リゾート会員権が必要な理由(ホテル利用学 – 3)

僕、resortboyが提唱している「ホテル利用学」に関する講演録の3回目をお送りします。前回の記事は元日に出して、今年はガンガンこの話題で!と思っていましたが、お正月休みで遊んでいるうちにうやむやになってしまって申し訳ありません(汗)。今回はいよいよ、リゾート会員権というものについて切り込んでいきます。

ここまでの記事はこちらです。できましたらば、こちらから順にお読みください。

(第1回)ホテル利用学への招待 – 1
(第2回)ホテル利用学への招待 – 2

resortboy(以下R):リゾート会員権についてお話をします。オフ会をやるのはこれで4回目になりまして、過去3回においては、エクシブを中心としたリゾートラストの話をかなりしました。今日はその話は省かせていただくんですが、その話を聞いていらっしゃらない方もいらっしゃるので、重複しますが、エクシブについての話からはじめたいと思います。

僕は2000年代の前半に、まずサンメンバーズを買いました。すぐに追ってエクシブを買いまして、その後もまぁ色々と買いました。どうして買ったのかと振り返って考えてみると、2000年代の初頭において「リゾート会員権というのは最先端のホテル活用法だった」からだなと、今にして思います。

どういうことかと言うと、「ネット上での情報と体験の共有」というのが、15年前にすでに実現していたんです。

15年前というと2004年になりますが(注:収録は2019年10月)、その頃からエクシブやサンメンを使っているよ、当時のことを知っているよ、という方はいらっしゃいますか?(挙手数名)

当時からネット上にはリゾートクラブに関する掲示板があって、非常に活発な情報の交換がありました。また、今も一線でご活躍されている会員権仲介業者の方の掲示板も、当時は活気がありました。こうした場所にはいつしか多くの旅行記(フォトレポート)が掲載されるようになって、それが掲示板によるコミュニティと合体して、今から考えるととても先進的なことが15年前に既に起きていました。

例えば「エクシブ蓼科の1215号室が最高だ」とかですね、そういっためちゃめちゃ細かい情報がネット上で共有されていて、今は当たり前になっているお部屋や食事の写真を掲載して情報共有するっていうことが、スマホもまだない15年前に実現していたんですね。

これは後でも話しますけれど、口コミ情報のプラットフォーマー(具体的にはTripAdvisorなど)が出てきてやっと実現したようなことが、一部ではあるけれども15年前に実現していたっていう、驚くべき世界だったんです。

そのリゾート会員権っていうものの仕組みについて、今日は細かく話をする時間がないのですが、基本的には、今後はなかなか難しいものだな、というふうに思っています。

リゾートトラスト社は、今年(2019年)の3月の決算で最高益を記録したんですね。ですから「絶好調じゃないか」というふうに、一般には言われています。どうして絶好調なのかと言うと、この10年くらいで非常に高級化したんですね。ですがその高級化のために、ここに書いたように「クローズ化」してしまったんです。

例えば、ベイコート倶楽部って「会員制」じゃなくて「完全会員制」とうたっています。高級化の過程で、利用者をより囲い込むようになってしまった。その結果、ホテル産業全体の成長システムから取り残されてしまったのではないかと、僕は見ています。今日はこれから、その取り残された様子についての全体的な構造を知っていただこうと、お話をしていきます。

日本(のホテル)の話を中心に、若干海外の話もしますけれども、まずは主要なプレーヤーが、どういう規模感なのかっていうのをここで見ていきたいと思います。

まず、会員制リゾートホテルの業界トップ、リゾートトラストです。

エクシブとベイコートとサンメンバーズを全部足すと、同社の資料によれば、全部で41ホテルあるようです(開発中の横浜ベイコート倶楽部までをカウント。ベイコート4+エクシブ26+サンメンバーズ11)。しかし、例えば軽井沢は4ホテルとカウントされています。これは「グランドエクシブ軽井沢」という意味では1つのホテルですが、会員権の分譲が、本館、サンクチュアリ・ヴィラ、パセオ、ムセオと4ホテルに渡って順次開発販売しているので、カウントが4となっています。

