ホテルトラスティを追憶するシリーズ、「名古屋」「名古屋栄」に続いては、同じ名古屋に現存する「ホテルトラスティ名古屋白川」を取り上げます。このホテルはリゾートトラスト発祥の地であり、同社を理解する上で最も意味のある建物です。なぜこの建物が「このような構成」になっているのか。そこに同社のコーポレートカルチャーの源流が凝縮されています。
しかし残念なことに、このホテルは2026年5月31日の宿泊をもって閉館します。1974年の竣工から50年を経過した今年、決断されたものです。
今日は、この建物の大部分を閉める「ホテルトラスティ名古屋白川」についてレビューします。
パークサイドホテル白川
ホテルは1974年12月3日にオープンしました。サンメンバーズひるがの(現在の建物ではなく、取り壊されたオリジナルのもの)の開業が1974年12月20日でしたから、リゾートトラスト(当時の社名は宝塚エンタープライズ)のまさに第一号ホテルです。
現在のスペックは以下の通り。およそ建物の半分がホテルとなっています(建設時の分譲戸数は206室)。
・鉄骨鉄筋コンクリート造(一部鉄筋コンクリート造)地上12階、塔屋2階建
・2階(ロビー)、5~8階(客室)、11階(客室:ハイメディック名古屋検診者用含む)
・総室数:105室
オープン時は現在と異なり、建物全体を「パークサイドホテル白川」と称していました。現在は「ヴィア白川」と全体を称していますが、これは追って1975年3月5日にこのホテルの地下1階と1、2階をショッピング街としてオープンした際に、この3フロアに対して付けられた名称でした(1975年当時はすべてカタカナで「ヴィア・シラカワ」と称していた)。
このホテル(建物)の解説をはじめるとたぶん講演会ができてしまうくらいで、希望の方がいらっしゃればKASAの会で取り上げますが、たぶんそのようなことに興味のある方は少ないでしょうね。
大事なことだけ書いておくと、このホテルは分譲された、ということです。そのため現在もオーナーは別にいて、区分所有された部分がワンルームマンションとして賃貸されていたり、売買されていたりします。
(参考)ヴィア白川を徹底評価|中古・売却・賃貸|マンションレビュー
全体の話はこれくらいにして、今日は現在の「ホテルトラスティ名古屋白川」についてだけご紹介していきます。
水商売の香り
利用した客室タイプはスタンダードツイン、22.4~23.4平米です。実際に利用したのはお正月でしたので室料はかなり高かったです。ラックレートは一応、19,000円のようでしたが、僕はとあるOTA経由で、ほぼその値段で泊まっています。
ホテル全体の印象は、「暗い!」というものです。外部に面しているエスカレーターを上がるとフロントですが、そこからして「昼なお暗き」空間です。
このロビーの写真、スマホですから明るく撮れているのですが、他のトラスティ(旧名古屋、旧名古屋栄)とはまったく異なり、バーとかスナックとか、水商売の香りが強烈にする空間です。
部屋に入ってもそれは同じで、もう部屋が真っ黒なんですね。これまた写真は明るく撮影していますが、色としては黒とグレーと紫。かなり「夜の店」という雰囲気です。
それに20平米を超えているとは思えない狭さを感じます。おそらく、このホテルが分譲ホテルであったために、界壁やパイプスペースを含む壁芯(専有面積)で記載されているのでしょう。内法で記載する普通のホテルとは違う感じがしました。
ほめられるところはないが
利用したスタンダードツインとは別に、スーペリアツインという上位タイプもありますが(ラックレートだと1000円高い)、部屋が広くなるわけではなく、インテリアの違いです。
このデザインにリニューアルされたのは、50年の歴史の中では最近のことで、2016年6月20日の再開業時です。同じころに取り組まれていたホテルには、2016年3月27日開業のエクシブ鳥羽別邸があります。
正直、ホテルとしてあまりほめられるところはなく(レストランもなく、予約制のお弁当を部屋で食べるだけ。「ローズルーム名古屋」があるが年末年始は休業)、水回りもリニューアルされてきれいですが、なにしろ築50年ですから段差もあるバリアフルなもので、当然のことながら3点セットです。
デスクまわりも狭くて暗いので、オンライン会議やテレワーク的なものにも適していません。
今のうちに行ってほしい
というわけで、これで名古屋にある(あった)旧トラスティ3ホテルのレビューを終えました。旧名古屋(現プリンススマートイン)には予約を入れてあるので、近く、リニューアル後の様子をレポートします。トラスティが好きすぎて、2024年にもなってこの3つをすべて利用することになった僕は変わり者でしょうね。
最終的な結論はそのレポートの時に持ち越しになりますが、名古屋にある旧トラスティ3ホテルで最も薦められるのは、旧ホテルトラスティ名古屋栄であったKOKO HOTELで決定です。
ただし、この現存するホテルトラスティ名古屋白川に宿泊することは、リゾートトラストの企業文化を理解するうえで極めて重要です。僕がいま、何を言っているかわからなくても、そのうちにわかるようになりますから、エクシブが大好きな人は、ぜひ泊まれるうちに一度行ってみることをお勧めします。
なんじゃこりゃ、と思うと思いますが、その違和感こそが、これからお話をしていく上での鍵となるものです。