ガラ権ホテルが長く使われるということ

写真はエクシブ伊豆で現在も行われている大規模修繕事業の大詰め、本館屋根改修の様子です。眼下に広がる海をバックに、実にカッコいいですね! まるで建築当時の映像を見ているみたいです。

エクシブ伊豆は1988年3月の開業で、竣工してから37年が過ぎ、38年目に入りました。

40年近くも前、同じように、ここで職人さんが作業をしていたと思います。当時はバブル全盛期で、「ジャパン・アズ・ナンバーワン 1」と呼ばれた時代です。

その当時に作られた日本的リゾート会員権(ガラ権)が、その後、大きく発展し(結局、リゾートトラストと東急不動産だけだったとしても)、現在もこのように建物がメインテナンスされ、顧客をもてなしている。

この光景と、その時間の長さに思いをはせ、僕は感動してしまいました。

オールドエクシブはこれから、順番に「築40年の壁」を越えていきます。税務上、鉄筋鉄骨コンクリート造の旅館・ホテルの法定耐用年数は39年ですから 2、主たる価値の源泉が不動産の小口分譲であるガラ権の価値は、40年を境にゼロになる、と見ることは、理屈の上では可能でしょう。

ありがたいことにエクシブの場合、その後の発展がめざましく、潤沢な資金力でホテルはメインテナンスされ続けてきました。上記の写真が雄弁に語るように、それは今も継続中です。

あとどれくらいこのホテルがガラ権として運営できるかは、期待と想像の域を出ませんが、少なくとも今日明日どうこう、という話ではありませんね。

中伊豆ワイナリーヒルズ

さて、そのエクシブ伊豆で、たまたまワインをいただきました。

このワインは「伊豆シンフォニーレッド」という、ホテル近くのワイナリーで醸造されているものです。

伊豆シンフォニーレッド 2023 – 【公式】中伊豆ワイナリーヒルズ / オンラインショップ

そのワイナリーは「中伊豆ワイナリー」と言い、シダックス創業者として知られる経営者、志太勤氏 3 が生まれ故郷に築いたものです。

中伊豆ワイナリー シャトーT.S – 【公式】中伊豆ワイナリーヒルズ / オンラインショップ

この中伊豆ワイナリーは大規模な複合レジャー施設となっており、「中伊豆ワイナリーシャトーT.S」(TSとは志太氏のイニシャル)を中核とするワイナリーエリアに加えて、広大なグラウンドを備えたホテルエリアがあります。

ホテルワイナリーヒル

こちらはGoogleマップから引用した、現在のホテルエリアの様子です。ホテルの名前は「ホテルワイナリーヒル」。

ホテルワイナリーヒル – 【公式】中伊豆ワイナリーヒルズ / オンラインショップ

この源泉掛け流しの立派なホテルは、今年、築50年を迎えます。このホテルは大京観光が1970年代に開発した会員制リゾートクラブ「ニューライフクラブ」の中核施設でした。

ニューライフクラブは結局、予定したように事業を実行できず、計画を大幅に変更して1975年開業のこの中伊豆だけで終わります。その後、大京はにっかつにこの施設を売却。会員権を買った会員がどのように扱われたのかは、追っていません。

そして時は流れ、2000年にこの複合リゾートが開業した後を追って、2001年にホテルワイナリーヒルとして再開業することになったのでした。

築50年を迎えるガラ権ホテルがこのように健在であることは珍しいケースです。いま僕が注力している連載でこのホテルを取り上げる予定はないのですが、リゾートトラストの歴史を知る上で、大京と同社の関係は深いものがありますので、その調査の中でこのホテルのことを知るに至りました。

無類の野球好きで知られる志太氏によって陸上競技場はサッカー場と野球場に改修されていますが、50年前の募集広告と現在のGoogleの空撮は、その時が半世紀の隔たりがあるとは思えないほどに、オリジナルの姿を今に残しています。

一度、訪ねてみたいものです。

ホテル伊東パウエル

こちらはおまけです。エクシブ伊豆と同じ伊東市で、やはり築50年を迎えようというオールドガラ権ホテルが、いままさにエントランス部分の改修を行っており、足場が組まれていました。刑事(デカ)が張り込み場所の電柱の影から撮ったものなので、電柱が写っていますが(汗)。

ホテル伊東パウエルが第一弾施設であった東京レジャーライフクラブについては、重要なクラブであり、すでに取り上げた箱根の回 4 以降も、連載の単独記事としていくつかを取り上げる予定がありますので、今日のところは以下の「禁煙化」告知の案内にリンクして終わりとします。この奇跡的な立地を誇るホテル全体についてはそこからリンクをたどってください。

2025年2月1日より禁煙化のお知らせ新着情報 | ホテル伊東パウエル[公式サイト]

ともあれ、ホテルは新築するのではなく、過去の豊かな時代に築いたものを丁寧に直しながら使うのが日本の大型ホテルのひとつの主流となってきました。今年にも浜松マリオットホテルに生まれ変わる現「グランドホテル浜松 5」なんて、1968年開業ですからね。

2 comments

  1. 昨年夏に改装前のグランドホテル浜松に宿泊しました。怖いもの見たさです。荒れているという評判通りでチェックインの時に告げられたのは館内電話が壊れていて通じないと。広い客室ですが電気のスイッチが壊れていたり空調もうまく作動しなかったり。大きなホテルで2階にはブティックや事務所が並ぶ商店街もあったのがほとんどが閉鎖されており、最上階の展望ラウンジもエレベーターで登ってみると真っ暗、なかなかシュールな光景でした。
    ホテル内側は大きな吹き抜け空間でカプセル型の展望エレベーターは以前と同様運転されています。吹き抜けの奥にある大宴会場(収容1600人)ではちょうど浜松工業高校の同窓会が終わったところで会場から吐き出された1200人の人の流れを9階から見るのは壮観でした。マリオットの資本を得て年末には浜松の迎賓館と呼ばれたかつての姿を取り戻すでしょう。38億円を費やすという改装が終わったらもう一度泊まってみたいと思います。

  2. ノラさん、グランドホテル浜松の話題、ありがとうございました。実は僕も同じような感じで昨年利用しています。さすがにすすけていますが、僕はけっこう好印象で、なにしろ朝食がとてもよかったです。この価格帯でこのちゃんとしたレストランは非常に貴重だと思いました。

    応援記事を書こうかな? まだクローズしないようですし。

    グランドホテル浜松【公式】|GRAND HOTEL HAMAMATSU|浜松市の宿泊ホテル

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