ですから、この41ホテルというのはやや言い過ぎな部分があるのですけれど、だいたい30数カ所のホテルがあるという、そういう規模感だと理解して先に進みたいと思います。

次に業界2位の東急ハーヴェストクラブ。ホテルの数で言うと結構頑張っているのがわかります。

こちらは僕が数えたので、数え間違いがあったらごめんなさい。VIALAの併設についてはダブルカウントしていません(VIALAは東急ハーヴェストクラブのサブブランドで高級仕様のホテルを指す)。それで27拠点あるので、結構あるんだなっていう感じですよね。ただ、エリアで言うと東北の方とか四国・九州にはホテルがありませんね。

次に、会員数や室数のデータをまとめてみました。リゾートトラストのエクシブとベイコートの会員を足すと、9.6万人います。室数は約4,300室。ハーヴェストクラブは2.6万人で、口数で言うと27,000口ぐらい売っている。

(データ出所については原典へのリンクを後日掲載します)

リゾートラストは1室あたりの会員数をかなり細かくして会員権を売っているので、室数の割に会員は多いですね。ハーヴェストクラブについては、もっと規模が小さいのかと感じていましたが、意外とあるんだなと今回思いました。

それで、これがどういう規模なのかっていうのを、いわゆるナショナルブランド的なチェーンと比較して見てみたいと思います。比較するのは、プリンスホテルズ、オークラニッコー、東急ホテルズです。

これらにはリゾートホテルだけでなくてシティホテルやビジネスホテルも混ざっているので、規模を直接はなかなか比べられません。例えば、リゾートトラストのホテルをビジネスホテルのお部屋と比べたら、平均したら3倍とか4倍とかお部屋の面積があるんじゃないかと思います。そこで例えば、リゾートトラストの4,000室という規模に単純に3を掛けると1.2万になりますから、規模的にはこうした有名ブランドに匹敵することがわかります。

リゾートトラストの会員制ホテルや東急ハーヴェストクラブというのは、こういう著名ホテルチェーンと比較しても一大勢力であって、世の中で並んで評価されなきゃいけないものなのかなと思います。会員制リゾートホテルは世の中では非常にマイナーなものだけれど、もっと正当に評価されることが必要だと思っているんです。

「なんでオワコンだと言ってる割にリゾート会員権の話をするんだよ」って思われると思うんですが、いわゆるホテルチェーンの追随を許さない部分っていうのが確実に存在するということなんですよね。

百平米ぐらいある広いお部屋が普通に使えますし、また5人まで同じ空間に宿泊できるというのも大きい。普通のホテルですと、スイートルームでも2人設定で、エキストラベッドを入れて3人、添い寝を入れてやっと5人とか、そういう感じですから、1部屋大人5人、っていう家族向けのフォーマットがないんです。

ですから、ホテルを使って、広い部屋に家族5人でいっしょに泊まりたい、という体験を安定的にしたければ、リゾート会員権を使わざるを得ないのではないかと思っています。

それから、このスライドには「費用と快適さのバランス」って書きました。皆さんはそのあたり、ご納得いただけるところなのかなと思うんですが、エクシブやハーヴェストというのは、非常に快適で費用もそれに見合ったものだ、というふうに評価されているのではないでしょうか。中でも一番ポイントとなっているのが「年間均一料金」という制度で、ハイシーズンでも結構安く泊まれると。

それから、会員権の本質としてあるのが、気に入った同じところに何度も行くというコンセプトです。この「繰り返し利用」というのは、リゾートという言葉自体の意味でもありますので、こういったところで高級ホテルチェーンとは一線を画しているというのは事実だと思います。

ですがいろいろ問題もあってですね…

(続き)リゾート会員権には問題が内在している(ホテル利用学 – 4)– resortboy’s blog – リゾートホテルとホテル会員制度の研究

4 comments

  1. ひゃー、続きをはやく読みたいです。
    凄い有益な講義を受けてる気分。
    ありがたいことです。

  2. ありがとうございます。そうやって応援いただけるのが一番うれしいです(^^)

