台北の5つ星ホテル、シャーウッド台北（The Sherwood Taipei、台北西華飯店）が2022年2月15日に閉館します。台北ではコロナ禍の影響で多くのホテルが閉館を決めていますが、台北の5つ星ホテルの草分けである同ホテルも例外ではありませんでした。今日の記事では2019年に取材した写真を掲載して、同ホテルを記憶に留めたいと思います。
シャーウッド台北は1990年の開業で、開業当時は台北のトップホテルに位置づけられる施設でした。1992年にはイギリスからマーガレット・サッチャー元首相が、1993年にはアメリカからジョージ・H・W・ブッシュ元大統領が宿泊するなど、国賓級の要人に利用されていました。
その後、台北にも国際的ホテルチェーンが軒並みトップティアのホテルを出店するようになり、その影響を受けてコスパ重視の僕が利用する程度に価格はこなれていましたが、2019年のミシュランガイドにおいても「4パビリオン（黒）」にランクされるなど、最後まで最高級ホテルの一角にありました。
場所は台北松山空港のすぐそば。周囲はオフィス街で観光地というわけではありませんが、交通至便なロケーションで、僕はUber（タクシー）を使ってここを拠点に大いに観光を楽しみました。
1990年代のホテルらしく、ヨーロピアンテイストでまとめられ、天然木をふんだんに使うことで、豪華さとともに温かみのあるインテリアが印象的です。
マリオット系の「W Taipei」が典型ですが、台北の高級ホテルも現代的でスタイリッシュなインテリアのホテルが主流になってきていますから、シャーウッドのようなトラディショナルなデザインのホテルが姿を消すことは、時の流れとはいえ、なんだかとても残念な気がします。
僕が利用したことがあるのはデラックスシングルとデラックスツインです。このホテルでは一番下のクラスの部屋をデラックスと呼称しているので、要するに最も一般的な客室です。
いずれも面積は38平米で、写真のように無駄なものはなく、とてもすっきりとした客室です。
調度品も豪華というよりは、押し付けのない機能的なものでした。
バスルームには独立したシャワーブースがあり、バスローブの用意もありました。アメニティはこのクラスのホテルとしては貧弱で、やはりコストダウンに腐心しているのかなと思わされたものです。
パブリックスペースからは格式が感じられます。レセプションの飾り棚には白磁が飾られ、吹き抜けになっている2階の廊下には名画が飾られています。
写真左は中国写実主義画派の画家、陳逸飛による「夕照蘇州運河」、突き当りは19世紀のフランス画家Aimé Deschampsの「The Little Pastry Chef」です。
こちらは20階にあるフィットネスセンターの様子。
ジムの設備はこれ以上ないくらいに充実しています。インドアプールに広さはありませんが、大きな窓や天窓から光が差し込むリゾート感のあるスペースでした。更衣室にはドライサウナもあります。
このホテルの中国語名である「西華飯店」の「西華」とは、西洋と中華文化の融合を意味しているといいます。ここに掲載した写真を見るだけでも、そのコンセプトが感じられるのではないでしょうか。
あと2週間で閉館ですから、もう同ホテルを訪れることは叶いません。ホテル愛好家として、台北のホテルシーンに一時代を築いた場所に宿泊する経験ができてよかったなと思っています。
以前旅行の際に、マーガレット・サッチャーさんや、ジョージ・ブッシュなどVIPが宿泊されたホテルとのことで宿泊しました。こじんまりとしていましたが、とても品がよく懇切丁寧な接客の中にアットホームな感じもあり、とても好印象でまた宿泊したいと思っていただけに、とても残念に思います。世界トップクラスのホテルに宿泊し、サービスを受けれたのは光栄な事だったと思いました。
チャモロさん、コメントありがとうございます。「とても品がよく懇切丁寧な接客の中にアットホームな感じ」、まったく同感です。
「こういうホテルが実はいいんだよね」というイメージにぴったりのホテルでした。
そうですね、日本で強引に近い感じのところを挙げると、「ホテル イースト21東京」ですかね。
私は1990年代に５年ほど台北で暮らしました。
当時、台北の主要なホテルではほとんど日本語が通じましたがこの西華大飯店だけは日本語が全く通じず中国語か英語での対応でした。
