リゾートトラストの2021年3月期の有価証券報告書が公開されました。この中には同社の各ホテルの細かな実績データが掲載されています。その中から、折を見ておもしろいデータがあればご覧に入れていきたいと思います。
これまで僕のサイトでは、主に客室稼働率に注目したデータ分析を行ってきましたが、昨年から現在に至るまで、コロナ禍で正常な稼働状態とは言えません。そこで宿泊している人の行動に注目した分析を試みてみたいと思います。
(公式)有価証券報告書・四半期報告書|IR資料|投資家情報|リゾートトラスト株式会社
今日は、レストランの利用動向に関してです。
先日、10月から全エクシブでコース料理の価格が統一(引き上げ)されることについて報じましたが、考えてみれば、会員制という運営形態から室料が抑えられている同社のホテル経営においては、室料収入よりもむしろ料飲部門(レストラン)の収入の方が(通常は)大きいわけです。
そこで、2021年3月期のホテル別の料飲売上を、宿泊利用人数で割って、1人あたりの消費金額を求めてみました。グラフの縦軸は消費金額、横軸はホテルの開業順です(右に行くほど歴史がある)。
すると、まぁまぁきれいな右下がりのグラフが描かれました。全体のトレンドラインから上振れしているホテルにはベイコートブランドのものが目立ちます。
一方で、ホテルは古くなればなるほど稼働率が落ちてレストランの運営を効率化するため、料飲部門の売上もそれによってより下がるという傾向がよくわかります。リゾートトラストの場合、同一ブランドのホテルでのレストラン価格は統一されていますから、ホテルが古くなると宿泊者数が減って稼働率が落ちるだけでなく、館内レストランの魅力が薄れるために宿泊者のレストラン利用率も下がってしまう傾向にあります。
もちろん、これは外来利用なども含まれていますから、あくまで傾向ということになると思いますし、実態は推測するしかありません。オールドエクシブでは安価な宿泊プランを出すことで料飲単価も抑えられているでしょうし、館内レストランを利用しない層(素泊まり)が増えていることも推測できます。また、ホテルの立地も影響するでしょう。
例えば、「軽井沢」は新規会員権の追加で施設にテコ入れがされているため、オールドエクシブの中では稼働率がよい部類に入りますが、料飲の1人あたり売上はむしろ低くなっています。それは同ホテルが他のエクシブなどに比べて便利な立地であることと関係しているはずです。
一つひとつのホテルに関して見るのも面白いのですが、キリがないので1つだけ取り上げると、おかしな数値が出ているのが横浜ベイコート倶楽部です。このホテルは同社の会員制ホテルで一番新しいにもかかわらず、1人あたりの料飲利用高が異常と思えるほど低くなっています。
これはこのホテルが、一般ホテル(ザ・カハラ・ホテル&リゾート横浜)とのハイブリッド運営(レストランは共通)であることが原因だと推測されますが、どうしてこれほどまで数値が低いのかは僕にはわかりません。横浜ベイコート倶楽部からクルマで中華街に出るなど、エリアとしての横浜の魅力が影響しているのかもしれませんし、一般客が先に予約を入れてしまって館内レストランの利用がしづらいのかもしれません。
いずれにしても、一番新しい会員制ホテルのレストラン利用が振るわないのはあまりいいことではありません。気になるのでもう少しデータを見てみようと思います。
(つづく)
六甲SVは和食、鉄板・炭火焼きしかなく、食事代も夕食がローエンドで12,000円、鉄板焼きが15,000円、炭火が16,000円、朝食も2,800円です。
横浜ベイコートでも和食の夕食は10,000円から、鉄板焼きは13,000円からなので、(以上全て税サービス抜き)レストラン選択の幅ない上に、料理のレベルから見ても割高で、連泊やリピートする気になれません。
それでも価格設定やロケーションの関係で、一人当たりの消費金額が高くなるのは必然でしょう。
10月から全エクシブでコース料理の価格が統一されるということですが、SVは例外なのでしょうね。山中湖SVのイルコローレは、コロナ禍の頃からローエンドが12,000円から8,000円に下がりましたが。
blueroseさん、コメントありがとうございます。六甲SVは料飲利用単価ナンバーワンですが、そのような事情があるということですね。
山中湖SVのイルコローレは、コロナ禍でSグレード利用でなくても利用できるようになって、しかもプレミアムステイで半額!ということで、僕の近場では春先に盛り上がっていたんですが、これって山中湖オーナーだけの話なのかな、それとも誰でもOK? 8,000円コースができたのもそのせいなのかな?
