「海外修行」を経てマリオットを別荘に – スペシャル対談 舟橋栄二さん(8)

funasanことトラベルライターの舟橋栄二さんをお迎えしてのスペシャル対談の第8回目をお届けします。今回は、国内のリゾート会員権ハンターだったfunasanが、国際ホテルチェーンのステータスハンターへと「鞍替え」していった経緯について伺います。

(初回の記事はこちら)インパクトがあったエクシブとの出会い
(第2回の記事はこちら)エクシブの魅力は「安さ」だった
(第3回の記事はこちら)「世代交代」でエクシブを活かす
(第4回の記事はこちら)リゾート会員権の破綻がもたらしたユーザー志向
(第5回の記事はこちら)高級化とサービスカットのはざまで
(第6回の記事はこちら)リゾート会員権のいちばん得する使い方
(第7回の記事はこちら)エクシブ変化の裏でホテル国際競争が起きた

funasan(以下F):もう20年も昔の話です。あるとき、エグゼクティブラウンジがあるってことを知って。ちょっと高いんですけども、ラウンジにアクセスできるルームに泊まれば、そこで朝食もティータイムもカクテルタイムも利用できるということで、もうすでにその時代からエグゼクティブラウンジを使ってたんですよね。

その当時は、そんな「ホテルの中にホテル」があるなんてことは皆さん知らないですから、本当に静かな雰囲気で、お客さんは欧米人ばっかりという。英語は英字新聞を置いてあるし、英語は頻繁に聞こえるし。かと言っていつ行っても静かで、書斎としてはもう完璧なところで。

名古屋マリオットとかヒルトンとかウェスティンとか、そういうところに泊まってたんです。結局はマリオットばっかりだったんですが。

マリオットは年間10泊泊まるとシルバーメンバーで、私もシルバーをキープしてたんですけど、シルバーではあんまりメリットがなくて。

resortboy(以下R):そうですね。アップグレードが取れない。

F:結局、エグゼクティブラウンジが使えるかどうかが大きな壁で。

R:そのためにはゴールドを取らないといけないと。

(注:2018年8月18日からマリオットリワードはSPGと統合してステータスとベネフィットの変更が行われています。その結果、現在はラウンジアクセスを無料アップグレードで得るには、プラチナエリートである必要があります。詳しくは公式ページをご覧ください。本対談は、両プログラムが統合される前の旧プログラムにおけるステータスを前提としています)

(公式)会員特典&リワードレベル | SPG&マリオット リワード

F:マリオットゴールドは年間50泊なんですね(注:現在はプラチナが年間50泊なので、本稿でいうマリオットゴールドは、現在のプラチナにあたりますので、脳内で読み替えてお読みください)。それはね、自分のお金で趣味で泊まるには、年間50泊というのは、これは現役の人には無理ですね。しかしリタイヤしても年間50泊泊まるかといったら、そこはちょっとなかなか泊まれない。

ところがあるとき、マリオットの本部からオファーで、英文のEメールが来まして。夏に来たんですけども、冬までに12泊すればゴールドにしてあげますよという、ピンポイントのターゲット・オファーが来たんですよ。

「何?12泊でゴールドにしてくれるのか」と。これは面白いなと思って。それで、どうせ12泊するんだったら、日本なんかつまらないから、東南アジアのデラックスなマリオットに泊まった方がいいと思いました。

以前から、クアラルンプールに非常に良いホテルがあるんだけど値段が安い、ということは調べてあったんで、そこでじゃあ12泊、クアラルンプールに行って泊まり歩いてこようかと。

それで、JWマリオットクアラルンプールとかルネッサンスとか、それからマリオット・プトラジャヤとか、いろいろ泊まり歩いて、とにかく12泊泊まって、ゴールドをもらったんですよ。

