箱根離宮から営業のメールが来ていました。タイトルは「会員様限定 感謝を込めた特典のご案内」。開いてみると、知らない人が5人も並んでにっこり笑う、珍妙な画像が現れました。
メルマガで紹介されていた詳細を案内するWebサイトは、もっと強烈です。ちょっとここに出すのはしのびないので、箱根離宮のトップページのスクショでご勘弁ください。
僕は、このようなおかしなホテルの案内を他で見たことがありません。総支配人だけでなく、部下までも動員して5人で顔出し。
僕の認識が間違っていなければ、ここは日本の最高級ホテルの一角です。
しかし、一般的なホテル業界の慣行とは大きく異なりますね。一般にラグジュアリーホテルの基準は、欧米の一流ホテルの伝統的アプローチを援用したものですから、スタッフは「見えない存在」であることが理想とされます。
当然のこととして、主役はあくまでゲストの体験。スタッフは脇役に徹するものであり、総支配人でさえ前面に出ることは稀。
スタッフの個人名や顔出しは最小限であり、そこには「サービスの質で判断される、人物では判断されない」という哲学がある。それが僕の理解です。
一方、この5人の顔写真が並ぶホテルからの案内は、完全に「私たちを見てください」というメッセージです。
もちろん、日本のホテル業界は世界基準とは違う部分があっていいと思います。人情やおもてなしの文脈で、「顔」を強調する傾向もあるでしょう。
そしてここは箱根なんですから、旅館的発想もあるでしょうか? でも旅館なら、女将一人が「宿の顔」として統一的に立ちます。野球チームみたいに隊列を組んで全員でにっこり、というのは、そうした箱根の文脈とも違いますね。
現れているのは、階層的な「顔」の序列化です。総支配人、副支配人、各部門長。そしてエクシブに根深い「指名制度」的な文化が垣間見えます。
今どきの言い方に変えれば、各スタッフが自分の特典を持つことで、ゲストが「推し」を選べる仕組みにも見えます。エクシブは会員制ですから、顧客との関係性が重要だというのはわかります。スタッフが個人的なファンを作ることで、リピート率を高める戦略があるのもわかりますよ。
でも、その会員制クラブ的な営業は公式サイトで堂々とやるものではないでしょう。僕は恥ずかしてくてたまりません。箱根離宮のこれは、水商売の指名システムそのものではないでしょうか。
顔を出すのは料理長だけで十分です。


サービスの質で判断される、まさにそうですね。
最近、初島クラブ行かれましたか?この数年で、スタッフ皆が笑顔で若手も一生懸命心遣いしてくれるホテルになりました。サービスの質を大切さをスタッフに示した総支配人はスタッフやオーナー、島民までにも惜しまれて、箱根離宮に異動されました。一度、お会いしてみるとサービスの質を大切にされて、スタッフを大事にされる方だとわかりますよ。
ホテルのサービス向上を目指してくれるなら、顔出しなんて、可愛いものではないですか。
himeさん、こんにちは。お返事遅くなりました。
この件はずっと考え込んでいるのですが、僕の考えは、リゾートトラストが積極的にスタッフの顔出しをして(させて)いるのは、職場として魅力的にするための施策なのかな、と思うようになりました。
ホテリエとしては異例のことだと思いますが、そうすることで現場の士気が上がったり、本人がうれしかったり、私もがんばろうと他のスタッフが好影響を受けるなど、効果があるように、今は思っています。
それが結局は利用する側のメリットにもつながるのであれば、僕の違和感などかわいいものですね。
こんにちは
職場の魅力の発信の一環という解釈は、おこがましいですが、おそらくそうだと思います。
ご参考ですが、PIVOT 公式チャンネルにスポンサー企画としてリゾートトラスト社の紹介動画が公開されています。
その意図はリクルート目的のようです。
「推しスタッフ」はハーヴェストクラブの十八番だと思っていました、リゾートトラストも同様な施策をしているのですね。
優待枠利用者さん、こんにちは。
> 「推しスタッフ」はハーヴェストクラブの十八番
これは本当にそうですね。2026年にもなって、新しいスタッフの紹介が各施設のブログ記事として行われ、顔出し、本名出し、趣味などの個人情報も交えて、ちょっとありえないことをさせる会社だなと、いつも思っています。