エクシブやベイコート倶楽部の契約における海外施設交換利用権の検証 – 1

今回から何回かに分けて、エクシブやベイコート倶楽部の契約がどのような要素から成り立っていたのかを見ていきます。事例は、2000ゼロ年代後半に僕が契約時などに実際に交付されたものを素材とします。離宮シリーズやベイコート倶楽部が販売されたときの実際の資料ですので、幅広い現会員の方々の参考になると考えています。

特に、この4月からこれら会員権から失われた権利である「海外施設交換利用権」に関して、いったいどのような契約が結ばれていたのかを改めて学んでいきたいと思います。素材とするのは、エクシブ箱根離宮(2010年開業)と東京ベイコート倶楽部(2008年開業)の「募集要項」です。

募集要項とは、契約前に契約内容を契約書よりもわかりやすい形で事業者(リゾートトラスト)が消費者に提示したもので、商品の内容を最も正確に説明した書類と言えます。

要項を開くと、最初のページには以下のように書かれています。まず、エクシブ箱根離宮からです。

ご購入施設の相互利用や他施設との交換利用を目的に下記の契約を同時に締結していただきます。
①不動産売買契約………所有権
②施設相互利用契約……利用権
・管理規約(施設維持管理)
・利用規程(施設相互利用)
③RCI加入申込書
④ワンダーネット加入申込書

このように、開業当初のエクシブ箱根離宮の契約は4種類の契約の複合体でした。会員権の権利の源泉であると一般に考えられている区分所有権に関する①、それによって得られたホテルの利用権に関する②、海外施設交換利用に関する③、ホテル予約システム利用に関する④です。

エクシブの契約はこのように4種類の契約が並行的に結ばれて、全体が成り立っている。これが募集要項の最初に書かれていることです。

この募集要項の1ページ目には、年会費(運営管理費)の内訳に関する記載もあります。そこには「RCI年会費」「ワンダーネット年会費」とはっきりと書かれており、上記の③、④は、エクシブ入会と同時締結であるものの、契約や費用は並行的(別々)であることが、契約に先立って明示されていました。

一方、東京ベイコート倶楽部の募集要項は以下のようにはじまります。

ご購入施設の相互利用や他施設との交換利用を目的に下記の契約を同時に締結していただきます。
①不動産売買契約………所有権
②施設相互利用契約……利用権
・会則
・管理規約(施設維持管理)
・利用規程(施設相互利用)
③RCI加入申込書

エクシブとは少し異なります。まず、④にあったワンダーネット契約がありません。ワンダーネット加入による交換手数料免除の特典についても募集要項には書かれていません。つまり、東京ベイコート倶楽部会員はワンダーネット加入は任意であるようです。

もう1つの違いとして、利用権に分類される契約書の最初に「会則」があります。これはメンバーシップを重んずる東京ベイコート倶楽部の性質を表したものでしょう。エクシブの会員は不動産を所有する「オーナー」であり、一方のベイコート倶楽部では所有権よりも利用権が前面に出た「メンバー」という言葉が会員を表現しています。

会費についての記載はエクシブ箱根離宮と同様ですが、RCI年会費の記載がある一方で、上記の理由よりワンダーネット会費については書かれていません。

以下では、これまでと同じことを、別の角度から見てみましょう。

募集要項2ページ目の「お申し込みから所有権移転登記手続きまで」と題された流れ図の中の「契約」セクションには以下のようにあります。まずはエクシブ箱根離宮から。

●契約書等は内容をご確認の上、ご署名ご捺印ください。
①重要事項説明書
②不動産売買契約書
③施設相互利用契約書
④管理規約
⑤利用規定
⑥RCI加入申込書
⑦ワンダーネット加入申込書

最初のページと言っていることは同じです。RCIとワンダーネットに関しては「加入申込書」となっていますが、申込書だけではなく、裏面に契約条項が書かれていますので、これは契約書に当たります。

ワンダーネット入会申込書の裏面には「ワンダーネットサービス会員規約」「ワンダーネットサービス料金規定」があり、RCI加入申込書の裏面には「アール・シー・アイ加入規約」が印字されています。RCIの年会費はRCI加入申込書の表面に明示されています。

次に、東京ベイコート倶楽部の募集要項にある契約セクションを見てみます。

●契約書等は内容をご確認の上、ご署名ご捺印ください。
①重要事項説明書
②不動産売買契約書
③施設相互利用契約書
・会則
・管理規約
・利用規定
④RCI加入申込書

上述のように契約事項にワンダーネットがなく、会則が付け加わっていますが、所有権の①②、利用権の③、海外施設交換利用権の④と、権利の種別ごとに整理された印象があります。東京ベイコート倶楽部はこの時点での新設会員権ですから、エクシブでの経験を踏まえてこのように整理したのでしょう。

その整理された段階においても、RCIに関する契約は別立てであることは注目に値します。

今回のまとめです。これまで見てきたように、RCIによる海外施設交換利用権は、本契約とは独立した形で存在し、費用も区分されていることが、契約に先立って繰り返し説明されていました。RCIの年会費はRCI加入申込書の表面に明示されていました。

なお、ここではわかりやすく「海外施設交換利用権」と書きましたが、RCIの契約書(アール・シー・アイ加入規約)には「交換システムプログラムの利用権」と表現されていることを付け加えておきます。

次回は、さらに募集要項を読み進めて、同社が海外施設交換利用権をどのように募集時に説明し、契約を結んでいたのかを検証します。

冒頭の写真は東京ベイコート倶楽部の向かい、「水の広場公園」で、今年(2022年)お花見をしたときの撮影です。

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