ゴールドもらって、ゴールドメンバーになっていれば、無条件にエグゼクティブラウンジへアクセスOKですので。

で、名古屋マリオットって素晴らしいんですよね。いつもこれを「お金を払って」エグゼクティブルームに泊まってたんです。しかし結構高い。4万円ぐらい普通にしますのでなかなか厳しかったんですけれども、これを最低料金の2万円ぐらいで予約して、無料アップグレードでエグゼクティブラウンジOKと。

これはすごいということで、妻を誘って何回もまあ名古屋マリオットを私の別荘にしたんですね。

R:やっぱりそこは「別荘」という感覚だったんですね。

F:エクシブに行く代わりです。

R:今、お話を聞いていて面白いなあと思ったのは、当時、今もうちょっと高くなっているかもしれませんが、2万円ぐらいとおっしゃってましたけど、つまり、ご夫婦でツインのお部屋に泊まって、エグゼクティブラウンジでフリードリンク・フリーフードを丸2日楽しんで、大体2万そこらと。

F:しかもアルコール付きです。

R:要するにそこで、エクシブに1人1万円の宿泊プランを残してほしいと願う舟橋さんとしては、エクシブの価格が上がっていくその裏側で、同じような値段で違う世界がバーンと開けてしまった。

F:しかも安いんです。遠くまで行かなくてもいいから。交通費も時間もかからずに、しかも値段もアルコール含めば安いわけだから、これをてんびんにかければ、ああマリオットだなぁと。

ところが、ゴールドメンバーっていうのは、ホテルのステータスっていうのは1年きりなんですよね。つまりゴールドをキープしたければ、1年ごとに50泊しなさいということなんですね。

R:いわゆる「修行」なんて言葉を使う人もいると思いますけれど、それをキープするために、用もないのに泊まると。

F:これはなかなか厳しいもので。でもやっぱり実際に最低料金で泊まって、エグゼクティブにアップグレードされて、スタッフからも、エグゼクティブラウンジでチェックイン・チェックアウトして対応はだいぶ違うと。そういうことをやっていくと、やっぱりすごく気分がいいという。

要するにエクシブオーナーがオーナーとしてチェックインできると同じ感覚なんですよね。人間というのは馬鹿なもので、チヤホヤされれば嬉しいわけだから。

その世界に入っちゃうと、どうしてもそれをキープしたいと。かといって年間50泊泊まれるかと言われるとなかなか厳しくて、まあ1年きりかなーと思ってたら、またマリオットが、うまいんですね作戦が。夏ごろにまた特別オファーがポーンと来たんですけど、12月まで全部ダブルカウントしますよって言うんですよ。

R:1泊泊まったら2泊分にカウントしてあげるよと。まあ50泊というルールはあるにしろ、そういうファーストトラックのオファーというのは、結構あるもんなんですね。

F:「何、ダブルでくれるの?」って。もう既に、結構泊まってたんですよ。30泊まではいかなかったかな。あと残りをダブルでくれるんだったら、プラチナが狙えるんじゃないかと。

R:ゴールド上のプラチナですね。プラチナになるとどういう違いがあるんですか。

F:まずね、プラチナになるには75泊いるんですよ(注:現在のプラチナプレミアに相当)。

R:ちょっと普通の人には無理ですよね。

F:プラチナになったからといって特別なメリットはあんまりないんですけど、まあ強いていえば、スイートへのアップグレードの可能性があるかなという程度ですよ。ラウンジアクセスについてはゴールドといっしょで、あとプラチナギフトというのがありますけどね。

でもまぁ、どうせここまで来たんだったらということで狙ってみようと思って、またクアラルンプールに行ったんですね。その75泊を達成するためにクアラルンプールへ行って、結局50泊ぐらいは最終的にしたと思うんですけど、1年でね。で、プラチナになったんですよ。

そうしたら今度は、マリオットがSPGを買収したんです。

(続き:激震だったマリオットとSPGの合併 – スペシャル対談 舟橋栄二さん(9) | resortboy's blog – ホテルの会員制度を楽しむサイト

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