今年の春に続いて、名古屋のホテルシーンの調査を行ってきましたので、可能な範囲でその成果を公表していきたいと思います。2021年秋シリーズの第一弾は、いま名古屋でいちばんイケているホテルである(また、最も宿泊料金が高いホテルの1つである)「THE TOWER HOTEL NAGOYA(ザ タワーホテル ナゴヤ)」を紹介します。
このホテルはその名の通り、いわゆる「名古屋テレビ塔」(現在の正式名称は「中部電力MIRAI TOWER」)の中にあるホテルです。このタワー自体と周辺の「Hisaya-odori Park」(久屋大通公園)については、別途記事にしようと思います。このエリアはいま名古屋で一番変化していて勢いのある地域のように東京者からは見えます。
その名古屋テレビ塔が2019年に全体の改修工事を行った際に企画されたのがこのホテルです。アメーバホールディングスというウェディングが主力の企業が、同社初のホテル事業として2020年10月に開業したものです。
(開業時の公式発表)【THE TOWER HOTEL NAGOYA】2020年10月1日グランドオープン|株式会社 アメーバホールディングスのプレスリリース
まずはロビーに行ってみましょう。ホテル専用のエレベーターがありますから(タワーそのものの入口とは別です)、まずはそこを間違えないように。
こちらがホテル専用エレベーターの入口です。ここから既にこのホテルのコンセプトである「アートやクラフトに囲まれて時を過ごす」「ホテル全体がギャラリー」といった雰囲気が全面に出ています。
このモダンなイラストは好みがはっきり分かれそうだと思いましたが、ともあれ中に入ってみましょう。エレベーターで4階に上がると、久屋大通公園へのビューが開け、同じ階にあるレストラン「Glycine」が窓越しに見えます。
廊下を抜けて進むと、レセプションがあります。このホテルは全15室のスモールラグジュアリーホテルです。この日は宿泊ではなく、ギャラリーの展示を見に来たので、その旨を告げて中に入ります。
ところで、この写真の奥に本棚が見えますが、この裏にはエレベーターの隠し扉があります。昼間は別の入口から展望台につながるエレベーターが、営業終了後には宿泊者だけが利用できるようになるという仕掛けです。
エレベーターの地上階とは違って、タワーの鉄骨の張り出しをモチーフに、それとマッチするよう落ち着いたトーンで室内は作られていました。
こちらが「シグネチャールーム」と呼ばれるロビーの様子です。斜めに走る鉄骨を中心にモダンにまとめられた空間に、テレビ塔を表現した木製彫刻「THE TOWER」(森北伸氏作)が飾られています。
部屋の反対側では地域にゆかりのある作品が展示販売されており、映像作品も展示(投影)されていました。
では今日の目的である展覧会「楚里勇己個展:floating flowers」に行ってみましょう。現在、ロビーと同じ階にある「ギャラリールーム」で開催されており(入場無料)、期間は2021年9月2日から9月26日までです。
(公式案内)楚里勇己個展 「floating flowers」 2021年9月2日(木)〜9月26日(日) | THE TOWER HOTEL NAGOYA | ザ・タワーホテル
このギャラリールームでは、およそ1カ月ごとにホテルのコンセプトに基づいて、東海エリアに縁のあるアーティストたちによる企画展が行われています。
日中はギャラリーとして開放されていますが、作品とともにこのお部屋そのものに宿泊することもできます(宿泊時には寝具が運び込まれる)。
このホテルは、登録有形文化財である旧名古屋テレビ塔の中にあるという、ホテルとしては極めてまれな、建物としての存在に滞在すること自体が目的となるディスティネーション志向のホテルです。
ここをリピートする、という方は少ないかもしれませんが、コロナ禍の中でありきたりの国内旅行では満足できない向きには、かなり尖った宿泊体験を与えてくれるホテルと言えるでしょう。