型にはめればやがては朽ちる

前回、ブッフェについての記事を書いたところ、コメントをいただきまして、なるほどと感じたので、少し話を発展させてみたいと思います。海外などでいわゆる高級ホテルを旅していると、西洋料理や現地の料理、スターターやデザート、といった大きな区分ごとにブースが分かれていて、時には料理人がいて実演をしているようなシーンに出会います。

国際的な大きなホテルには世界中からさまざまな人々が集い、ブッフェというものが、そのホテルに集うさまざまなゲストの多様性を満たすための文化として存在している、ということがよくわかります。

さかさまから見ると、多様性を満たすためにはホテル側の都合で型にはめてはいけないということになるでしょう。そこで思い出すのは、以下の話です。話はブッフェから離れますが、以前、こんな記事を書いたことがありました。

箱根離宮はビジネスホテルに似ている | resortboy's blog – ホテルの会員制度を楽しむサイト

その記事本文で「商業施設としての効率化・最適化が進みすぎ」と書きましたが、これを別の表現に言い換えれば、「ホテルの都合で型にはめられるのは不愉快だ」と言うことができるでしょう。そしてその傾向はその後も継続していて、最新のエクシブ湯河原離宮ではかなり極端な形で進化してしまったように感じています。

オールドエクシブ時代と違って、いつの頃からかエクシブ、またはベイコート倶楽部もそうかもしれませんが、「型にはめる」ビジネスにリゾートトラストは過度に陥ってしまっているように感じています。

それは最近書いたアンワインド札幌のような「ストーリードリブン」と本質的には同じなのですが、その型は時の流れとともに飽きられて陳腐化してしまう、というところに、ビジネスとしての難しさがあるように感じます。

特にエクシブの場合、型にはめる部分を豪華なハードに頼っているのが同社の大きな特徴であって、そこが市場ニーズにはまって成長をドライブしてきました。成長した結果、その型が先鋭化してしまい、お金を生まない子どもの居場所やフィットネス施設、場合によってはランチ営業までを切り捨てた。そうしていつしか、連泊に堪えない独特なシチュエーション志向のホテルチェーンができあがりました。

ホテルの価値の一面にストーリー消費というものが強くある現代では、フルフィーチャーの王道の高級ホテルでない限り、リニューアルやスクラップ・アンド・ビルドを繰り返して、そのストーリーを常にリフレッシュする必要があるでしょう。

エクシブはフルフィーチャーのホテルではありません。周囲の自然環境やそれらの流行り廃りに左右されるリゾートホテルですから当然かもしれません。だから、それぞれが志向するシチュエーションが顧客の志向に合致しているかが勝負です。ですが、共有制の会員権としてホテルを建設しているから、本質的なビジネスの仕組みとしてリニューアルや方針転換が極めてやりづらい。

だから時とともにゆるやかに朽ちていくのは必然で、リゾート会員権というものに世代を超えた繁栄はありえない。そんなことを考えました。

1 comment

  1. 先の記事に続くこの考察は、もはや博士論文の域に達していますよ(失礼、笑)。
    うん、うん、と言って読ませていただいていたのですが、最後のフレーズには、激しく賛同するものの、あまりにも
    的を射すぎて、言葉が出ませんでした(そう言っておきながら、書いている私、爆)

    そうなんです、共有制の会員制ホテルでなければ、いかようにも変わっていけるんです。好む好まないにかかわらず、
    エクシブほどのハードや規模なら、大江戸みたいなところだって、食指を伸ばしてくるでしょうし、彼らなら、
    ものの見事に大繁盛に持っていきます。私は、大江戸の大型ホテルにいくつか泊り、宿泊そのものが良い悪いなどの感想を持つ以前にそのマーケティング力とパワー、客さばきのノウハウに打ちのめされ、最初の一泊でファンになりました(もちろん、どんなときでも大江戸ではなく、同行者や宿泊目的は選ぶでしょうけど。。)
    宣伝をするわけではありませんが、打ちのめされた例として、香川県のレオマの森を挙げておきます。
    https://reomanomori.ooedoonsen.jp/

    今、本ブログの他の記事のコメントで、RTの宿泊プランの反映の遅さ、ちぐはぐなオペレーション、中途半端な集客、
    ましにはなってきたようだが、心を打つ価格とはいいがたいプラン、会員規約のでたらめな運用。。非常に残念です。
    じゃあ、どうすればいいのか?難しいですね、たしかに。会員としては、愚痴を言っても仕方ないので、やめるっていう手はありますが、それも残念です。新しいポイント制度もそうですが、「幕府」が混乱しているかもしれません。
    機械化も遅れています。大江戸のような日帰り温泉で培ったノウハウをホテルで生かしている場合、一日に一つの
    ホテルで数千人を、夕食バイキング4回転、朝食3回転させて難なく客を満足させるシステムをもっていますが、
    大江戸を新型パソコンとすると、エクシブは、それに比べて手計算、よくて算盤、ガリ版チラシの世界です。

    雑多な環境が嫌で会員制ホテルのメンバーになりました。シルバーエイジなので、90年バブルのころを中心とする
    オールドエクシブの雰囲気は落ち着きます。静かな環境であってほしいとは思います。しかし、価格を下げ、利益率が
    減ると悪循環で、持ち部屋があるのにそこは平日クローズだったりするのも悲しいです。
    こんな大事な時、なんで健康診断出身の比較的若い人が社長になったんでしょうか?MBAとっておられて、先に書いた、
    経営戦略論を熟知されていたから?

    マリオット・ヒルトン・IHG・Wyndomなどの、会員制クラブ(共有制コンド)は、大手チェーンのマーケティング力と集客、家族利用のキッチン付きコンド、必要なければリースにだすとか、なかなか、頑張っていますよ。用途によって
    使い分けられ、交換もスムーズだし、一般客も入れてるし、何もかもスムーズな運営です。それに引き換え、RTCCって何?

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