かつて「ホテルトラスティ名古屋」であったホテルは、コロナ禍で休館し、そのまま閉館しました。その後、分譲された客室の権利が整理できたようで、リゾートトラストがクローズしたホテルとしては珍しく、「蘇生」して今に至っています。
その現在のホテル名は「プリンススマートイン名古屋栄」。今日は今年リニューアルオープンしたかつてのリゾートトラストのビジネスホテルにおける「スイートルーム」を紹介します。
(公式)客室一覧|名古屋栄 - 公式サイト|プリンス スマート イン - PRINCE SMART INN -
プリンス傘下となった現在のホテルについての細々としたことはすべて省略し、今日はかつてのスイートルーム、現在の「デラックスルーム」の紹介に徹したいと思います。
1997年
この客室は、最上階の10階とその下の9階に2室だけあります。普通にOTAで出ていますので、簡単に予約できると思います。
ドアを開けると踏み込みです。なんと別室になっていて、この段階でここが、「プチオールドエクシブ」であることがわかります。
ホテルトラスティ名古屋の開業は1997年で、エクシブ琵琶湖と同じ年です。リゾートトラストが長年の念願であった店頭公開を果たした年でもあります。そしてそれに続くエクシブが、オールドエクシブの傑作とほまれ高い、1999年開業のエクシブ蓼科です。
前室から客室に入ると、この通り。真ん中に仕切り家具となる大きなデスクがあり、リビングスペースとベッドエリアに2分されていて、オールドエクシブのラージの様式です。客室面積は54平米と、他の客室の2倍以上あります。ただし、ここはあくまでビジネスホテルなので別の寝室はありません。
スイートからデラックスへ
リゾートトラスト時代にスイートと称していたのは正直、間違いなんですが(だからプリンス傘下になってデラックスルームに改称されました)、スイートという語感から来る豪華さを伝えたかったのでしょうね。
残念ながら、リビングエリアにあった家具は処分されてしまいました。かつてはテーブルを取り囲むように豪華なリビングセットとテレビ家具がありましたが、現在は最新鋭大型テレビが壁掛けで導入され、ベッドにもなる大型ソファを新規で入れ、余ったスペースにテーブルとチェアを入れたため、少々おかしなレイアウトになっています。
ソファベッドは大型なので4人でも泊まれそうですが、この客室の最大収容人数は3名です。テレビは遠巻きに撮影しているので大きさが伝わっていませんが、65インチあって迫力は十分です。
まるでエクシブ蓼科
このリビングエリア以外は、すべてリゾートトラストが27年前に建築したものがそのまま使われています。例えば、この写真を見てください。
左が前室へのドア、右が水回りへのドアで、真ん中にかつてミニバーだった冷蔵庫入れがあります。
もう完全にオールドエクシブ、特にエクシブ蓼科の感じです。このミニバーのガラス台の上に、シルバーのトレイに乗った各種の什器が脳内で合成されるのではないでしょうか? そう思える読者の方は、十分に病気ですから、この現地に行ってその病を確認してきてください。
このホテルは一切の食器がなく、すべて紙コップで湯沸かしポットも何もないという割り切った運営なのですが、このガラス台を見て僕はなんとなくうれしくなり、ロビーの売店でお酒をいっぱい買ってきて下の冷蔵庫に入れ、「脳内エクシブ」を満喫しました。
つい買いすぎて残ってしまい、さらにはそれらをすべてホテルに忘れてチェックアウトしてしまったのはいい思い出です。
豪華な水回り
ベッド周りはリゾートトラスト時代そのままで、このベッドボードのつまみもまさにオールドエクシブなんですが、きちんとコンセントの増設とUSB電源が追加されていました。こういうところは、オールドエクシブよりも優れています。
水回りに行ってみましょう。
パウダールームはどーんと広く、ベイシンは1つですが、かつてスイートを名乗ったことにふさわしい「リゾトラ感」に満ちています。写真の左は客室へのドアですが、観音開きでどーんと開口します。また奥の右はトイレ、左はクローゼットです。
バスルームは完全に昔のままで、大理石とゴールドの水栓。1990年代前半のエクシブを彷彿とさせます。さすがに築27年で古さは感じますが、これはこれで素晴らしいと思います。
シャワーブースも別にあります。いやー、この客室は無駄に豪華で素晴らしい。
蘇ったガラ権遺産
というわけで、この第一号トラスティのかつてのスイートルームは、エクシブで大成功したリゾートトラストが、株式公開にあたってビジネスホテルに新風を巻き起こそうと、投資商品としてカネを集めてプチエクシブ的に建築したものでありました。
ガラ権(日本独特のリゾート会員権のことを本サイトではこのように呼ぶことがあります)そのものではありませんが、歴史的にはガラ権の仲間としてここでは位置づけたいと思います。
その素晴らしいガラ権遺産が、最大手の一角、プリンスの手によってリニューアルされてピカピカになり、日取りによっては2万円を割るリーズナブルな価格で利用できるようになっています。
このホテルはクセがあり(別の記事で書きます)、使うのに注意も必要ですが、皆さんにも話のネタに一度行ってみてほしいと思う「逸品」であります。
特に、中央デスクからの「この感じ」は、エクシブ20年選手である自分にとって、得も言われぬ心地よさを与えてくれるのです。