。がんでなければここまで勉強しません。私はがんになって本当によかったと思っています。

「がんちゃん、ありがとう」です。

以上で、私の「がん闘病記」(funasanのアンチエイジング日記 第1部)は終了です。ここでしばらく連載をお休みして、来年の春頃に「第2部」を再開したいと思っています。

第2部はさまざまな健康の話題や、現在私が学習しながら実践している「オートファジー」「半日断食」「アンチエイジング」などについてを取り上げていく予定です。

今までご愛読ありがとうございました。

(前回)第18回・がん未検査8年目の異常と再検査の日々

2 comments

  1. 私をスキーに連れてって、懐かしい映画ですね!恋人はサンタクロースという歌が流れていたように思います。僕もこれを見て原田知世が好きになり、スキーに行くようになりました。
    波瀾万丈のがん闘病記、お疲れ様でした。
    次の連載の参考になるかもしれまん。著者がノーベル受賞者の「テロメアエフェクト」、シンクレア教授「ライフスパン老いなき世界」は読まれましたか?どちらも参考になり、僕は実践しています。

  2. 園部さん、さっそく「テロメア」「ライフスパン」アマゾンで注文しました。

    今年の1月頃でしたかね、園部さんから「100年ライフのサイエンス」を紹介してもらったのは。この本を読んでから、私の(忘れていた)「病気と健康」問題に火が付き、funasanのアンチエイジング日記につながっていきました。

    funasan日記第2回(下記参照)に園部さんから頂いたメールをそのまま載せました。今でも同じ考えです。日記第2部再開まで、もっと勉強して材料を仕込みます。色々ありがとうございました。

    「100年ライフのサイエンス」を紹介してくれた友人からのメールです。

    「老化は制御できて、治療できる時代は必ず来ると、科学者や未来学者が断言しています。安全性と確信ができるまで待つか、それとも、我々はもう待ったなしの状態なので、運動、食事、空腹、瞑想、若返り薬と何でも試していくか。そのどちらかであると考えます。私は後者の方を実践したいと思っています」

    私も全く同感です。座して死を待つより、未知の世界に飛び出して最先端の老人科学を学び、そして人体実験する。結果は「Nobody knows.」です。

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