resortboyさん
山中湖はルッチコーレが試験的とはいえ「アペリチェーナ」という90分入替制のセレクトメニューに一本化されたため、コース料理は全てイルコローレに移行させたんですよね。これにより誰でもイルコローレを利用できる状態になりましたから、そのことによる廉価コース追加ということで、このケースだと必ずしも値下げとは言えないようにも思いますね。
resortboyさん
横浜ベイコートはパシフィコの外れにあるので中心まではちょっと歩きます。
ですが、行けば巨大なショッピングゾーンがいくつも有り
お洒落なカフェやレストランが山ほどあるので
割高な値段設定のホテル内レストランを利用しようとは思わないのでは?
(一人予算 5~6千円でも結構イケてるお店も有ります)
タクシーで中華街…な人は、あまりいらっしゃらないのでは。
皆さん、こんばんは。毎日暑くて、すっかり真夏となりました。東京五輪…。
benさんに、僕の疑問にお答えいただいていたのに、すっかりコメ返しを忘れてしまっていてごめんなさい。ルッチコーレのハーフブッフェ、アペリチェーナの影響なんですね。これは今も継続しているようですので、定着していくんでしょうか。
時間が90分とはいえ、カクテルやワインのフリーフローが付いて6,000円++というのは悪くないのでは? 試された方は感想を聞かせてください。
リラックマ 、大好きさん。僕もまったく同意見なのですが、横浜ベイコート倶楽部は完売なので、かなりの費用を投じてオーナーになった方の利用も多いはずですよね。そういった富裕層の方々が、かえって真逆のケチくさい行動をされているというところが、現代的というか、イマドキな感じが出ているのかもしれません。
もしかして、僕の考えのほうが真逆なのかな。お金持ちなのにケチ、なのではなく、ケチだからお金持ち、なんでしょうか?
こんにちは…
横浜ベイコートは1度しか利用したことがありませんが。(ルームチャージ半額チケット利用、朝食(洋食と和食)夕食もイタリアンでインルームダイニング利用)
ロケーションも良くまた出かけたいなと思っております。朝食は東京ベイコートより良かったです。スパは狭くてちょっと残念でしたが。
横浜ベイコートのWEBから空室状況を見ていますが、部屋は空いていてもレストランは満席が多いです。これはカハラ利用やベイコートの上級利用者(営業さんに電話で予約する方)予約のためにレストランがおさえてあるんじゃないかと勘ぐっています(笑)
それと近頃は情報が溢れているので、出かける前に周辺のレストランを捜しますよね。
行きたいお店の近くのホテル予約したり…
ベイコートクラスのレストランを利用するなら周辺のもっと高価格なお店を予約するかリーゾナブルに行ってみたいB級ごはんも選択肢にあると思います。
コロナになってから絶対7:30にしか開かなかった朝食レストランが、7:30前に席に案内してくれるようになったのはちょっと喜んでいます。
お金持ちとケチについて…
私の友人にマリオットのプラチナ・チタン会員やヒルトンのダイヤモンド会員が数名いますが、彼らは概して「ケチ」です。年間50泊100泊と高級ホテルに泊まっているので大金持ちと思えるのですが、それほどでもないです。実態は小金持ち、または遊ぶ余裕のあるシニア世代でしょうか。
共通するのはネットに強くコスパに厳しいことです。決して無駄使いはしません。サービスの内容と価格を厳密に評価しますので、結果的に高級ホテルのレストランでフルコースのディナーを食べることはめったにないです。記念日や特別な会合は別です。
一方で、各自のこだわりを持っており、自分の趣味・興味で価値があるものには大胆にお金を使います。決してケチではないです。お金持ちとケチは微妙に絡みついていますね。高額な会員権を買ったオーナーがコンビニ弁当を豪華な部屋で食べても私は違和感はありません。