  3. リラックマ大好きさんと同感です。
    東京オフ会に参加できなかったのが悔やまれます。

    先日、クアラルンプールから帰国しました。
    新型コロナ爆弾に遭遇せず、今のところ大丈夫そうです。
    しかし、今回のウイルスの性格と中国の情報隠しに、パンデミックは避けられない気がします。
    よって、2月3月のKL行は全部中止しました。
    しばらく、自宅謹慎?です。

    さて、近日中に「ホテル利用学3」に合わせて私のリゾート体験を記したいと思います。
    「2000年代初頭においてリゾート会員権は最先端だった。その他」のresortboyさんのご指摘はビックリマークです。
    東京オフ会(ホテル利用学3)に遠隔参加させて頂きます。

  4. 東京オフ会(ホテル利用学3)に遠隔参加させて頂きます。

    「2000年代初頭においてリゾート会員権は最先端だった」というresortboyさんのご指摘は私にとって新鮮な驚きです。同時に、「あ~、そうだったのか…、だから夢中になったのか…」という、何となく嬉しいような、納得した感じです。

    以下、少々詳しいですが、私の2000年代のリゾートクラブとの関りを年代順に記します。カッコ内はその時の私の年齢です。

    2003年4月(51歳):「蓼科東急リゾート」に泊まって会員制リゾートクラブに目覚める。
    →「東急ハーヴェストクラブ」研究
    2003年7月(51歳):「泉郷プラザホテル(現セラヴィリゾート泉郷:ホテルアンビエント蓼科)」に泊まって、ここにも会員制リゾートクラブがあることを知る。
    →「泉郷ベストクラブ」研究
    2003年秋~冬(51歳):インターネット上で会員制リゾートクラブの中古市場があることを知る。
    2004年2月(52歳):泉郷ベストクラブの会員権を中古市場より購入。
    2004年7月(52歳):泉郷ベストクラブのRCI国内交換を利用してエクシブ軽井沢宿泊、カルチャーショックを受ける。「日本にもこんなに凄いリゾートクラブがあったのか~」その後、エクシブ蓼科、エクシブ鳥羽、等、RCI利用でエクシブ巡りを開始。
    →「エクシブ・サンメンバーズ」研究
    2004年12月(52歳):サンメンバーズ・ワールドホリデー(シルバー)を中古市場より購入。
    2004年12月(52歳):ダイヤモンドオーナーズ(八ヶ岳美術館ソサエティ)購入。
    2005年3月(53歳):早期退職。3月31日退職辞令をもらって、そのまま1人でエクシブ鳥羽に向かう。私の第二の人生スタート!
    →平日のエクシブ1人旅開始
    2006年4月(54歳):エクシブ鳥羽アネックス(スタンダードBタイプ:ノーマル)の会員権を中古市場より購入。
    2006年6月(54歳):私の最初の著書『熟年世代に送る 安くて豪華に旅する方法―リゾートクラブは宝の山―』出版。
    2006年9月(54歳):私のホームページ開設
    http://www.e-funahashi.jp/
    2006年(54歳):フォートラベルにfunasan名で旅行記を載せ始める。

    私が2000年代半ばに会員制リゾートクラブに急速にのめり込んだのは、会員制リゾートクラブそのものが素晴らしかったことに加えて、インターネットの急速な普及がありました。高額な会員権がお安く買える中古市場をはじめ、resortboyさんご指摘の「ネット上にはリゾートクラブに関する掲示板があって、非常に活発な情報の交換がありました。また、今も一線でご活躍されている会員権仲介業者の方の掲示板も、当時は活気がありました」私はこの流れに乗っていたのですね。

    2005年に早期退職した私は「籠の鳥」が飛び立つように、エクシブ、セラヴィ、ダイヤモンドの各リゾートホテルを泊まり歩き、旅行記を書き始めました。今となっては一番楽しかった時期ですし、同時に「オールドエクシブ黄金時代」だったのでしょう。
    以上「東京オフ会(ホテル利用学3)」遠隔レポートです。

    funasanこと舟橋栄二より

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