同じカゴに盛られたハワイコンドとベイコート倶楽部

あまり昔話ばかりしていても仕方ないのですが、リゾート会員権は不動産の登記を伴う「長い付き合い」になる商品ですので、(特に購入前に)過去にどのようなことがあったのかを知ることにも、大きな意味があろうかと思います。前回の記事で、2006年当時の「ハワイのRCI激推し」の事例をご紹介しましたが、蔵からひとつかみ取り出した昔の会報誌を片付ける前に、もう数点、当時の様子をご紹介します。

前回の記事で、2006年の第59号で「ヒルトン・グランド・バケーションクラブ・アット・ワイコロア・ビーチ・リゾート」(ヒルトン傘下のハワイ島にあるコンドミニアム)の利用法が3ページに渡って紹介されていた事例を掲載しました。エクシブを購入(入会)することで、豪華な海外タイムシェアを利用できる――それがエクシブの販売において重要な位置を占めていたことは、会報誌での取り扱いからも明らかです。

特筆すべきは、このようなRCI加入の「豪華新規ホテル」の紹介は、何もこの回のヒルトンだけではないことです。その知名度から、RCI交換で最も人気が高かったのはオアフ島のヒルトン・ハワイアン・ビレッジでしたが、立地面で最も優れていたのは、2007年の第64号で紹介された「ウィンダム・ワイキキ・ビーチ・ウォーク」でした。

その第64号に掲載された連載「RCI World」の様子を、以下にサムネイルで掲載します。

当時、ワイキキ・ビーチウォークはできたばかりで注目されていましたから、この記事には胸が高鳴った人が多かったことでしょう。冒頭の写真は僕が訪れたワイキキ・ビーチウォークの様子ですが、この道を隔てた向いにウィンダム・ワイキキ・ビーチ・ウォークがあります。

連載の次の見開きには交換利用可能な客室の写真が大きく掲載され、以下のような文章が踊ります。

2ベッドルームタイプは日本のマンションで言えばグループでの滞在にぴったり。1ベッドルームタイプもリビングとベッドルームが分かれたスイートタイプですので、ご夫婦お二人なら十分な広さです。

このようなRCI激推しの時期、将来の海外交換を意図して僕はエクシブを買い増し、一時はエクシブを3つ保有することになりました(その他サンメンもあって、合計4つも会員権を持っていました)。次々とハワイの豪華コンドミニアムが公式情報たる会報誌で利用推奨されるわけですから、将来の海外交換利用を重視し、夢見ていた僕のような会員にとっては、その魅力に抗するのは難しいことだったと思います。

次にご紹介するのは2008年の第67号です。この号のRCI World連載はいつもと違って5ページあったのですが、その理由もご紹介します。

最初の4ページは、またもやハワイ諸島4島での代表的なRCI加盟ホテルの紹介です。前回もご紹介しましたが、これがとても良くある連載パターンでした。やはり日本人にとっての海外リゾートとは、「主にハワイ」なのです。

そして、最後のページがこれです。

ハワイのコンドミニアム交換と並んで、この年に開業した東京ベイコート倶楽部が紹介されていました。いわく「アメリカに本部を置くRCIの加盟施設であるため、交換可能」であると。

エクシブとベイコート倶楽部は全くの別会員権であり、利用には国際組織であるRCIを通じた交換が前提となっていました。そして東京ベイコート倶楽部はRCIのグレードで最上級の「Gold Crown Resort」を獲得し、RCIのエクスチェンジ・トレーディングパワーにおいても、最高の価値であると位置づけられていました。

その後のストーリーは他の記事でご紹介してきたとおりです。

2 comments

  1. コロナ禍も終わったので、外資の話を少ししたくて、ウィンダムの話をしようとその前振りとしてウィンダム・ワイキキ・ビーチ・ウォークを取り上げてみましたが、かえって当時のRCI激推しとか東京ベイコート倶楽部のありえない権利運営とかが気になってしまい、自ら掘った穴にはまってしまっています。

    それで、東京ベイコート倶楽部の「発売時」と「開業時」の報道発表資料から、エクシブ交換に関する部分を抜き出して、以下に資料として掲載しておきます。

    (発売時:2005年4月5日)
    (引用始め)
    利用予定のない占有日を東京ベイコート倶楽部メンバー事務局に預け入れることで、他の会員が預け入れた占有日と交換して利用することができます。
    弊社が全国に展開している「エクシブシリーズ」の各リゾート施設とも交換できます(24泊タイプは6泊まで、12泊タイプは3泊まで交換可能)。また、RCI(リゾート・コンドミニアムズ・インターナショナル)社に加盟する3,700カ所以上の海外施設との交換も可能です。
    (引用終わり)

    3つのことを言っています。ベイコート内の交換、エクシブの交換、RCIによる海外交換です。この時点ではエクシブ交換とRCIは区別されています。

    (開業時:2008年3月18日)
    (引用始め)
    利用予定のない占有日を、東京ベイコート倶楽部メンバー事務局に預け入れることにより、他のメンバーが預け入れた占有日と交換して利用することができます。また、世界最大のリゾート宿泊権利交換会社のRCI, LLCにより、リゾートトラストが全国に展開している「エクシブ」シリーズの各施設と交換できます。(24泊タイプは6泊まで、12泊タイプは3泊まで交換可能)
    さらにRCI, LLCに加盟する3,700ヵ所以上の海外施設との交換利用も可能ですので、余暇をワールドワイドにお楽しみ頂けます。
    (引用終わり)

    同様に3つのことを言っていますが、エクシブの交換はRCI経由であると変化しました。しかし当初の泊数制限はそのままになっていますので、その後の大きな流れを知っていても「?」と思う変更ですので、それについて解説しておきます。

    これは「ベイコート→エクシブ」の視点で見ていると「?」なのですが、「エクシブ→ベイコート」の視点で見ることで理解できます。東京ベイコート倶楽部はエクシブとはまったく別の会員権として販売されたため、エクシブ会員が利用できる想定ではなかったからです。

    ミスコンセプトであまりにも売れ行きが悪く、リーマンショックで追い詰められて2009年にスーパーエクシブへと舵を切るその前段階として、エクシブ会員にベイコートを使ってもらうために、無理やりRCI経由としたわけです(その告知が親記事に出ているRCI Worldです)。

    これが「混ぜるな危険」の源流ですかね。

  2. 「混ぜるな危険」の源流の次に、その最期についても記載しておきます。

    RCIジャパンの廃止で生まれ、「別会社」として交換業務を担っていたRTCC株式会社は、リゾートトラスト株式会社に吸収合併されて2023年6月30日に消滅することとなりました。

    もはや、だから何なんだ、って多くの方は思っているかな?

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