どこに行っても日本のコピー（言葉が悪いですが）が横行していた当時の台北ではそれが潔く感じられ、欧米の雰囲気を味わえるこのホテルをさしたる用事もないのに良く訪れました。
宿泊費が比較的リーズナブルで周りに美味しい店も多いことから、最近でも（と言ってもコロナ禍前ですが）台北を訪れる際にはこのホテルを良く利用していただけに閉館とは残念です。
なおこの西華大飯店もイースト21も鹿島が建設したホテルです（イースト21は鹿島が経営しています）。
magoaiさんがシャーウッドをお好きでいらっしゃるのは存じ上げておりましたので、コメントいただけないかなぁ、と思っておりました。
シャーウッドはびっくりするほどサービスがよくて、自分は故宮博物院までの送迎までしてもらったりしました。ここに泊まって杭州小籠湯包に家族と行ったのもよい思い出です。鹿島の建設とは知りませんでした。
しかし、イースト21にも館内にたくさん絵がかかっているけれど、あれはどういうコンテクストなのだろう…。
元インターコンチネンタルの「台北華国大飯店」（インペリアルホテル）もクローズしてしまい、オールドエクシブ的なヨーロピアンなチョイスが減りつつあるのは時代でしょうか。ああいうテイストはもうお金がかかり過ぎてできないよなぁ…。
私はこの20代前半でこのホテルの内装工事の管理者として一年半工事に携わりました。
言葉も分からない中で建材メーカーの選定から職人さんの手配等今となってはとても貴重な経験をすることが出来ました。
残念ながら泊まる事は叶わなかったですが、出来る事なら再開して欲しいですね。
来月と再来月、台湾を訪れることにしました。
５月は家内と一緒ですのでワンハーモニーのオークラ（大倉久和大飯店）を予約しましたが、来月は約１週間の一人旅ですので三井ガーデンホテル（最近開業したばかりです）とホテルグレースリー台北にしました。
コロナ禍以来、３年ぶりの訪問ですのでとても楽しみです(^^)
稻留さま、貴重なコメントをありがとうございました。今、現地はどうなっているのでしょうね。公式サイトを見ると、客室番号別にNFTを使って、仮想的に客室（の思い出）を保有する試みが行われていました。これは面白いとは思うのですが、買う人がいるのかな（いるのでしょうね）。
（公式）台北西華飯店
自分は保有するエクシブが閉館して取り壊しでなくなったら、そういったものがほしいかな、なんて思いましたが、ただのノルタルジーかな。一般ホテルで固有の客室に思い入れがあるということは少ないような気がしますが、割と高級ホテルだとちゃんと記録を取っていて同じ部屋にわざわざ案内する傾向もあるので、そうした文化もあるのかもしれないですね。
magoaiさん、コメントありがとうございます。グレイスリー台北は華山1914文化創意産業園区のそばだと思いますが、隣に昔の銀行の倉庫をリノベしたホテルがあって、2018年に行ったことがあります。
HUA SHAN DIN BY COSMOS CREATION – OFFICIAL WEBSITE
こちらの記事で紹介した台北ガーデンホテルと同じ経営で、Cosmos Hotelというグループです。
安くて快適！「台北ガーデンホテル 」- 1｜ふわっと台北 – resortboy's blog – リゾートホテルとホテル会員制度の研究
Home | Cosmos Hotel
コロナ前はけっこう台北のホテルシーンに興味があっていろいろ回りましたが、個人的には今は昔という感じになってしまいました。magoaiさんの旅が楽しいものでありますよう！
台北ひとり旅に行って来ました。
webでの事前の入国カード提出により入国手続きも以前よりも簡素化され、ワクチン接種証明を求められることもありませんでした。
１週間の滞在中、毎日市内を歩き回りましたが何処にもゴミが落ちておらず、街が以前より更にきれいになったように感じました。
なおシャーウッドホテル（西華飯店）はクローズしたままで、玄関脇の各国語で記した「ありがとう」のサインを見て寂しさを感じました。
５年間暮らした台北への３年ぶりの訪問はとても楽しかったです。
今月、家内と再訪します。
コロナ禍もあけ、久々に訪台しようと思い、以前利用していた西華飯店を予約しようとしたら閉館との事。とても残念です。トラディショナル且つシンプルな内装、サービス、空港への立地と言うことなしでしたのに、、、。
復活は叶わないのでしょうね。