写真は東急ハーヴェストクラブ伊東です。このホテルは1993年6月開業と、初期のハーヴェストクラブなので、1室あたり10口で販売されました。年間の宿泊券は36枚で、21枚がホーム券(この場合、伊東)、15枚が相互利用券です。1999年以降に開業したハーヴェストクラブではこれが1室12口になっていて、以来、25年間変わっていません。
一方で、同じ1999年に、リゾートトラストのエクシブに28分割商品が登場します。2020年代のサンクチュアリコートにおいては、1室36口までの細分化が進みました。
そして、今日から発売になったサンクチュアリコート金沢においては、さらに一部屋45口までの小口化が進みました。
価格|サンクチュアリコート金沢|SANCTUARYCOURT 金沢
相変わらずシステムは、タイムシェアリングをベースにする占有日の交換であるとうたっていますが、45分割ということはタイムシェアカレンダーが45種類あるということであって、年越しに泊まれる保証は45年に1回、つまりホテル存続期間の50年のうちにわずか一度しかありません。
これは一例ですが、同社の予約システムの建前が、ほとんど形骸化していることの証です。
僕は昨年から、同社がどのようにして今後ビジネスを続けていくのだろうかとずっと疑問に思っていました。それは、客室の分割はこれまでの36口が限界であろうと、過去のデータなどから考えていたからです(参考記事:分割グランプリ|resortboy|pixivFANBOX)。
ですから、ふくらんだアルミ袋の中のポテトチップを減らすように、分割数をさらに切り刻んで「内容量」を削減してビジネスを継続させる、という考えはこれっぽっちもありませんでした。
これによって何が起こるかと言えば、「繁忙期の希望のホテルに予約が取れない」という事態です。歴史は繰り返しますね。
今回のサンクチュアリコート金沢については、もう1つ、気になることがあります。それは、開業が2029年3月と、丸4年も先であることです。それまでは、年会費を支払わない「新規会員権の上客」が大量にキープされます。この金沢のホテルは、最大で7,515口のメンバー(うち8割は法人の保養所システムとして)に販売される見込みです。
上記はこれまで公表されてきたスケジュールですが、すでに変更されました(金沢は2028年3月開業と読める)。同社は2027年度(つまり、もっとも遅くて2028年3月)に開業するホテルは別途計画中であるとして、新しい中期経営計画を作り直しており、新年度が明けた5月に発表するとしています。
今回のホテル企画は、日光の発表から数年を掛け、同社が練りに練って繰り出した、同社にとっての最善の策であろうと思います。しかし、狭い敷地のせいで魅力に欠ける平凡なフォルム、ゴルフに全振りで他のリゾート要素がない点、破綻ゴルフ場の再生という出自の悪さなど、ゴルフ場のクラブハウスとして以上には、ホテル自体にストーリー性がないように感じます。
リゾートトラストには他に素晴らしいホテルがたくさんありますので、見劣りすると感じました。
とても驚きました
1部屋を45人で共有? ケンカになりませんか?
年会費も値上げ、会員権も36人の時より値上げ、室料も爆上げ、レストランも値上げ、食材も落とす、リゾートトラストも生き残りに必死なのはわかりますが…
まあ、仕事をリタイアされた悠々自適な方々や平日に休める方ならば気にならないかもしれませんが休前日しか休めない小生にとってはとても耐えられるものではありません。とても残念です(泣)
小生のような現役にはそぐわないシステムです。やはり自分で自由に出来る別荘などを購入するのが良いのかもしれません。
今後は視点をかえて、自分に合ったリゾートライフを模索していこうと考えております
ご無沙汰しております。いつも興味深く、また楽しく拝見しております。
自分の部屋を持ち、いつも同じ部屋に泊まる。同じタイプの違う号室に泊まったときは「あー今日は他のオーナーさんの占有日なのね。」と思ってみたり。
使った分だけ(パーソンチャージ)お支払い。それが昔ながらのエクシブオーナーの考えなのかなとずっと思っていました。
それがフロアシェアになり、今は全然違うものに…。
そもそもメンバーではなく、自分の部屋を所有する「オーナー」ですよね。その自分の部屋に愛着を持っています。
そういう意味で、父親は生粋のオールドエクシブオーナーで、息子の私もその考えや文化を感じながら、創業者が良いものを作ろうとバイタリティー溢れる時代のリゾートトラストの感性に触れながら育ってきました。
それが今は45人共有??
