16年前の「パワー・ブランド計画」を振り返る – 2

4つ前の記事で書きましたが、来月オフ会を企画しています（参加希望の方はそちらの記事をご覧の上、参加表明をしてください。開催場所など詳細はブログではなく別途ご案内しています）。その中でやるトークライブではリゾートトラスト社の現在を分析して今後をうらないます。そのライブ準備のメモ記事の第2弾です。

昨年、リゾートトラストは創業者が新社長へのバトンタッチとともに中期経営計画「Connect 50」を発表しました。その1年目の結果をレビューしながら、リゾートトラストがどういった方向に進んでいくのかを理解しておきたい、というのが今回のオフ会（勉強会）のテーマとなっています。

前回は、16年前の中期経営計画において、現在のリゾートトラストのビジネスがまさに予言されていたことを示しました。

（前回の記事はこちら）16年前の「パワー・ブランド計画」を振り返る | resortboy’s blog – ホテルの会員制度を楽しむサイト

しかし、経営計画は5年単位です。その後に2つの中期経営計画があったわけですが、それらを細かくレビューしているとこの場ではキリがないので、リゾートホテルの開発案件に絞って、計画と実際の開業はどう対応していたのか、言い換えれば「どの程度、有言実行なのか」を検証してみたいと思います。

今日はまず、2003年4月発表の「パワー・ブランド計画」のマスタースケジュールを検証します。

（画像出典：リゾートトラスト　2003年5月29日）

下半分は無視して、まずエクシブから見ていきます。

当時すでに販売していたエクシブ浜名湖は、予定通り2004年3月に「グランドエクシブ浜名湖 ゴルフ＆スパリゾート」として開業します。また同年11月には「エクシブ軽井沢 サンクチュアリ・ヴィラ」が予定通り開業しました。

エクシブ関西、と書かれているのは「エクシブ京都 八瀬離宮」のことで、これは予定より少し遅れて、2006年11月の開業となりました（遅れた理由は後述）。

エクシブ関東、と書かれているのは、おそらくエクシブ箱根離宮の計画であったと思われますが、これは以下に述べるような理由で延期されることになりました。

これらに遅れが生じたのは、急きょ手がける計画外の案件が発生したためです。

第一に、2005年4月開業の「グランドエクシブ那須白河 ゴルフ＆スパリゾート」です。これは2004年3月の発売で、2005年4月の開業まで約1年ほどしかありませんでした。なぜ予定になかったかというと、これは破綻物件を取得してリニューアルしたという特殊物件（同社にとっては特殊ではないのですが）であったためです。

もう1つは、2005年7月開業の「エクシブ鳴門 サンクチュアリ・ヴィラ ドゥーエ」です。これはこのパワー・ブランド計画初年度である2003年12月に発売されたのですが、なぜ急にそんなことができたかというと、エクシブ鳴門の敷地が非常に大きく余裕があったために、その中に建ててしまった、という経緯によるものです（リゾートトラストは図面の段階で会員権を販売開始するのです。共有制のリゾート会員権ですから当たり前ではあるのですが、ホテル建設の初期費用を集めながら建てるわけです）。このエクシブ鳴門もまた、破綻物件の取得による開発案件でした。

これらの影響もあり、マスタープランにあるサンクチュアリ3号の計画はずれ込み、「エクシブ山中湖 サンクチュアリ・ヴィラ」として1年遅れの2009年3月に開業することとなります。

この計画の最終年度には、マスタープランから1年遅れながら、都市型リゾート会員権の第一弾である「東京ベイコート倶楽部 ホテル＆スパリゾート」が2008年3月に開業します。このベイコート1号は大難産のプロジェクトでしたが（要するに当初は売れなかった）、パワー・ブランド計画の中核をなすものだっただけに、きっちりと最終年度までに開業させたのは偉かったなと思います。

このように、マスタープランとは一部違いがあるものの、計画数だけで言えば、見事に予定通りに計画を達成しています。

結果も素晴らしく、以下のように右肩上がりの成長を実現しました。

（画像出典：リゾートトラスト　2008年7月）

2003年4月に5年後の数字として掲げたものは、以下の通りでした。
・売上高 1,000億円
・営業利益 140億円
・当期利益 80億円

当期利益こそ数％達しませんでしたが、あの難産だった東京ベイコート倶楽部を抱えながら、有言実行の数字を叩き出してみせたのは見事だとしか言いようがありません。