土曜日の勉強会のための資料を作っているところです。そろそろお尻に火が着いてきたので、ブログで先出ししながら作業を進めたいと思います。今日の話題は「リゾート会員権って、いったい何を買っているのか」という、かなり根源的なものです。
このブログを好んで読んでいるような方で知らない人はいないと思うのですが、エクシブやベイコート倶楽部を例に取ると、リゾート会員権というものは大きく分けて、「登録料(入会金)」と「不動産代金」で成り立っています。その他に「保証金」も支払うことがあり、リゾートトラストの場合はこれが30年間で償却されます。
これを図示したものが以下です。リゾートトラストの決算説明会資料によれば、同社の会員権代金の内訳は、登録料が4割、不動産が5割、保証金が1割であると示されています。
(画像出典:リゾートトラスト決算発表資料)
最新の会員権である横浜ベイコート倶楽部で検証してみましょう。
このホテルには3つのグレードがありますが、グレード別にそのグレードのお部屋全体を、持分に応じて共有(登記)することになっています。具体的には、ロイヤルスイート(54室)は全部で5727.89平米を24泊タイプは810口で、12泊タイプは1620口で分割して販売しています。
この口数は以下のように計算されます。ベイコート倶楽部の場合、専有日は毎月1日または2日という割り当てになっていて(そのために24泊と12泊の2タイプがある)、タイムシェアカレンダーの番号によっては、まれにプラス1日が割り当たります。権利上の計算は1年は360日です。ですから、54室のロイヤルスイートの場合、54室×360日を24泊で割ると810口、54室×360日を12泊で割ると1620口となるわけです。
金額を見てみます。会員権の価格の内訳は上記の通りなのですが、消費税を考えなければなりません。以下が横浜ベイコート倶楽部のロイヤルスイートの販売価格です。およそ4,000万円です。
(画像出典:横浜ベイコート倶楽部 会員権販売公式サイト)
不動産は土地部分には消費税がかかりませんから、与えられた条件から価格を割り出すと、以下のようになります(なお、これはあくまで公開資料から割り出した推定値なので、実際とは違うかもしれません)。
土地(非課税) | ¥3,806,590 |
建物(課税) | ¥15,068,410 |
償却保証金(非課税) | ¥3,775,000 |
登録料(課税) | ¥15,100,000 |
(本体価格小計) | ¥37,750,000 |
消費税 | ¥3,016,841 |
(合計) | ¥40,766,841 |
これまでのデータから、以下のことがわかります。
横浜ベイコート倶楽部のロイヤルスイート24泊タイプの場合、専有面積5727.89平米を810口で分割していますから、専有面積の持分は7.07平米です。それに対して不動産代金として、2038万1841円(税込、建物の消費税は150万6841円)を支払っている、ということのようです。
普通のマンションとして見た場合、例えばですが、この持分を10倍した70.7平米のお部屋(概ね2LDK程度)を買ったとして、およそ2億円を支払う、といったイメージです。
検算の意味もあって、ベイスイート12泊タイプでも計算してみました。過程は割愛しますが、専有持分1.87平米に対して不動産代金として541万7633円(税込)を支払っていると算出されました。これをもとに70.7平米のお部屋(上記と同じ条件)の金額を計算すると、2億496万2198円と出ました。
これで少しは、リゾート会員権というもので何を買っているのか、とか、ビジネスモデルはどんなものなのか、というイメージをつかむことができるでしょうか?
なお、リゾートトラストの(共有制)リゾート会員権は、分譲部分(オールドエクシブならお部屋、フロアシェアならフロア、グレード全体ならその範囲)に加えて、建物の共有部分も含めて会員権として分譲されています。ただし、レストランやショップなどの店舗等はリゾートトラストの持分となっています。横浜ベイコート倶楽部の場合には、会員制ホテルの専有部分の合計は14,277.61㎡(本記事の計算で利用)であり、共有部分は別途13,309.22㎡あります。
(2020-12-10)初出記事の最後の段落に間違いがあり、修正して再公開しました。
resortboyさん
なかなか考えさせられるテーマですね。
2千万払っても持ち分たった7.07平米
更に宿泊費を支払うわけですから…
ほぼ会員権の夢の部分にお金を払っているのですね。
ところで、「共有部分にも持分が設定」の件ですが
今まで共有部分はリゾートトラストの持ち分だったのでしょうか。
だとしたら固定資産税もリゾートトラストが支払ってますよね。
それが会員の持ち分となれば、固定資産税を払うのは会員。
かなりの額の節約になるのでは…
リラックマ 大好きさん、コメントありがとうございます。
最初にお詫びです。初出の記事には僕の勘違いがあり、現在は記事の最後の段落を修正してあります。エクシブは当初から、店舗などを除く共有部分もオーナーやメンバーの持分として分譲されていました(ベイコート倶楽部も同様)。お詫びして訂正します。
横浜ベイコート倶楽部に関して、全体の床面積の数字をまとめたものを参考までに以下に掲載します。カハラも含めた延床面積は48,114.46㎡で、その専有と共有の区分、そしてその持主区分は以下の通りです。
うーーぐ。
リゾート会員権を買う時って、エクシブやベイコート倶楽部の豪華なエントランスやお部屋を見て、胸がいっぱいになり・・・。
ここが、私の別荘のように使えるなら、なんて素敵なんだろうーーー💖。と夢見る心地になって、さらに、それに別荘地を購入して、別荘を建てるよりは安いしと、お金を出す価値がある!!!と思えてしまうんですよねーーー(*´ー`*)。はぁ〜。
いや。
確かに、家族でリゾートライフを送るには、別荘代わりにもなりうる、広くて快適な物件です。
ただ、中身は・・・こういうことなんですねーーー。
ただ、エクシブ・ベイコート倶楽部を購入したことにより、「別荘地」「別荘」という、今後の少子高齢化の土地あまり、建物あまり時代に、大きな負担資産になりかねない不動産(負動産)を持たなくて済んだ。
という点では、
経済的メリットがあるような気がします。
数値化は難しいんですけれど。
らららさん、コメントありがとうございます。
確かに、個人の別荘よりも大会社が提供するタイムシェアリゾートの方がマシだとは思います。しかし、それが将来的に「負動産」にならない保証はどこにもありません。
そうなった時のための(準備のための)情報提供を、このサイトではこれからも行っていくつもりです。