いつも父親は言います。
「同じ部屋に36人いれてみなよ。入らないぞ。」と冗談交じりに言います。それは今は45人共有とは…。
使いたい時に自由に使う。それがリゾートだと思うし、創業者もそう言った考えや感性を大切にしながら「リゾートトラスト」という唯一無名なブランドを形成してきた思ったのですが、今はもう違うみたいで残念です。
ただの金儲けですね。
ハードだけ「キラキラ、ピカピカ」したものを作って会員権を売って後は知らないよというこの会社に残念でならないですね。
もう一点思うのは不動産登記して、固定資産税を払ってるのに、利用権だけのサンクチュアリコートのメンバーさんが同じエクシブを使えるというシステムはどこか納得できない気がします。
その点についてresortboyさんのご見解を伺えると幸いです。
長々と失礼いたしました。
H&Mさん、YMさん、コメントありがとうございました。
まずYMさんのご質問の件です。
サンクチュアリコート(全体に言えることですが、ここでは金沢で例示します)は「土地賃借権付建物共有制」と表記されていまして、定期借地権の土地に建築した区分所有建物の専有部分を、グレードごとに共有する、という方式になっていると僕は理解しています。
会員制リゾートホテル「サンクチュアリコート金沢 ホテル&ゴルフ スパリゾート」3月21日(金)より会員権販売開始 | リゾートトラスト株式会社のプレスリリース
上記のリリースによれば、「従来の「エクシブ」や「ベイコート倶楽部」と異なり、開業から50年間の定期借地権を設定しております。建物は「エクシブ」や「ベイコート倶楽部」と同様に、会員が区分所有し、客室グレードごとに共同所有することとなります」と書かれています。
(公式)概要|サンクチュアリコート金沢|SANCTUARYCOURT 金沢
サンクチュアリコートのデータを持っていませんが、例えば横浜ベイコート倶楽部のロイヤルスイートですと、12泊タイプで30分割なので、54室をまとめて1,620口として共有しています。
分割数の多い方で表記すると、エクシブ(28口)、ベイコート倶楽部(30口)、サンクチュアリコート前期(36口)、サンクチュアリコート後期(45口)となっていまして、共有の対象は客室そのものからフロア全体、グレード全体となってきました。
予約に関してはすべて「交換」という概念で取り扱われてきましたが、分割口数の増加に伴って形骸化してきているのは本文で触れたとおりです。
公開の場ではあまり書けないのであっさり本質だけ書いておきたいと思います。
会員権の本質、または根拠となっている、「区分所有建物の専有部分を束ねて、それを膨大な口数に分割して、リゾートホテル会員権として販売する」という取引は、合法なのでしょうが、立法の趣旨を大きく逸脱したものではないかと疑っています。
そのため、消費者保護が不十分ではないでしょうか。建て替えが行われた事例はありません。リゾートトラストのような変わったビジネスモデルを実行している会社は他になく(東急ハーヴェストクラブは建物全体の民法上の共有)、それは、将来的なビジネスの引き受け手が存在しないということを意味すると考えられるのではないでしょうか。
返信ありがとうございます。
なるほど。となるとサンクチュアリコートシリーズは建物には固定資産税は払ってないのでしょうかね?(無知ですみません)
おっしゃる通り、「区分所有建物の専有部分を束ねて、それを膨大な口数に分割して、リゾートホテル会員権として販売する」
という取引は合法なのでしょうが、当初の14人共有から比べて、施設や客室の増加が少ない割に会員の数だけ増えていることに違和感を禁じ得ません。
ここに会員の権利の保護(好きな時にできる限り自由に泊まりたい)が、蔑ろにされている感が拭えないなと感じました。
