東急不動産は2月18日、同社のホテル事業などに関する新たな商標登録を出願しました。それらはすべて、「Harvest」ブランドを冠するものです。僕はそれを見て、ある理由から背筋が凍りついたのですが、その理由はともかく、その内容について皆さんと情報を共有しておきたいと思います。
出願された商標は5つです。順番に意図があるとは思えないので、それは無視して、ハーヴェストという名前から連想される大枠から説明していきます。
当然ながら、商標出願にはビジネスプランなどは書いてありませんから、以下の情報は主に、僕の推測に依るものに過ぎません。内容の正確性は出願段階でもあり(審査中で結論は出ていない)、一切保証がないものです。
ただし、最初に大事なことを申し上げておきますと、これらの出願はすべて、宿泊業が属する出願区分43類だけでなく、36類という「金融、保険及び不動産の取引」として取り扱われており、すべての出願で「リゾート会員権」の文字が確認できます。
東急ハーヴェストクラブに関連していることだけは明らかで、少なくとも、今後の東急ハーヴェストクラブに関するビジネスプランの「匂わせ」であることは明白です。僕の懸念が正しければ(そうでないことを祈ります)、影響はガラ権史上最大級のものとなるので、急ぎ、記事としてお届けします。
なお現在、「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」がメインテナンス中で落ちているので、公式情報へのリンクを示すことができません。これは追って追加しておきますので、オリジナルの情報を見たい方は週明けにでもまたお越しください。
(2025-03-09追記。出典へのリファレンスを追加しました)
Harvest Hotel(ハーヴェストホテル)
まずは「Harvest Hotel」というものです。
現在、Hotel Harvestという逆さまの表記が各地で使われていますが、その後継ブランドかもしれません。その意味で、東急ハーヴェストクラブのホテル群の一般向けブランドとして使われる可能性があります。
しかし、Hotelsと複数になっておらず、ブランドを指し示すものではないように見えます。ブランド全体を指すのであれば「東急ホテルズ」のように複数形になるはずです。
Harvest Retreat(ハーヴェストリトリート)
Retreatとは、大雑把に言って東急ハーヴェストクラブの戸建てタイプを指します。
ただ、軽井沢(塩沢)の「Retreat creek」は戸建てではないので、既存施設、または母艦施設に寄生する後付けの建物で、アネックスを名乗るほど立派ではない、くらいの意味と僕はとらえています。
現在は草津でVIALA Retreatが建設中です。つまり施設としては「那須Retreat」「VIALA軽井沢 Retreat creek」「VIALA軽井沢 Retreat garden」「VIALA草津Retreat」を指すと考えられます。
Harvest City(ハーヴェストシティ)
これが難問です。頭をひねります。
現在の東急ハーヴェストクラブに「シティ」と呼べるものは、無理くり考えて、一般ホテル内に設定した「RESERVE飛騨高山」「RESERVE京都東山」くらいしかなく、これらにしてもれっきとした大観光地であり、むしろリゾートホテルとしてとらえた方が自然です。
そうなると、次のように考えざるを得ません。RESERVE飛騨高山の本体がそうである、「東急ステイ」のリブランドです。
東急不動産の完全子会社である東急リゾーツ&ステイは、いまホームページで確認したところでは、東急ステイが31施設、東急ハーヴェストクラブが30施設34クラブあります。
もし、この商標出願が東急リゾーツ&ステイ全体に及ぶものであれば、自然に理解できます。
Harvest Town(ハーヴェストタウン)
さて、話がだんだんときな臭くなってきました。次は「Harvest Town」です。
東急リゾーツ&ステイの会社概要には、当然のことながら、かつて東急リゾートサービスが担当していた別荘地の管理についても記載があります。むしろ、その別荘地管理から東急ハーヴェストクラブが生まれた、というのが史実です。
東急の別荘地は、皆さんだと蓼科がイメージしやすいと思いますが、「東急リゾートタウン蓼科」などと「タウン」の呼び名で親しまれてきました。
これはどうやら別荘地のリブランドで間違いなさそうです。
Harvest Villa(ハーヴェストヴィラ)
そして最後は「Harvest Villa」です。
最初に東急不動産の出願を一瞥した際には、VillaとRetreatの扱いにハテナマークが出てしまったのですが、タウンとの関連性で言えば、このHarvest Villaとはホテルではなくて、一棟分譲の別荘を指すのでしょうね。
