(続)星野リゾートが語る新型コロナのホテル業界への影響

3月13日に続いて、日経ビジネス電子版において、星野リゾートの星野佳路代表が新型コロナウイルスの影響について語っています。前回の記事より1カ月と10日ほど。日本を代表するリゾートホテルの経営者の見解はどのように変化し、また現段階での見通しはどのようなものでしょうか。

(前回の記事はこちら)星野リゾートが語る新型コロナのホテル業界への影響 | resortboy's blog – リゾートホテルとホテル会員制度の研究

今回掲載されたインタビュー記事は以下にあります。

星野リゾート、耐え抜くための「1年半計画」に踏み出す:日経ビジネス電子版

このインタビューがいつ行われたのかは記事に記載がありませんが、同社の本拠地である長野県は、記事掲載の前日にホテルに対してゴールデンウイーク明けまでの休業を求めています。

長野、新潟両県が遊興施設などに休業要請 協力金支給:日本経済新聞

以下、resortboyの文責において、星野氏の発言を要約します。要約はresortboyの個人的興味によるもので、必ずしも氏の発言の趣旨を表現することを目的としていません。


4月に緊急事態宣言が出された後、80%ほどだった各施設の客室稼働率が20%台になった。緊急事態宣言は正しいと思う。今は一番強い自粛期であり、感染者数を一気に下げ、早く安心できる状態になれば中長期的にプラスに働くが、状況によっては当面、需要が期待できない。

施設によっては夏休みまで閉める、などの可能性はある。ワクチンや治療薬ができるまでの1年から1年半は何らかの影響が残るだろうと覚悟を決めている。

東京五輪が来年できるのはいいこと。インバウンドも含めた完全回復に向けて「1年半計画」を立案している。大方針の1つはコストの先送り。中長期のプロジェクトはいったん中止している。もう1つの大方針は人材の維持。市場が復活するときに備えて、人材の維持が重要だ。

ワクチンや治療薬ができるまでは、自粛期間と緩和期間を繰り返していくことになる。旅行業は自粛期にはダウンし、緩和期に少しは事業環境が回復する。こうした繰り返しだと思っている。

「新ノーマル」が誕生したと見ており、顧客が旅を選ぶ基準が変わるという仮説を立て、市場調査で検証する。緊急事態宣言が緩和されたとき、旅行についての考えを尋ねる調査を予定している。

観光が感染を拡大するといったことは絶対あってはいけない。国内市場が少しずつ需要を戻したとき、3つの密を避けることが大切だ。三密のない滞在を提案する運営ノウハウを作る。

またコロナとの闘いには、メンタル面の健康を維持することが大切だ。新ノーマルにおいて観光が貢献できることを考えなければいけない。

感染が終息したときの需要喚起策としてクーポン券が検討されているが、2つ要望がある。1つは予約の方法。従来は予約を旅行会社経由に限定していた。自社での予約に力を入れている施設に著しく不利になるので、幅広い予約に対応できる形にしてほしい。

もう1つが需要の平準化。期間を限定して一気に需要喚起すると混乱が生じる。むしろ長期に使えたり、地域によって時期を変えたり、平日に使えるなどの需要を平準化するクーポン券にしてほしい。

今こそ経営の力が問われている。変化に対するトップダウンの力やスピードが必要になる。そして新ノーマルに対して、自分たちが変わらなければならない。リーダーシップが問われている。


要約は以上です。「復活めどまで1年半」というのが、記事のキーワードになっていたように感じました。

「不要不急」がキーワードとなっている今、そのキーワードがもっともぴったり来る施設が「リゾートホテル」であるように思われます。リゾートホテルは緊急時にわざわざ利用するものではなく、平時であることが経営の前提です。その前提が失われている今、リゾート業界を代表する経営者がこの難局をどのように舵取りしていくのか、注目していきたいと思います。

(写真は、賑わいを見せる夏のリゾナーレ八ヶ岳)

1 comment

  1. 軽井沢プリンスアウトレットの休業に続いて、プリンス系軽井沢ゴルフ場やホテルも5/末まで休業になりました。
    グランディ軽井沢は、昨年の台風被害でハーフのみの営業していますが、
    せっかく予約していた軽井沢パセオだったけど、諦めがつきました。
    優良企業ほどトップの決断が早いのかなと感じています。

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