東急ハーヴェストクラブ草津&VIALA

東急不動産は群馬県の草津温泉で、2027年3月(予定)に「東急ハーヴェストクラブ草津&VIALA」を開業します。一般販売前の「特別縁故会員募集」として2024年11月上旬より販売が開始される見通しです。

この件に関しては、すでに昨年に以下の記事でいろいろと計画の全体像について触れていますが、当初予定から1年ほど遅れての発売となりました。

東急式錬金術の系譜 – 5(現状と今後の懸念)

以下、概要を記します。

・塩軽(2018年7月20日開業)以来、9年ぶりにVIALAハーヴェスト混合施設として建設
・塩軽と違い、木造戸建の「VIALA Retreat」も同時発売(イケイケ状態)
・本館・湯屋棟・Retreatの3エリアを、東京ドーム約1個分の広大な敷地に展開
・VIALAでは客室内で草津の名湯を楽しめる
・レストランはブッフェ、鍋(すきやきとしゃぶしゃぶ)、創作の3カ所

計画の概要については、上毛新聞の昨年の報道もご参照ください。

群馬・草津町に会員制リゾートホテル 富裕層向けに100室超 東急不動産がハーヴェストクラブ25年度開業へ

特別縁故会員の募集価格は以下の通りです。VIALA比率が高いことに注目してください。

・東急ハーヴェストクラブ草津 895.6万円(限定100口)
・東急ハーヴェストクラブVIALA annex草津 1,887万円(限定80口)
・東急ハーヴェストクラブVIALA草津Retreat green 2,316.5万円(限定15口)

すでにこのサイトで明らかにしたように、東急不動産は「縁故ころがし」システムを会員権によるホテル分譲の主軸に据えています。今回も、潤沢な需要が将来的にも見込める軽井沢地域のホテル資産を、「仮想的に二度売りするための施策」に見えます。

同社は、旧軽、旧軽アネ、塩軽、塩軽VIALA、塩軽Retreat creek、同gardenと、この20年に渡って会員制ホテルを軽井沢エリアで数多く分譲してきました。その開業と室数、口数は以下のとおりです。合計で、401室、4,572口あります。

旧軽井沢 2001年7月開業 156室 1,752口
旧軽井沢アネックス 2007年7月開業 26室 312口
軽井沢 2018年7月開業 127室 1,428口
VIALA annex 軽井沢 2018年7月開業 49室 564口
VIALA 軽井沢 Retreat creek 2023年10月開業 29室 348口
VIALA 軽井沢 Retreat garden 2023年10月開業 14室 168口

今回、2期に分けると計画されていた草津プロジェクトを戸建ても含めて一気に投入してきた背景には、まず、これら400室の「ころがし先」を大量に確保したかったという狙いがあるでしょう。軽井沢の会員権価格が東急リゾートを通じて市場に委ねられ、高値となれば、それは重要な会員サービスとなるでしょう。

老人の金余りと潤沢な施設供給がある今、リゾート会員権は旅に行く目的だけで買うものではありませんから、気分が第一、安心第一。

草津は会員制ホテルの場所としてはうまくいくはずがない遠すぎる立地ですが(軽井沢からさらに50キロも山道を走行してやっとたどり着く)、一般ホテルとしては厚い需要が世界中からある、超一流の観光地です。鬼怒川渓翠がミシュランキーを獲得したように、あのハーヴェストクラブも別荘管理人気質から堂々たるホスピタリティを提供できるように変化してきています。

会員権は縁故ころがしで売り、軽井沢の在庫を作って市場での高値を演出。会員制としてのホテル稼働率は高まらないので、その前提で施設をデザイン(レストランはセルフサービス=ブッフェと鍋)。一般客はそれなりに来る。従業員はオノデラに委託。

いやいや、けっこう八方丸く収まるじゃん。そんな気がします。今期、普通のホテル計画を発表できずに「北海道」とか「ペイバック」などと言い出し、横綱相撲も終わったかに見えるリゾートトラストの向こうを張って、さすが東の正大関、頭脳の東急、よくできた販売戦略と思いました。

ベルツ先生はこの複雑なビジネスモデルを見たら、なんと言うでしょうね。

東急商法の現在地、ホテルコンドと最後のガラ権

4 comments

  1. > 従業員はオノデラに委託
    株式会社ONODERA GROUPという会社の事でしょうか?
    全く知りませんでしたが、昔からそうだったんだよという事ですよね。

    商売においてコアの業務以外をアウトソーシングするのは普通ですが、
    「ホスピタリティ」をアウトソースするという事は、
    東急リゾーツ&ステイ株式会社はリゾートに係わる不動産開発・販売会社という事ですね。
    ・・・であれば、「縁故ころがし」という見立ても納得がいきます。

    「リゾートトラスト株式会社」がとっても立派な会社に思えてきました。

  2. ONODERAが供給している外国人スタッフはリゾートトラストの方が東急よりも多くて、現在フィリピン人130名(2023~2024)ミャンマー人140名(2024)が勤務中です。東急は今年から52人の採用ですからリゾトラ社に出遅れている状態です。
    https://www.onodera-group.jp/cat_news/group__onodera-user-run/

  3. resortboyさん

    RT会員権の買い替えや買い増しは、グレードアップが主たる動機ですが、東急ハーヴェストの場合はホームを変えたり増やしたり。他にVIALAへのグレードアップでの買い替え買い増しもありますが、近年は価格維持以上の高値買い取りで「縁故ころがし」しやすい状況になってますね。問題はこの価格維持が、果たしていつまで続けられるかでしょうけど。

    カミーさん
    ノラさん

    少子化&人口減にホテル勤務の人気薄で求人難となれば、それこそ一定のサービスレベルを維持するにはアウトソーシングもやむを得ないんでしょうね。ただ現時点では外国人スタッフさん方も一生懸命に働く姿が好印象で、不慣れな点は時間が解決するでしょうから、両社とも今後も良好なスタッフ教育や就業環境と人間関係を保てれば問題ないと思ってます。

    ちなみに東急ハーヴェスト全34施設の総客室数は3千弱ですから、その倍以上の6千室を超えるRTリゾート施設と、人数だけで外国人スタッフの導入状況は論じられないと思います。施設数は似たようなものでも、各施設の平均客室数は倍以上、客室面積も段違いでレストランや関連施設数も違いますから、就業人数にも差が出るのは当然のことかと思います。

  4. 東急リゾーツ&ステイ社のホテル客室数は、HVC2890室(除くReserve)の他に東急ステイ室数5192室(+広島開業予定182室)、nol京都と明神台、ROKU KYOTOなど若干が加わります。ONODERAのと提携してホテルスタッフの来日前教育に参加するなどリゾトラ社は特定人材活用に一歩踏み込んでいる印象です。リゾトラ提携のプログラムで来日前教育された人材が東急他のホテルに就職している構図です。8月滞在時に箱根離宮ラウンジでコーヒーを運んでくれたお嬢さんは今年採用の方だと思いますが日本語もマナーもまだまだだと感じました。東急も塩軽でアルコールを担当していたお嬢さんは液体こぼしたりワイン注ぐ量がまちまちでやっぱりイマイチでした。

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