もしかすると、かつて紀州鉄道などがリゾマンの部屋を「ビラ」と呼んでいたことがありましたから、一室分譲のリゾマンもVillaなのかもしれません。もしもリゾマンの民泊転用などを考えているのであれば、ですが(誰もそんな酔狂なことは考えていないと思います)。
TOKYUの文字なし
僕のサイトを、ガラ権連載やFANBOXも併せて熱心にお読みいただいている読者の方々には、もう背筋が凍って、ガタガタと震えている人もいると思います。
僕も記事をまとめていて、震えが止まりません。
現在の東急ハーヴェストクラブのロゴは以下です。
今回の商標出願に東急またはTOKYUの冠はどれにも付いていません。
そして今回の商標出願をこのようにレビューしてわかることは、それは東急リゾーツ&ステイの事業全域をほぼカバーしているということです。
これらに入らないのは、ゴルフ事業(17施設)とスキー事業(7施設)ですが、これらはいずれも東急としては既にオワコンであって、東急不動産はどんどん売却しています。
藤田観光のウィスタリアンライフクラブは「藤田グリーンサービス」という子会社が運営していましたが、知らないうちにファンドに売り払われ、藤田ブランドが外れた「グリーン・サービス」になっていました(2023年)。
セラヴィリゾート泉郷は、知らないうちにファンドに売り払われ、さらに3月からは別のファンドに売られ、マイステイズの傘下になりました(2020年と2025年)。
そして記憶に新しいダイワロイヤルメンバーズクラブの解散。すべてのホテルはアコーのメルキュールになりました(2024年)。
東急はいったい、このリブランドを通して何をしたいのでしょうか。
冒頭の写真は鬼怒川渓翠ですけれども、いま見ると、ハーヴェストクラブの看板はすぐにでも取り外せそうな体裁で取り付けられています。
まさか、と思いたいです。
「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」のメインテナンスが終了したので、すべての商標情報に同サービスへのリファレンスを追加しました。
東急不動産に詳しい方(意味深)にお会いしてきました。
詳しい話はここ(オープンの場)では避けますが、「インバウンド取り込みを主眼とした、観光産業への更なる注力が目的」と説明を受けました。
会社として、この戦略に結構自信を持っている様です。頑張れTQ!
え~、本当ですか?
その可能性は僕も十分に理解していたつもりですが(インバウンドへの注力のためのブランディング)、ハーヴェストって、ガラ権のブランドですよ。
そんな道徳的に許されないことをするはずがないと思いましてね。
東急ハーヴェストクラブって、リゾートクラブなんですから、ハーヴェストの名前は東急だけのものだけではないんですよ。
東急ハーヴェストクラブは現在でも一般のお客様も宿泊出来るようになっています。一般向けには今でも東急の冠は付いておらず、「ホテルハーヴェスト」となっています
そしてホームページも東急ハーヴェストとは別に存在します
東急ハーヴェストクラブはそのままで、ハーヴェストホテルとは一般向けの商標登録なのではないですか?
https://www.resorthotels109.com/
渋谷新宿に全振りの東急不動産にとって東急リゾートは「要らない子」でしょうから、外資と合弁で東急から切り離される可能性が残ります。モヤモヤが残ります。
ちょっと衝撃的なレポートですね。東急不動産は完全子会社である「東急リゾーツ&ステイ」を切り離す?つまり、捨てる?以下、私なりの勝手な推測です。
「東急ステイ」の31施設は東京都心や全国の主要都市に多数のホテルを有していますので、インバウンド需要が激増している現在、まさに“宝の山”です。東急という名前を外しても大丈夫でしょう。高額室料を設定して大儲けするか、それとも、ファンドに高く売るか?
一般のホテル運営をしている「ホテルハーヴェスト」も魅力的です。各リゾート地に堂々とした施設を有し、インバウンド客に広くアッピールできます。
問題は会員制リゾートクラブの「東急ハーヴェストクラブ」ですね。会員は「東急」という圧倒的なネームバリューと安心感で高額な会員権を買っているので、それを外された会員の心中は穏やかではないでしょう。この情報が世に広まったら、エクソダスが始まるのでは?
ところが、縁故で回してきた中古会員権、しかも超高額な会員権は誰が買うのでしょうか?買い手がいない。つまり、売れない、エクソダスできない。という事態が予想されます。リゾート会員権の断末魔を暗示するストーリーです。resortboyさん、継続取材お願いします。
皆さん、こんにちは。
既に後続の記事でもコメントをいただいていますが、本件、続きを書いています。
東急不動産のHarvestブランディングについて外野から邪推してみた | 東急ハーヴェストクラブの話題 – resortboy's blog – リゾートホテルとホテル会員制度の研究
こちらでいただいたご意見を参考に、ガラリと違った角度の考察となりました(ガラ権だからねww)。
答え合わせをするのが楽しみです。