これらを数字の根拠を示せていませんが、これから「またいつも満室で泊まれないよ?」と感じる会員がこれから増えるのかが気になります。
言われた通り、歴史は繰り返すのかと思います。
ご無沙汰しています。
色々模様眺めをしている間に驚くような状況になってしまいました。
1室45名で会員権、年会費、利用料のアップですか。。。
仲介サイトではオールドエクシブの会員権が処分できないのか、結構値を下げていますね。
もう庶民の自分には手の出る範疇を超えつつあるのを実感していますので、エクシブはゲスト利用若しくはサンメンバーズ会員権の購入程度に留めて、一般ホテルで少し贅沢に過ごそうと考えています。
昨年、某クラシックホテルに宿泊しましたが、雰囲気もホテピタリティも素晴らしいものであり、年に一度ここに宿泊出来たら幸せだろうなと感じた幸せな体験です。
そういう宿を旅先で見つけるのも楽しそうです。
YMさん、ポンさん、コメントありがとうございます。
サンクチュアリコートは、土地は借地で固定資産税はありませんが(リゾートトラストに地代を支払う)、建物はメンバーの所有(共有)となりますから、固定資産税の支払は毎年発生します。
さて、ポンさんのおっしゃる通りで、どのホテルが好みに合うかということは、実際に宿泊してはじめてわかるものではないかと、僕も思います。
今やサンクチュアリコートは、交換の泊数が極端に少なくなってしまった結果、システムも変わり、サンクチュアリコート契約施設やサンクチュアリコート内での「占有日を使わない直前予約」に利用の中心が移ったようです。
だから、ホテルができていない段階で全部を売り切るような販売スタイルは、「思っていたのと違った」ということになりかねず、システムの変更と整合していない面があります。
この金沢の、市街地から遠く離れたゴルフ場の中にあるホテルを、50年に渡ってどのように運営できるのか、僕にはちょっと想像が付かないですね。
以下は、日本の将来推計人口(令和5年推計)で、出所は国立社会保障・人口問題研究所です。
resortboyさん、みなさこんにちは。金沢の45分割共有の会員権という衝撃をまだ咀嚼しきれずにいます。サンク金沢では直前予約が利用の主体になるといいますが他施設会員の予約を制限しなければ絵に描いた餅になりそうです。例えばクラブスイートならホテル会員8-9万人が予約を入れることができます。この状態でサンク会員はフローティング予約が取れるのでしょうか。10万円の伊豆や鳥羽本館の26泊会員権を二口買えばゴールド4枚レッド12枚ホワイト12枚です。金沢会員でも毎月10泊なんて現実に予約できないでしょうからこの方がお得です。今のシステムが改変されずに存続するならクラブスイート8泊を900万円で購入する意味がわかりません。ということで開業する頃にはフローティング予約の制限やサンクスフェスティバルの廃止など改悪がありそうな気がします。
ノラさん、コメントをありがとうございます。
「意味がわかりません」とおっしゃっていらっしゃるところにポイントがあると思います。つまり現在のサンクチュアリコートの契約(システム)は、新しく作るホテルの稼働率が低く、フローティングで(楽に)予約ができることが前提になっています。これはまさに意味がわからない商品設計です。
権利ゼロ泊は「契約」ですから、現実に実行できなければリゾートトラストは訴えられてしまいますので、契約を履行できる状態にするために、施設会員及びサンクチュアリコート会員のために、フローティング時期、または直前まで、それら会員のための客室を確保しておくことになるはずです。
おかしな形ではありますが、結果的に同社が採用してこなかった「ホーム主義」が取り入れられたと見ることもできるのではないでしょうか。