8月のお盆明けに京都・琵琶湖を旅しました。家族旅行で比叡山延暦寺や日吉大社を訪ねる、かなり正統派な寺社仏閣めぐりの旅でしたが、それにくっつけて単独行動で「ガラ権測量の旅」も実施しました(家族が着いてくるわけない)。取材内容についてはFANBOXで概要をお話ししていますが、今日はそこから発展させた話題です。
つくづく、「ああ、リゾートトラストは創業50年を経て、ついにリゾート開発の原点に回帰したのだな」という思いを深くしました。そう思った理由も含めて書き記しておきます。
別荘地商法
この夏は、zukisansuさんとやっている日本リゾート会員権史の研究にかなりの時間を割き、成果に手応えを得ています(学会発表するわけではないのですが)。考証担当である僕は、国会図書館を利用して、例えば50年前の広告であるとか、日本のリゾート産業の一次資料に当たる作業をはじめ、それを使って議論することで、ガラ権の源流やその思想の原点がより明確にわかってきました。
特に、なんとなく誤解していた日本のガラ権メーカーの出自が、次々と明らかになってきて驚かされます。多くのメーカーはいわゆる「別荘地商法」「原野商法」に端を発しており、もともと「わるいやつら」であって愕然とします。
しかし、リゾートトラストは異なります。最初の施設が名古屋白川のシティホテル分譲であったりして、他のメーカーとはテイストが最初から違いますし、起業のバックグラウンドも特殊であり、それこそが彼らだけが生き残った理由であるとも思われます(その物語は長くなるのでおいおい書きます)。
サンクチュアリコート琵琶湖
さて、冒頭の写真はサンクチュアリコート琵琶湖を遠望した一枚です。鴨川という川が琵琶湖に流れ込む河口に、砂が堆積してできた土地です。
その場所をGoogleマップの航空写真で見るとこのようになります。近隣の様子はFANBOXでレポートしました。ずいぶん不思議な場所でした。
そこで今日は、2016年に発売されたラグーナベイコート倶楽部から、今年発売され2027年に開業するサンクチュアリコート八ヶ岳までの空撮画像を見ていきます。僕がどんなことを思ったのか、誰もが直感的に感じ取れる内容ではないかと思います。
ラグーナベイコート倶楽部
ベイコート倶楽部は、大都市に近い湾岸の埋立地に作るというのが開発コンセプトでした。ラグーナベイコート倶楽部は、もともとエクシブの計画地でしたが変更され、蒲郡の「ラグーナ蒲郡地区計画」の中の「リラクゼーションエリア」に、2019年に開業しました(そのため隣に「ラグーナの湯」があった)。
横浜ベイコート倶楽部
次の横浜ベイコート倶楽部は言うまでもなく、横浜みなとみらい21の海に向かう一番端の街区にあり、パシフィコ横浜ノースに併設する国際級貴賓に対応できるホテルとして、横浜市の計画の中でできたホテルです。結果、会員制で開発投資を回収する一方で、一般ホテルを併設するという、変化球を投じて建設されました。
Googleマップのキャプチャはすべて同じ縮尺になっています。さすが横浜は、日本を代表する大都会ですね。
サンクチュアリコート高山
続いては今年開業したサンクチュアリコート高山です。
高山駅はもちろん、高山の観光メインエリアもこの地図にぎりぎり入っています(右上隅が宮川朝市)。リゾートホテル、観光ホテルとして、普通に立派な立地です。
その次が来月開業のサンクチュアリコート琵琶湖です。画像を再掲します。急にワイルドになりました。このような砂地に大規模建築ができるようになったのは建築技術が進化したからなのでしょう。
サンクチュアリコート日光
2025年の開業ホテルはなく、琵琶湖の次は、2026年開業のサンクチュアリコート日光です。
かなり原野っぽくなってきました。日光(および周辺)は那須に比べると小規模ですが、別荘地商法の代表的な草刈り場の一つでした。
サンクチュアリコート八ヶ岳
最後に、2027年開業予定のサンクチュアリコート八ヶ岳です。
言うまでもなく、八ヶ岳南麓は首都圏を対象とする別荘地のメッカの1つですが、この場所は「小淵沢財産区」であり、アウトレットができたのも21世紀に入ってからです(旧小淵沢町出資の第三セクターによる)。
こうして空撮画像を見ていくと、リゾートトラストのホテル開発立地が、だんだんと原野に近づいていることが直感的にわかります。
冒頭で、リゾート会員権の歴史をたどると別荘地商法に行き着くと話しました。リゾートトラストはそういう出自の会社ではありませんでしたが、時を経て、急速に「ガラ権のお母さん」である原野に向かっていることは、とても興味深いことです。
言うまでもなく、現在のリゾートトラストのビジネスは、別荘地商法とはまったく異なるものです。かつてそうした商売が行われた、または行われもしなかった場所に、数百億円という莫大な開発投資を行う企業は他にありませんし、今後も現れないでしょう。
今日は、このオリジナリティあふれるビジネスモデルが実践される現場の、ここ数年の急激な変遷について見てきました。オールドエクシブの開発とは時代背景が異なりますし、現代においてこうしたワイルドな立地で、どのような形だったら事業を継続していけるのか、注目していきましょう。